第84章 アリシア子爵、伯爵となる③
1ヵ月後―
魔王城の大ホールで、伯爵への陞爵式が行われた。
私は、陞爵式のために、また特注で衣装を作らせた。
今回は、前回子爵になった時とは違って、袖と衿と前裾に金糸で刺繍が施された豪華な白色の襟高ジャケットにした。ジャケットの下には金色のウェストコート。
シャツは長袖の白シルク、首には白シルクのシャツにの金のシルク・クラバット。
そして、身体にピッタリしたアイボリーホワイトのトラウザーに背中には深紅のマント。腰には、家宝のショートソード。
魔王城のお歴々や高級官僚、将軍たちが集まった大ホールの中央通路を進み、魔王さまの座っている玉座の前に立つ。
「魔王さまは、この度のアリシア・ミラーニア・ゲネンドル子爵の魔王国情報総局情報分析室室長としての大いなる貢献に対して、伯爵号を陞爵授けることを決められました。アリシア・ミラーニア・ゲネンドル子爵、跪きなさい!」
バッチリと男装の麗人を決めこんだアマンダさまに言われ、玉座から立ち上がった魔王さまの前で片ひざを折って跪く。
魔王さまは、アマンダさまから手渡された立派な剣を手に持ち、剣の刃の側面を右肩に当て、次に左肩に当てた。
「アリシア・ミラーニア・ゲネンドル、あなたは、魔王国の伯爵として、いかなる事態になろうとも魔王国と魔王さまに忠実であることを誓いますか?」
アマンダさまが、叙爵式の時の決まり文句を厳かに言う。
「誓います!」
「もし、誓いを破るようなことがあれば、魔王自らその首を刎ねることでしょう」
魔王さまが、剣の刃を私の首に当てた。これも前回子爵になった時と同じだ。
「アリシア・ミラーニア・ゲネンドル。汝に魔王国の子爵位を授ける。心して忠勤せよ!」
「はい」
魔王さまは剣をアマンダさまに渡された。
「アリシア・ミラーニア・ゲネンドル伯爵、立ちなさい」
「はい」
立ち上がった私に、魔王さまが記章を首にかけてくださった。
記章は、子爵の時のと変わってないんだけどね。
まあ、儀式なので同じようなことをやるんだろう。
「ネコ耳、魔王国より先にゾオルで伯爵を叙爵するとは、どういうことだ?」
記章をかけながら、魔王さまがボソッと小さな声で言ったけど、その声の調子は全然怒ってなかった。
そして―
ビリビリ...
ゲっ、ここで、またあの痛み?
これは条件反射か!(汗)。
「これにて、叙爵式を終えます!」
アマンダさまが、言い終えた直後―
「アリシアちゃーん、おめでとーう!」
エリゼッテちゃんの声だった。
「アリシアちゃん、おめでとう!」
エイルファちゃんも祝福してくれる。
「アリシア――!アリシア――!アリシア――!」
すごい騒ぎになった!(汗)。
「アリシアさん、あらためておめでとう!」
アマンダさまが祝福してくださり、続いてプリシルさま、リリスさま、ハウェンさまが祝福してくれた。
アイフィさまたちは、軍事作戦で忙しいので参加できないとプリシルさまが言っていた。
「アリシア――っ!おめでと――う!」
アレクも私を強く抱擁して(ろ、肋骨がつぶれる!)よろこんでくれた。
「アリシアちゃん、おめでとう!」
ルナレイラお義姉さまも祝福してくれた。
魔王さまやアマンダさまたちが、参謀本部にもどらなければならないと言って引き上げた後で、私はみんなに囲まれて祝福を受けた。
お母さまは、私を誇らしげに見て抱きしめてくれ、モナさまも「おめでとう、アリシアちゃん!いえ、アリシア伯爵さまね?」とよろこんでくれ、私を抱きしめてくださった。
「お姉ちゃん、これでもっとお金もらえるね!」
ビアは... 相変わらず現金だ(汗)。
って、ビア、その大きな胸をグイグイ押しつけるのやめなさいって!
