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ネコ耳❤アリシアの魔王城日記  作者: 独瓈夢
二部アリシア子爵
86/316

第86章 アリシア子爵、魔王妃と秘密会談をする(前編)

 私の屋敷で暮らす美女が7人になった。


うーん... なんだか、魔王さまの後宮に似て来てる感じ?


 まあ、それはこの際問題じゃない。

問題は、私のおもちゃ、じゃない...お気に入りのこの()たちが、魔王さまに奪われないかってこと。

魔王さま、気に入った美女はすぐに王妃か妻にしちゃうもんね... 


 ビア経由情報源はマイレィちゃんの情報によると、魔王さますでに六人の元輔祭(ほさい)()たちのことを根掘り葉掘りプリシルさまに聞いているらしい。

 魔王さま、ロニアちゃんたちは、私が屋敷をいただいた時に催した夕食会で見ているはずなんだけど、あの時は、私が買った巨大ベッドの寝心地を試すのに興味津々だったので、あまり招待客とか見なかったみたい。


 それが、今度はキャルニボル大統領の娘、それも飛びっきりの美少女が来たとプリシルさまから聞いて、かなり関心を示しているんだとか。

 アングルスト帝国軍とベルミンジャン王国軍の侵攻騒ぎと魔王国軍の参戦がなかったら、とっくに元輔祭(ほさい)()ら六人とフローリナちゃんを魔宮殿に呼んでいただろうけど、今は反撃作戦の方が忙しくてそんなヒマはないらしい。

 それに、私は以前は魔王城のダイニングルームで毎日食事をしていたけど、今は情報総局と屋敷で食事をしているから、魔王さまに会うこともあまりない。



 情報分析室室長として、私が得た情報では、魔王国艦隊がゾオル湾を封鎖してトロール2国軍の補給路を断ち、後顧の憂いをなくした。魔王軍参謀本部で立案された『西部大州作戦』の第一段階だ。

 この作戦の直後、魔王軍はゾロワリン伯爵の第2軍10万人を西ディアローム帝国に送り込み、ゾオルをを包囲して攻撃をしているベルミンジャン・アングルスト両軍を背後から攻撃し、ゾオルを解放する作戦を開始した。


 そして、同時に何と東ディアローム帝国の首都に電撃侵攻を実施した。

この情報を知った時、私はおやつ代わりに食べていたヤキトリを喉に詰まらせて、椅子ごと後ろへひっくり返った。すぐにフローリナちゃんとミンタちゃんが椅子ごと私を起こしてくれ、マルレーヌちゃんがマオウコーラを飲ませてくれたのでようやくヤキトリを飲みこめた。


「室長さま、ヤキトリを一度にたくさん食べたら喉に詰まりますよ!」

「レイカちゃん、室長さま、いつもこうなんですよ。身体はそれほど大きくないのに食い意地だけは張っていて」

「こら、ミンタちゃん、何んで上司の個人情報を他人に漏らしているの?」

「だって、そうなんですもの」

「ヤキトリが、うますぎるのがいけないのよ」


 最近、ビルの地下一階に、塩で味つけしただけのガル()のモモ肉片を短く切ったネギと交互に串に刺し、砂糖とショウユというあの黒いソースを混ぜたで味付けした掛け汁を塗って炭火で焼いたものだけど、甘じょっぱい掛け汁がトロトロとなたネギの味と絡まったうまさは、肉食であるフェリノディオ族(ネコ人族)の私がハマりこむほどだった。

 この店も噂では魔王さまのお考えを元に開店したお店で、すでに魔都の商業区域に2店開業しており、魔王国情報総局の入っているこのビルの地下にも開店したのだ。


 今日、午後5時過ぎにミンタちゃんに買いに行ってもらったのは、ガル()のモモ肉とナンコツとセセリの焼き鳥6本で、ナンコツとセセリを食べた後で最後のガル()のモモ肉を串を横にしてアーンと大きく口を開け、串を引き抜いて香ばしく焼けたモモ肉とトロトロのネギをモグモグ食べていたところだった。


