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知らない人に名前を教えてはいけません

先生から強制帰還ができるが本当にいいのか。と何度も確認され、意見を変えない僕を見て諦めたように契約書を取り出した


「この用紙に甲乙の血判を押せば契約成立です。その後は魔法聖教会に保管され、最高教会長の許可がおりない限り、用紙に触れることはおろか、見ることもできません。だからねアレク君…」

「先生、大丈夫です。改めて召喚しても次は出るかどうか分かりませんから」

「そう…分かりました、あなたの意見を尊重します」

この先生は1年の時からとてもお世話になっている先生で感謝しているがとても心配性なところがあるので少しめんどくさい



無事、契約を交わした僕達だけど紙に判押して終わり

____というわけにはいかない。

契約が終わった後に、絶対行わなければならないこと…


『悪魔の真名を知る』


悪魔はそれぞれに自分の真名を持つ。真名は僕達の名前とは違って命そのものでもある

契約者が真名を呼び、命令すると悪魔はその命令に絶対従わなければならない。例えそれが悪魔の意思に反していても身体が従う程、真名というものは強力な力を持っている

だから悪魔は簡単に己の真名を言わない。


ではどうして魔術士は悪魔の真名を知らなければならないのか



第一に悪魔を従わせるため

契約成立していても好き放題暴れる悪魔は多数いる。契約書の効果により、契約者に直接的な攻撃は出来ずとも災害や事故など間接的に攻撃することはできる

しかし真名を知れば止めるよう命令ができるし、周りにもそれは然り

外部からの評価にも箔が付く


第二に(精神的)自分を守るため

契約だけでも魔力量は上がるが、その量に耐えきれず魔力の暴走『ヒート』がよく起こってしまう。ヒートが起こってしまえば精神の崩壊、身体の機能の一部停止、最悪死に至ることがある

ただし、真名を知れば自身で多くなった魔力量をコントロールできるようになる上に、魔法の質が高度になる


このヒートは契約した瞬間いきなり来るものでなく、ジワジワと負担が積み重なってできるのでいつ発症するのか分からない。雪山の雪崩を想像したら分かりやすいだろうか、




他にも色々あるらしいけど、要するに真名を知らなければ命の保証はないということ

かといって「はいそうですか」と命同然の真名を教える悪魔は居ない

聞き出す方法は様々あるが、どれもそう簡単に聞き出すことは出来ない。先生の悪魔も真名を聞き出すのに3日かかったと言ってる


中には諦めたりする人が居たりする。その時の必要措置として対悪魔用の護身道具と奴隷悪魔の足枷と同じような役割を持つ道具があるが、お金がとんでもなくかかる。しかもそれを買ったら終わりではなく定期的なメンテナンスもやらないといけない。つまりお金

ちなみに孤児院育ちの僕にはそんなお金持ってない


だから数日は覚悟して悪魔と対峙しなくてはならない__が





「真名?そういえばそんなものがあったな」

「そう、だから僕に真名を教えて欲しい」

さぁこい、僕は聞き出すまでここを動かないぞ。お腹がすいたら一時休戦するけど…

「別に構わん。ダンドリスだ」

「やっぱりそう簡単には……………へ?」


今なんとおっしゃいました?

『ダンドリス』

「だ、んどりす?とはどんなモノで…?」

「お前が聞いただろう。俺の真名だ」

「ホァ」

開始10秒で命預かりました




「え?もう真名を聞いた?」

目を見開いてこちらを見る先生

「聞いちゃいました…」

「信じられない…こんな短時間に聞き出せるなんて、私の悪魔も反応してないみたいなので正真正銘、真名だと分かりますがアレク君はどうやって聞き出したのですか」

「普通に聞いただけです…」

「…………それだけ?」

「それだけ…」

再度先生は隣に佇んでいる先生の悪魔を見て、ピクリともしない様子にそれが真実であると分かったようだ

先生の悪魔は嘘を見抜き、裁く悪魔で本来なら少しでも嘘をつくと脳天貫かれるが、命令により往復ビンタに変わっている

「もしかして、アレク君の悪魔は自身の真名の意味を分かっていない…?」

「もちろん確認しました、意味を完全に把握しているようすだったのでわかっていない訳でもないと思います」




うーんうーんと先生と一緒に悩んでいたが、結論

『奴隷悪魔に堕ちてしまったがプライドがそれを許さず、死にたがっている悪魔』として考えることにした


あまりに考え込みすぎて、ガタガタと震える先生の悪魔の様子に気づくことは無く、授業終わりの鐘が鳴った


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