表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネコ耳❤アリシアの魔王城日記  作者: 独瓈夢
第三部 アリシア伯爵
99/316

第99章 アリシア伯爵の領地改革-ギルド編③

 ガバロス親衛隊のデクリオン(十人隊長)・キグナッケン君の提案、まさしく“天啓”と言わずして何と言おう?

 それにしても、私ってエタノールさまにめっちゃ好かれてるとしか思えない。魔王さまからは愛され続けるし、プリシルさまからも贔屓にされているし、アマンダさまも- そういう感じは見せないけど- かなり好意をもっているようだし、アイフィさまとかリエルさまとか、ゲラルド侯爵さまやペンナス伯爵さまなどの魔王国の実力者や有力者にもいつも助けられている。


 ほかにも、ロニアちゃんたち元輔祭(ほさい)、キャルニボル大統領の娘のフローリナちゃん、元伯爵ゼーブランドの娘のミルイーズちゃんとかの優れた人材も私の周りに集まって来るし。そして、今日のキグナッケン君の提案。

 うーむ、伯爵になったことでもあるし、お給料も上がったことだし、新領地での出費はまだまだどんどん増えるだろうけど、()()()()()()()()()()ことでもあるし、エタナールさまへの感謝の気持ちを寄付の額を増やすことで現すことにしよう。伯爵領での状態が落ち着いたら、立派な礼拝堂を建てるのもいいかも知れない。


 苦労して魔王国の国立銀行から金貨1万5千枚の融資を調達できたけど、1万平方キロメートルもある広大なゲネンドル伯爵領への融資には、正直言って少なすぎる。

 私が計画する通りの領地改革を進めるのなら、せめて最低限でも魔王国銀行からの融資額の10倍から20倍は必要だ。

 そこで、私が目をつけたのが、以前、ジョスリーヌ姉妹さまから聞いた、ソフィエッタさまのお父さまとお母さまのことだった。


 魔王さまがアンジェリーヌさまとジョスリーヌさまのお父さまのミタン王から彼女たち二人と結婚することを前提に譲られたホルモールの別邸まであと三日という距離にまでたどり着いた時に一泊する予定で寄ったエルフ村でガバロス退治という突発事件が起こったが、これを無事解決。

  エルフ村には、ガバロス族たちの善後策- あの数年後に立派な町となったルークヘルムの集落大改造計画など- のために一ヶ月滞在することになり、それからヴァン大湿原を突っ切れば目差すホルモールの別邸に着くというところで、ヴァン大湿原を支配するとドワーヴァリ族出会い... 

 いや、正確には、それまで長い年月ドワーヴァリ族を恐れて誰も通ることのなかった、大湿原の中の一本道を恐れ知らずに通っている魔王さまご一行に興味を示したソフィエッタ姫が、馬車の連中を見ようと道に飛び出し、魔王さまを見て一目惚れしたことから始まったらしい。


 結局、ソフィエッタ姫は魔王さまのお嫁さんになることを決め、ご両親のドジョーネル王とナンシーネ王妃の承認もあって- この二人も魔王さまの持つ不思議な影響力、“魅了”と“信頼できる者”にコロリと影響されたのだそうだ- 何とアンジェリーヌさまとジョスリーヌさまより早く魔王さまとご結婚されたのだそうだ。


 このドジョーネル王というドワーヴァリ族の王さま、実はすごいお金持ちで、彼は長年にわたってヴァン大湿原やあちこちの川や湖の底で見つけた金や宝石をたくさん持っている大資産家で、魔王さまがホルモールの農園拡大計画に資本参加され、これがその後の魔王さまの大活躍の初期資金となったとか。

 そして、魔王さまがブレストピア国とマビハミアン国を征服され、魔王国の大改革を始められた時にも、ドジョーネル王とナンシーネ王妃は巨額の投資をして魔王国の経済大発展を可能にしたと言われている。

 まあ、話し半分としても、ドジョーネル王はかなりの資産家であるということは間違いないだろう。

それに、魔王国の経済大発展には、魔王さまの卓越した政策とゲラルド侯爵さまの農業振興計画があったということも忘れてはならないが。


      ヴァン大湿原

挿絵(By みてみん)



 そこで私も、大金持ち、大資産家であるドジョーネル王夫妻に投資をお願いすることにしたのだ。

立っている者は親でも使え、コネでも何でも使えるものは使えって言うらしいじゃない?