 もちろん、ガル()のモモ肉もうまいけど、ほかにも― 

コリコリとした食感のナンコツ(ガル()の軟骨)、脂がのってうまいセセリ(ガル()の首肉)、濃厚な味のハツ(ガル()の心臓)、フリソデ(ガル()の肩肉)、スナギモ(ガル()の胃)、カワ(ガル()の皮)、サンカク(ガル()の尾付け根肉)などがあり、ブタの部位を使ったヤキトリもあり、独特の歯ごたえとうま味が特徴のカシラ(ブタのこめかみ)、カリッとした食感とジュワッとした脂のうま味のシロ (ブタの腸)などがあり、肉食である獣人族には、たまらないおいしさだ。

そのほかにも、肉があまり好きじゃない客向けに、キノコとか、トマト、ナス、ミーリョなどヤキトリなどもあるが、私はこのような草類はあまり好きじゃない。


「あら!魔王軍、ゾドアンスロプルに攻め入ったんですか?!」

フローリナちゃんが、私のデスクにあるマデンキ(魔法式遠隔伝達器)の画面を見て、大きな声を上げた。

「えっ、魔王軍が東ディアローム帝国の首都に攻めこんだ?」

クマーラ王子がデスクから立ち上がった。


「魔王軍がゾドアンスロプルに攻めこんだだと?!」

トマーラ王子もデスクをひっくり返さんばかりの勢いで立ち上がり、走って来た。

「何だって?!」

「ゾドアンスロプルに攻めこんだ?信じられん!」

「それ、少し無謀じゃないの?」

「いや、魔王さまもアマンダさまも、負ける戦争はしないお方だ!」

「いや、それにしたって、ゾドアンスロプルの防衛って生半可じゃないだろう?」

トロールたち、職員たち、それに研修生たちまで私のデスクを取り囲んで

ワイワイガヤガヤ... と騒いでいる。


えええ―――っ!

とんでもないことになった!

これ(マデンキ(魔法式遠隔伝達器))、室長だけが見れる国家機密、軍事機密なんだよ?

情報分析官が見たのなら、分析官は上級レベルの信頼できる職員だから、まあいいとして、一般職員が見たってのはマズいよね?


「みんな―――っ、聞いて―――っ!」

跳躍して自分のデスクに着地し、大声を出した。


「「「「「「「「「「!」」」」」」」」」」

一瞬でみんなが静かになり、私を見る。 

 

「いいこと? 私が食いしん坊で、ヤキトリを口いっぱい頬張っていたため、魔王軍がゾドアンスロプルに攻めこんだという情報を見ておどろいて喉を詰まらせたため、軍事最高機密をみんな知ってしまったけど...」


“私が食いしん坊”と言ったことで、吹き出しそうになった者もいた。

“喉を詰まらせた”と言ったところで吹き出したヤツもいた(汗)。

だけど、“軍事最高機密”と言ったところでふたたび静かになった。


「こほん!国家公務員法第十四条第二項第四号: 国家公務員は、その職務上知りえた国家秘密を関係者以外に漏洩した者は、故意であった場合は50年以下の禁固刑、過失であった場合は20年以下の禁錮刑もしくは金貨1000枚の罰金を科する。国家秘密保護法第二章第九条第一項: 魔王国の住民は、魔王国国民、外国の国民であるを問わず、魔王国政府の国家秘密を漏洩した者は、故意であった場合は40年以下の禁固刑、過失であった場合は25年以下の禁錮刑もしくは金貨1000枚の罰金を科する...」


「「「「「「!...」」」」」」

「「「「「「「「「「「.........」」」」」」」」」」」 


細かいことは説明しなくても、みんなわかったみたい。

いや、国家公務員で国家秘密を漏らした者の罪は禁固刑50年じゃないんだけどね?