そのあとで、軍事大臣ギャストン伯爵夫人のマルイーズさま、外務大臣スティルヴィッシュ伯爵夫人のイリエザさま、 ペンナス伯爵夫妻などから祝福を受けた。
ギャストン伯爵やスティルヴィッシュ伯爵は、参謀本部から出られないとマルイーズさまとリエザさまがお詫びを言ったけど、夫人たちから祝福してもらえただけでうれしい。
ゲラルド伯爵とイクゼル夫人もすごくよろこんでくださった。
ゲラルド伯爵は、魔王さまが無名の貴族であった時に、魔王さまがミタン王から譲り受けた農園の管理をまかせられ、収穫を飛躍的に増大し、魔王さまのその後の活躍の資金を作ったと言われるカニスディオ族で、言わば忠臣中の忠臣だ。
その功績から、魔王さまはゲラルドさまを魔王国の農業・漁業・工業大臣に任命し、伯爵の位をあたえられた。魔王国が、現在、農業大国である最大の理由の一つは、魔王さまがブレストピア国とマビハミアン国を占領したあとで、両国のすべての貴族の領地を没収・国有化し、元領主たちをそれぞれの領地の管理責任者とし、ミタン国の農場で大きな成果を出した農業経営方式を魔王国でとりいれたからだ。
「アリシアさん、この度の伯爵への叙爵、誠におめでとうございます」
「本当に!ヤーダマーの塔で見たはだしのフェリノディオ族の娘さんが、伯爵になるとは!」
ゲラルド伯爵とイクゼル夫人が、私の手をとって祝福してくれた。
「ありがとうございます!」
大きな身体に温和そうな顔のゲラルド伯爵を見ていると、突然、頭が閃いた。
「あの... 折り入って大臣にご相談したいことがあるんですけど、あとでお伺いしてもよろしいですか?」
「え、私に相談?アリシア伯爵さまからご相談されるとは光栄です。夕方の6時以降でよろしければ、自宅でご相談に乗らせていただきますが」
どこまでも謙虚な方だ。
「室長、おめでとうございます!」
「室長、伯爵さまになられたってすごいですね!」
「おめでとうございます!すごいですね、西ディアローム帝国と魔王国で伯爵になるなんて!」
「本当ですよ。でも、 ドリアンスロゥプ皇帝陛下とジャブイ皇后陛下をお救いしたのですから、当然ですね」
ロニアちゃんとアマラちゃん、それにミンタちゃんとマルレーヌちゃんも祝ってくれた。
レイカちゃんとペーミンちゃんは、朝番なので情報分析室で仕事をしているので参加できず残念がっていた。ミンタちゃんとマルレーヌちゃんは、昼番で午後4時から分析室に入る前に参加してくれたのだ。
「アリシアさま。魔王国での伯爵陞爵、本当におめでとうございます」
大勢の政府高官や貴族に取り囲まれての祝福がようやく一段落した時、後ろの方にいた目立たない感じのパンサーディオ族の美少女が微笑んで祝福してくれた。
いやいや、この娘、すごい美少女だし、みんなが注目しているよ?
「知らない顔ばかりだったでしょう?」
「魔王陛下って... すごくお美しいんですね!」
「え?」
この娘、魔王さまを見ていたの?
頬をほんのり染めて、何やら夢を見ているような感じのパンサーディオ族娘。
「あれだけ、お美しかったら、女性はひとたまりもなく恋してしまいますね」
こりゃ、(魔王さまに)恋する乙女の目だよ?
「フローリナさん、魔都の生活に慣れそうですか?」
「あ、プリシル王妃殿下さま!」
「そんなに畏まらないで。アリシアちゃんみたいにプリシルさまだけで結構よ」
「え、でも、王族の方への尊敬は...」
「ふふふ。ここは魔王国。魔王さま自身、そういうのはお好きじゃないし、陛下とか閣下とかいう敬称はこの国では使わないのよ」
「えええっ!」
目を白黒しているパンサーディオ族美少女のフローリナさん。
キャルニボル大統領の娘で、お父さんの大統領秘書官となるべく修行中だったのだけど、キャルニボル大統領さん、私がわずか14人だけでドリアンスロゥプ皇帝陛下とジャブイ皇后陛下を救出した私に感銘したらしい。
「世間の役に立てる子に育てようと思ったら、他人の飯を食わせろと言う諺があります。ぜひ、アリシア伯爵殿のもとで鍛えていただきたい!」
エテルナール教の総本山の古代文書の光写作業が無事終了して、ゾオルを離れるにあたって、ダイダロス宮の謁見の間で皇帝陛下にお礼を述べて出た時に、キャルニボル大統領からお願いされたのだ。
「あら、いいじゃない、アリシア伯爵?ロニアちゃんとアマラちゃんたち見たいに面倒を見てあげたら?分析室にもまだ職員数枠空いているでしょう?」
プリシルさまの言葉で決定した。
フローリナさんは、獣人族語に堪能だし、エルフ語もわかるので、元輔祭ちゃんたちについて情報分析の仕事をやってもらうことにした。
当分の間は分析官見習い。3ヶ月ほどして仕事に慣れたら分析官にするつもり。
でも、お父さんが大統領だったためか、彼女は予想以上に各国の政治事情や軍事力に詳しく、マルレーヌちゃんは、「1ヶ月もしたら、私たちと同じ仕事ができます」と太鼓版を押していたから、室長の私にとっては優秀な人材を獲得できてウホホな気分。
情報分析室での仕事は、当分の間はふつうの職員と同じく、朝の9時から夕方の5時までだ。
なので朝はビアと登庁し、夕方は5時に帰るんだけど、何だかフローリナさんすごく張り切っちゃって...