 ドジョーネル王とナンシーネ王妃は、魔王さまのご寵愛の深い私を“信用できるフェリノディオ(ネコ人族)”だと“信頼”して、総額15万枚の金貨を投資してくださることになった。

据え置き5年で、投資の返済は10年間にわたって年間5パーセントの利子をつけて払われることになる。

 

 年に5パーセントの利子って安すぎる?

いやいや、これは融資じゃなくて投資なので、減価償却後、ゲネンドル伯爵領の事業の利益の3割をドジョーネル王が受け取ることになるから、それで儲かるのだ。

 まあ、ドジョーネル王夫妻も趣味や暇つぶしに投資をやっているのではないので、儲ける見こみのない事業には投資しないのは勿論だ。


 これだけの金を使ってゲネンドル伯爵領での事業へ投資してだいじょうぶかって?

それは、もちろん“専門家”が太鼓版を押しているので- いや、投資とか経営学の専門家ではなく、マイレィちゃんの予想なんだけどね。

 あの()の予想ほど確かなものはないからね。ドジョーネル王夫妻も、たぶん私の“魅了”より、マイレィちゃんの予想の方を“信用”したってのが本当のところらしい。


 開拓精神バッチリ、冒険心旺盛なガバロスの若者1万人が、ミタン国から移住してくることが決まった。

ガバロス族の指導者であるアーレリュンケン族長に相談し、ガバロス族の陰の実力者と呼ばれている- いや、実際はそうじゃないけど、こう呼んだ方がカッコいいじゃない?- ラクジャナさんの承認のもと、ルークヘルムで選抜が行われ、男女1万人のガバロスたちが新天地ゲネンドル伯爵領に来ることになった。

 さらに好都合なことに、これはドジョーネル王からの頼みでもあったのだけど、ドワーヴァリ族が2万人が南部に移住することになった。

 そして、これにはオマケがあり、あのゲネンドルタウンの館の使用人たちが全員辞める原因の一つとなったヴァナグリーが5千匹いっしょに来ることになっていた。


 やはりドワーヴァリ族でも若い連中が、ガバロスたちが大勢ゲネンドル伯爵領に移住すると知って、ヴァン大湿原を離れて新天地で新しいことをやって見たいという者が少なからずいたらしい。

 伯爵領は人手不足だ。兵役に就いている者はいつ帰って来るかわからないから、仕事をする者は多ければ多いほどいい。領民が50万人増えようが、100万人増えようが、伯爵領は広い。


 ヴァナグリーは、今でこそガバロス親衛隊の軍馬となって、敵軍を恐れさせ、一般人を失禁させるほど怖がらせているが、何と魔王さまはホルモールの農園で牛の代わりに農耕に使っていたと言うから驚きだ。

 ヴァナグリーは、さすがバケモノと呼ばれるだけあって、牛や馬などとは比較にならない怪力をもっており、かなりの大木でも1匹で引きずり倒せるし、土地を耕すのも牛2頭分を1匹でやってしまうと言う。つまり、1万匹分の牛に匹敵する農耕用家畜が無償で手に入ったのと同じということなのだ。


 ガバロス親衛隊の連中はヴァナグリーの扱いに慣れているので、ヴァナグリーの導入がうまく行けば、ガバロス開拓者たちもヴァナグリーを使えるかも知れない。




     ◇     ◇     ◇



 私が、一生懸命に西ディアローム帝国の西の果てにもらった領土の改革を進めている間、東ディアローム帝国の首都ゾドアンスロプル陥落後、戦況は大きく変わるつつあった。

 西ディアローム帝国の首都ゾオルに迫っていたベルミンジャン・アングルスト両軍は、魔王さまが送りこんだ魔王軍10万の兵と魔術師部隊の投入で完膚なきまでに撃破され、ボロオーリョ海峡よびベルボロ海峡における海戦でベルミンジャン・アングルスト両国は、主力艦隊のほとんどを失った。


 メジアグロス海から鬼人族国に侵攻したアングルスト軍は、鬼人族国の領内に100キロほど侵攻したところでドコデモボードで背後に移動したゴカン(五官)大公軍、ヘンジョウ(変成)大公軍、ショコウ(初江)大公軍、それにタイザン(泰山)大公軍の軍勢によって10日間ほどで蹴散らされてしまった。