一般人で国家秘密を漏らした者の罪も禁固刑40年じゃないよ?

え、じゃあ禁固何年の刑かって?

そんなこと知らないよ。

知りたかったら、あの分厚い魔王国法典や魔王国国家公務員法書を読んだらいいんじゃない?


肝心なのは、この情報が今すぐ部外者に伝わらないこと。

どうせ、2、3日もしたら、魔都の全員が知ることになるだろうし。

魔王城の高官とか貴族とか従業員とかが、

「ここだけの秘密だけどね...」

「絶対に口外しちゃだめよ」

なんて前置きをして家族とか知人とかに話して、

それがパーッと魔都中に広まっちゃうのに違いない。



「ふ――ぅ!」

国家機密漏洩を数日引き延ばせて、ほっと安心して、食べ残っていた最後の香ばしいモモ肉とトロトロネギのヤキトリを(懲りずに)アーンと大きく口を開け、串を引き抜いてモグモグと食べはじめた時、ドアからプリシルさまが入って来た!


「室長さま、はい、マオウコーラ!」

目を白黒しはじめた私に、すばやく新しいマオウコーラを差し出してくれたフローリナちゃん。

なんて機転の利く()だ。分析官なんてもったいない。

私の個人秘書に昇格させようかしら?


「やれやれ... (小さな声で)バカは懲りないのね...」

ミンタちゃんが私の方を見て、ため息まじりに言った言葉、聴こえたわよ?

あなたは、分析官から降格して、お便所掃除係ね!


「アリシアちゃん、見事だったわ!」

「プリシルさま、こんにちは」

「今日はリエルさんはお休み?」

「はい。ちょっと身体の具合が良くないので休むと連絡して来ました」

「ツワリがひどいのね」


 リエルさまは、魔王さまとご結婚されて3年目で、ようやく第一子を妊娠されたのだ。

もっとも、リエルさまは魔王さまと正式に結婚する前に、2年ほど魔王城で暮らしているので、魔王さまとデキてからかれこれ5、6年は経っていることになるそうだけど。

ともかく、王妃となったからには、やはり子どもを産まないとね。


 でも、私はお母さまやモナさま、それにマイテさまが魔王さまの子どもを産むなんて想像もしたくないわ。考えても見てよ。お母さまモナさまやマイテさまに魔王さまの子どもが生まれ、その子がしゃべるようになって

「アリシアお姉さまァ!」なんて呼んでいる姿を?

考えただけでもゾっとするわ。


お母さまにも、いつも言っているの。

「お母さま、ゼッタイに魔王さまの子どもなんか妊娠しないでね?」って。

「な、何をバカなことを言っているの?」

お母さまは、年甲斐もなく顔を赤くしながら怒ったけど

お母さま、まだ女性としては十分子どもを産める年代なので、念を押しておくに越したことはない。

三人ともヒニンヤクは忘れずに飲んで、魔王さまと励んで欲しいものだわ...


「アリシアちゃん、あなたまだ仕事中だけど、ちょっとわたくしの部屋に来ていただけるかしら?」

「え、はい。じゃあ、マルレーヌちゃんとミンタちゃん、あとはお願いね」

「はい」

「らじゃ!」

「室長さま、いってらっしゃいませ」

フローリナちゃんが、明るい声で送り出してくれた。


 プリシルさまの局長室は、情報分析室の隣にある。

プリシルさまは、魔王国軍の戦争介入が始まってから、魔王城での務め忙しくなったらしく局長室にはほとんど来ていない。


 局長室に入ると、プリシルさまはドアに『不在』のプレートをかけ、鍵をかけると、ドアと窓のバンブーブラインドカーテンを閉めた。


 え、プリシルさま、私と二人きりで何をするのかしら?

もしかして、マイレィちゃんから、私が元輔祭(ほさい)()たちとお風呂で戯れるのが好きだと知らされて、勧告するのだろうか?