なんと昼番のマルレーヌちゃんとミンタちゃんの時間帯にまで居残って仕事をして、二人の元輔祭ちゃんといっしょに午後11時まで仕事をする始末(汗)。
いや、残業は基本禁止なんだけどね。「早くお仕事をおぼえたいです!」って言ってきかないから、特別に許可したよ。
フローリナさん、いや、もうさん付けじゃなくフローリナちゃんってみんな呼んでいるんだけど、彼女もやっぱりビルの地下1階にある『マオウナルド』の得意さんになっちゃったわ。
情報分析室では、24時間体制になってから職員に軽食を出すようになっていた。
私はトリプルバーガーが大好きだし、職員もほとんどが好きなので『マオウナルド』に毎日届けるようにたのんでいたのだけど、フローリナちゃんは、初日に初めてトリプルバーガーを食べた時から虜になってしまった。
フローリナちゃんは、もう成長期じゃないんだけど、ほら、彼女、アマラちゃんと同じパンサーディオ族でしょ? 体格がいいし、おムネもけっこうボインボインだし、オシリもけっこうブルンブルンで豊かだし。
だから、このボインボインおムネとブルンブルンオシリを維持するための食欲が半端ないのよね。
フローリナちゃんは、いつもビッグトリプルバーガーと超大袋入りのポテトとマオウコーラ特大コップを注文する。ビッグトリプルバーガーってけっこう大きいんだけど、それに500グラム入りの超大袋入りのポテトをフローリナちゃんは食べる。それも、いつも三分の一だけ。
あとは、仕事中にお腹が空いた時に、ポリポリと長さが10センチもある揚げポテトを食べている。
そして、仕事を終えて家に帰る時も、かならずビッグトリプルバーガーと(今度は)大袋入りのポテトとマオウコーラの大コップを『マオウナルド』で買って帰る。
休日になると、非番の元輔祭の娘たちと魔都歩きを楽しむようになった。
当然、太っ腹なアリシア伯爵さまは、「好きな服や靴、装飾品を買いなさい」と金貨10枚を渡してあげた。
もちろん、今回もプリシルさまから「フローリナさんが、魔都で不自由しないように」と金貨20枚を渡されていたので、それを渡しただけなんだけどね。案の定、フローリナちゃんは、すごく感激していたわ。
そして、アマラちゃんやペーミンちゃんたちにも持ってもらって、たくさんの紙袋を持って帰って来た。おそらく、ゾオルでは絶対に着ない(お父さまのキャルニボル大統領が卒倒するだりうから)だろうと思われるホットパンツとか、ちょっとかがんだらおパンティが丸見えになるミニスカートとか、可愛いおヘソが見えるトップスとかをたくさん買ったみたい。
もちろん、おパンティやブラジャーもたくさん買っていた。
買い物から帰って来て、私の部屋の巨大ベッドの上に買い物を広げて、買い物の品評会(?)およびにわかファッションショーとなった。
フローリナちゃんは、ボインボインのおムネの持ち主なので、ブラジャーはすべてフルカップルブラだったけど、おパンティを選ぶ時にマルレーヌちゃんとペーミンちゃんの主張が違い、フローリナちゃんは少し困ったそう。
マルレーヌちゃんは、その性格から、穿きこみ丈がウエストあたりまであり、オシリを完全に覆うような無難でふつうのパンティを勧めたらしい。
若いペーミンちゃんは、マルレーヌちゃんの反対で進歩的かつかなり先鋭的な考えの持ち主なので、オシリを覆う生地がなくオシリが丸見えになるパンティをフローリナちゃんに勧めたらしい。
「これだと、フローリナちゃんのきれいなオシリがスッキリと見えるのよ!それに、後ろから見た時、パンティの輪郭線が目立たないのよ。魔都の若い娘はみんなこれを穿いているのよ」
この言葉でキャルニボル大統領の娘ちゃんは、決意をした。
“わたしも流行の最先端を行く魔都で美的感覚を磨くわ!”
「ほら、じゃあ、これを付けて、これを穿いて見て!」
「ええっ、ここで?」
「あら、いいじゃない。ここには女の子しかいないんだし!」
「そうよ。もういっしょにお風呂に入った仲じゃない!」
「そうよ、そうよ」
私やペーミンちゃん、マルレーヌちゃんに言いくるめられて、恥ずかし気に来ていた長いドレスを脱ぎ、スリップを肩から落とした。
下からは、白いブラジャーに包まれたこんもりとした豊かなおムネと白いおパンティ姿のパンサーディオ族美少女の身体が現れた。