 トロール軍は一対一の個人戦では圧倒的な強さを誇るが、戦いは一騎打ちではなく集団戦なのだ。

そして集団戦で強いと定評があったのが、鬼人族軍とドヴェルグ軍だった。だが、その定評に近年、覚ましい戦果を上げつつある魔王軍を加えなければならないということを、テルースの世界の軍事専門家たちは認めざるを得なかった。


 鬼人族国領内に入ったアングルスト軍を始末した鬼人族軍は、ボロツク公国の西海岸と東海岸から侵攻し、首都グレディアン・シュテンを包囲しようとしていたアングルスト帝国とベルミンジャン王国の派遣軍30万の兵力に対し、デュドル公爵軍とバルキュス公爵軍の20万を投入した。

 こちらも、突如明け方に背後からラーシャアグロス(鬼人族)軍に攻撃されて大混乱に陥った。

その大混乱の中、あらかじめモモコ大王とマデンキ(魔法式遠隔伝達器)で打ち合わせをしていた作戦にしたがって、グレディアン・シュテン大公は城の中にいた3万の兵をもって勇敢に突撃した。


 その結果は-

グレディアン・シュテン市周辺は、累々とベルミンジャン軍の兵の屍が重なるという、()()()()()()()()()ような悲惨な状態となり、敵兵10万のうち、生き残って捕虜にされたのはわずか5千人にも満たないというベルミンジャン軍の壊滅的な敗北となった。


 鬼人族軍とボロツク軍は、その余勢を駆って、ボロツク公国内に残っていたベルミンジャン軍の掃討を始めた。ベルミンジャン軍はボロツク公国に侵攻してから、行く先々で暴虐の限りを尽くし、女子供も容赦なく殺戮した。トロールたちは、ボロツク公国も鬼人族国も、トロール大国の領土になった暁には鬼人族も獣人族もエルフ族もすべて殺し、追い払い、トロールだけの国にするという計画をもっていたのだ。


 目には目を歯には歯をで、ラーシャアグロス王国(鬼人族国)に侵攻したアングルスト軍兵もボロツク公国に侵攻したベルミンジャン兵も、その償いを払わされることになった。

 命からがら逃げることが出来たベルミンジャン兵から、グレディアン・シュテン市周辺での戦い-というより殺戮戦と言った方がよりよく分かるだろう- の様子を聞いたベルミンジャン国のドリムンドム・ブラグガル王は震えあがった。

 そして、鬼人族国に侵攻したベルミンジャン軍も、大公軍によって蹴散らされ、()()()()()()()()()()()()()()()との報を受けて、ブラグガル王ショックのあまり部屋に閉じこもってしまった。


 自国内に入りこんで来たトロール(アングルスト)軍軍を掃除し、親戚の家(ボロツク公国)土足で(侵攻した)入りこんだ(アングルスト軍と)トロール軍(ベルミンジャン軍)も一掃した鬼人族国軍は、その勢いを駆ってベルミンジャン王国に侵攻すべく準備を始めた。

 これは三巨頭会議で決められていたことで、ドヴェルグ王国は東ディアローム帝国の領土の上半分を併合し、ラーシャアグロス王国(鬼人族国)はベルミンジャン王国を占領し、ルークドゥル国はアングルスト帝国を占領するという内容だった。

 もはや、アングルスト帝国もベルミンジャン王国も攻勢に出る戦力は残っておらず、守勢に転じるしかなかった。


 魔王国の魔王さまとドヴェルグ国のドンゴ・ロス王、それに鬼人族国のモモコ大王の間で交わされた『密約』-  後ほどテルースの歴史上“三巨頭会議”と呼ばれるようになった会議では、存亡の危機に直面した西ディアローム帝国を救うための策略と東ディアローム帝国との戦いが終わったあとのことについて話し合われた。


 会議で決まったのは、魔王国、ドヴェルグ国、鬼人族国の三国は、西ディアローム帝国を救う代償として、これら三国が見事に二大トロール大国軍を破り、なおかつ東ディアローム帝国軍との戦いにも勝利した場合、これら敵国は、魔王国、ドヴェルグ国、鬼人族国の三国に都合がよいように割譲する権利を盟主国・西ディアローム帝国はあたえるという交換条件を提示するということだった。存亡の窮地にあった西ディアローム帝国政府は、この条件を飲んで三国に救援を求めた。


 その時、三国が要求した条件は次のようなものだった。


①東ディアローム帝国制圧の折りには、東ディアローム帝国の北西部はドヴェルグ王国に割譲する。東ディアローム帝国の東部は、魔王国に割譲する。東ディアローム帝国の南部は、ラーシャグロス王国に割譲するものとする。

