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死にたがりと悪魔。  作者: こいわしの天ぷら
8/10

調書。

この物語は死の表現や残酷な描写が含まれます。

気分が優れない方は、閲覧を中止してください。


「お前、ちゃんと寝てんのか?」


布団の中で涙を拭っていると、ロゼに覗き込まれる。

驚いた様な、それでいて物珍しそうに。

とても心配してる様には見えなかったけれど、寝起きに声を掛けて貰えるのが嬉しい。

怖い夢を見た後だと余計に感じてしまう。

素直に嬉しかった。

 

しかし、薬がなくてこの様か。喜べたことじゃない。

まだ暫くは睡眠導入剤にお世話になることにしよう。

なんだか、眠れた感じもしなくて、体もだるくて重い。

余計に体力を使ってしまった気もする。

何とか体を起こすことができた。

気分は晴れないけれど、ずっと布団に篭っているとまた怖い夢を見てしまいそうで。かと言って、やることはない。

どうしようか、と頭を捻っている頃にお母さんに声を掛けられる。


「信乃、起きてる?ちょっといい?」


僕はそっと部屋を出た。

___________________________


リビングに降りていくと、警察が座って待っていた。

男性二人組だ。制服を着てるだけでも威圧感がある。

どうもこの雰囲気は苦手だ。

ここにいる理由は想像がつくけれど、まさか家に来るとは思っていなかった。

心の準備ができていない。

これから何を話されるのか怖くて堪らない。


「大丈夫。知ってることを話せばいいから。

言いたくないことは言わなくていいからね。」


僕が着席すると目の前の警官に声をかけられる。

隣の男性はメモ用紙のようなものを机に広げ、ペンを握る。

この会話をメモする係のようだった。

知ってることを話せばいいと言われても、怖くて声が出ない。

そもそも普通に学校に通えてない僕に何を求めているんだろうか。


「姉小路 真希さんは知ってるかな? 事件に巻き込まれたクラスメイトの子なんだけれど。

みんなに順番に話を聞いて回っててね。」


僕の顔色が良くないことを察してか、日常会話の様ななんでもない話を織り交ぜている。

たかが高校生だ。トラウマにならないように必死なのかもしれない。

僕の中ではドラマのイメージがあったので、ちょっと拍子抜けだ。


それから学校生活はどうだとか遠回りをしていた。

僕は一切、姉小路さんの話題は出せなかった。

知らないことを無責任に話すのはどうかと思えたためだ。

というのも、自分の保身の為かもしれない。

1時間を軽く越えた頃、警官は最後に一つだけ。と改めて質問してきた。


「姉小路さん、クラスで問題児だったようなんだけれど被害者は知ってる?」


「ひ、被害者?」


もちろん知っている。

教室に居ない僕でも何となく問題視であることは聞いていた。

ただ、誰が被害者だとか詳しいことは何も知らない。そう知らないんだ。

まさか被害者が疑われてるのか。

いや、この場合精神が不安定な僕も疑われてるかもしれない。下手なことは言えない。怖い。


「知らないならいいんだ。

時間を取らせて申し訳ないね。」


二人の警官は立ち上がり、母に案内されながら玄関へ向かう。

二人に出されたお茶は全く手をつけられておらず、結露が凄かった。


警察を見送ったお母さんが戻ってきた。

非常に暗い顔をしていることに気付くのに時間はかからなかった。

目にいっぱい涙を貯めて僕を抱きしめる。


「信乃がいい子でよかった……」


今の僕ではこの言葉の意味を理解する事など出来なかった。












閲覧ありがとうございます。

しばらく更新をお待ちください。

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