 それとも、もしかして、まだ伯爵になったことを祝う陞爵(しょうしゃく)祝賀会を開いてないので、督促するのだろうか?いや、それにしたって、何もブラインドカーテンを閉めることないでしょ?


 突然― 


ジ…ジジジ…ジジジジ… 

周囲の空気が震えるような音がしはじめた。


あ、通り道(ゲート)が開けられるんだ。

それも、この局長室に!


窓側の空間に小さな穴が開いたと思ったら、見る見るうちにその穴は大きくなり、どこかの部屋が見えた。

その部屋には、アマンダさま、リリスさま、ハウェンさま、それにアンジェリーヌさまとジョスリーヌさまが見えた。あ、マイレィちゃんもいる。アンジェリーヌさまの手先から、淡い光がドコデモボードに向けて放たれている。どうやら彼女が魔力を送っているらしい。


「こんにちは、アリシア伯爵さん!」

「こんにちは、アリシアちゃん!」

「こんにちは、アリシアちゃん」

「アリシアちゃん、お元気?」

「こんにちは」


アマンダさまを先頭に次々に入って来た。

最後にアンジェリーヌさまが入って来て、通り道(ゲート)が閉じた。


「どう、アリシア伯爵さん、キャルニボル大統領のお嬢さんは、もうここでの仕事になれたかしら?」

「はい、アマンダさま。予想以上に飲み込みが早くて、みんな驚いています。何より獣人族語に堪能でエルフ語も解し、政治状況や各国の軍事力にもけっこう明るいので、あと3ヵ月もしたら立派な分析官になります」

「そう。それはよかったわ。魔王国にとって優秀な人材をまた一人獲得出来たと言う訳ね」

「はい」

「それで、プリシルさんから聞いたんだけど、そのお嬢さん、すごい美女なんですって?」


“来たな。これでフローリナちゃんの運命も決まったわね。

このあと、魔王さまとご面会をして、魔王さまからオーケーが出れば、魔宮殿に部屋をあたえられて住むことになり、その日のうちにでも魔王さまによって乙女の花を摘まれることに...

嗚呼(あぁ...)、私だけの『女御殿』の夢が、壊れる... トホホホ” 


「はい。魔都に来てから、美容にも服装にもさらに磨きがかかり、魔王さまのどの王妃さまとお比べしても見劣りしない美女になりました」

隠していても仕方がないので、臍を嚙む思いで正直な感想を言った。


「なるほど。やっぱりね...」

アマンダさまが頷き、プリシルさまは黙ったままで、リリスさまとハウェンさまは頷かれ、アンジェリーヌさまとジョスリーヌさまは、おたがい顔を見合わせて何だか小さく溜め息をついている。


「アンジェリーヌさんにジョスリーヌさん、結界はもう張った?」

「はい。すでにドコデモボード作動前から張っています」

「じゃあ、万が一でもほかの魔術師にも魔王さまにも気づかれる心配はないわね」

「はい。だいじょぶです」


 え?魔王さまに内緒の会合なの、これ?

アマンダ、プリシル、リリスにハウェンの4人は、“魔王妃”と呼ばれる。

この4人は、魔王さまが別の世界から連れて来られたという王妃さまで、それぞれふつうの者にはない能力を持っていると言われている。


 アマンダさまは、あの鬼人族国の猛者、突撃隊のソフィア隊長とほぼ互角に戦える戦闘力をもっているし、リリスさまは、アマンダさまが切り落とした私の腕を復元したような人離れしたような治癒能力をもっている。

 プリシルさまとハウェンさまの能力は、まだ見たことはないけど、マイレィちゃんによるとプリシルさまは百発百中の弓の使い手で、ハウェンさまは絶対防御とか言っていた。


「アリシア伯爵さん、私たちがそろってここに来て、あなたとお話をしている理由は、あなたが可愛がっているらしい元輔祭(ほさい)()たちとキャルニボル大統領の娘のことについてよ」


アマンダさまが、私を見据えて冷たい声で言った。



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