②ベルミンジャン王国制圧の折りには、鬼人族国とボロツク公国でベルミンジャン王国の領土を折半して両国の領土とする。

③アングルスト帝国制圧の折りには、魔王国がアングルスト帝国の領土を魔王国の領土とする。


 そして、魔王国を始め同盟国軍は、それぞれの“取り分”を確実にするために作戦を練り、侵攻作戦の準備を進めた。



      テルースの世界西部地図

      挿絵(By みてみん)

 


 3月初旬― 


 アマンダさまは、魔王さまに『アングルスト帝国攻略軍団』のリストを提出した。

参謀長であるアマンダ、軍務大臣ギャストン伯爵、外務大臣スティルヴィッシュ伯爵、それにダルドフェル公爵、ベテラーブ公爵、ナエリンダン侯爵、エルゼレン伯爵、エンギン辺境伯、ハンノンベリ辺境伯、アスレーン辺境伯、ヒムリドール将軍、アンジェリーヌ、ジョスリーヌ、アイフィ、アガリ、ハリジやジロランダなど魔術師のリーダーたちも加わり、数ヶ月かけて様々な議論の末に完成したものだ。



 アングルスト帝国攻略軍団


魔王国第1軍 司令官ナエリンダン侯爵 18万

魔王国第2軍 司令官ベテラーブ公爵 18万

魔王国第3軍 司令官ダルドフェル公爵 20万

魔王国第4軍 司令官エルゼレン伯爵 10万

魔王国第5軍 司令官エンギン辺境伯 17万

魔王国第6軍 司令官ハンノンベリ辺境伯 20万 

魔王国第7軍 司令官アスレーン辺境伯 20万

魔王国第8軍 司令官ヒムリドール将軍 20万

魔王国第一遊撃マーゴイ軍 司令官マーゴイ侯爵 3万

魔王国第二遊撃マスティフ軍 司令官マスティフ伯爵 3万

ドワーヴァリトゥループス(騎士団) バグレーネル総大将/ジルバネール副将10万騎

ガバロストゥループス(騎士団) ドラッゲン団長/グシッケン副団長   5千騎

魔術師部隊 『ブリッツエルヴス(電撃の妖精たち)』 総指揮官 アイフィ・テフ 総勢 50名


 陸軍兵力総計 ……………………………          計159万5千50人



 海上支援部隊:


魔王国第一艦隊 司令官メネルヴァルゴ提督 34隻(内、新鋭装甲艦2隻)

魔王国第二艦隊 司令官グワナド子爵  29隻(内、新鋭装甲艦1隻)

魔王国第三艦隊 司令官ルインギル子爵 27隻(内、新鋭装甲艦1隻)

 海軍艦船数 総計 ……………………………         90隻 

 


 魔王国アマンダ級装甲艦『アマンダ・シルバーロード』

挿絵(By みてみん)


「それで、アングルスト帝国への侵攻開始日は、4月1日の午前零時とします」

アマンダさまが、参謀本部でアングルスト帝国の地図を指し棒で示しながら、作戦を説明している。


「午前零時に、『ブリッツエルヴス(電撃の妖精たち)』による、帝都ゾビアクラストの主要目的- 皇帝宮殿、へアングルスト帝国軍司令部、アングルスト帝国親衛軍駐屯所、帝都防衛軍司令部などの攻撃、いえ、徹底的破壊が行われ、その後にナエリンダン侯爵の第一軍団、ベテラーブ公爵の第二軍団、エルゼレン伯爵の第四軍団、エンギン辺境伯の第五軍団が帝都ゾビアクラストを占領し、その後で海外線および内陸部に配置されている敵軍と交戦・殲滅することになっていますが、これは、ダルドフェル公爵の第三軍団、ハンノンベリ辺境伯の第六軍団、アスレーン辺境伯の第七軍団、それにヒムリドール将軍の第八軍団と共同で挟撃作戦を実施し、敵軍の退路を塞ぎつつ壊滅することを主目的としています」


魔王国参謀本部に直結しているマデンキ(魔法式映像音声送信機)の画面を見ながら、いよいよ最終的な戦争が始まると思い、身が引き締まる思いがした。




突然、魔王国軍の軍事パレードみたいなシーンで終わりましたが、魔王、アングルスト帝国攻略を真剣に考えているようです。これまでにない大兵力を投入します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