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ネコ耳❤アリシアの魔王城日記  作者: 独瓈夢
二部アリシア子爵
71/316

第71章 アリシア子爵、陰謀に加担する②

「じゃあ、光写が終わった資料は、ドコデモボードの部屋に運ばせて、そこからゲート(通り道)を通って保管庫側に運ぶのよ!持って来た順番に運ぶのよ?絶対に順序を間違えてはダメよ!」


プリシルさまが指示をしている。


「はい!」

「わかりました」

「了解です」

「はい」


 ミカエラさま、アマラちゃん、アレクさん、マイレィちゃんが、それぞれが担当する資料が置いてあるテーブルに行って、部屋の端で待機していたガバロス親衛隊に、ドコデモボードの部屋から保管庫側に持って行く資料を指示しはじめている。


 私とロニアちゃんも急いで自分たち担当資料が置いてあるテーブルに行って、光写がすんだ資料を確認してロニアちゃんといっしょに積み重ねてから親衛隊さんに指示をした。


「これは、もう持って行っていいわ」

「ガッ!」


 ガバロス親衛隊さんは、頷くと大事そうに抱えて出て行った。

 もう一人の親衛隊さんが、次に持って行く資料を私たちが分けるのを待っている。


 それからの作業は、もっとも大変な作業だった。

 ちゃんと元通りに書架にもどせるように確認しなければならなかったからだ。

 それも、図体の大きいガバロス親衛隊が何人も何人も出たり入ったりしたり、テーブルの上をソントンプ研究所の研究員たちが、大きな光写機を抱えてテーブルの上を行ったり来たりしている中でやらなければならなかったからだ...

 ......... 

 ......... 


 バタバタと慌ただしい時間が過ぎた。

 感覚的には1時間ほどだと思ったけど、4時間以上かかっていた。


 途中で魔王さまがアマンダさまたちと来られて、作業の様子を満足そうな顔で見て回った。

 そして、マイレィちゃんが忙しそうに手伝っているのを見て―


「マイレィも久しぶりに頑張っているようだな?」

「うん、パパ。今月のお小遣いは3倍だよ!」

「うむ。あとでママと相談しよう」


 なに、魔王さま親子のあの会話?

 マイレィちゃんは(したた)かだけど、魔王さまはさらに上回る(汗)。



 アマンダさまが、差し入れのトリプルバーガーをメイドたちに持って来させたのを別の部屋でいただき、そのあとでトイレに行ったり、お化粧を直したりと小休止をしたあとで、ふたたび作業再開。

 バタバタと忙しい作業が続いた。光写が済んだ資料は、順次ガバロス親衛隊の隊員たちがドコデモボード部屋に運び、そこからゲート(通り道)を通って総本山の保管庫に運び、私たち担当者が、元あった書架にもどす。


 ドコデモボードの発動には魔力が必要なので、ヴァスマーヤさんがドコデモボード部屋で魔力を送り続けて通り道(ゲート)を開いたままにして、向こう側とこちら側の通行を可能にしてくれている。

 保管庫の入口ではアイフィさまが、オジロン大神官が保管庫に様子を見に来ないか見張っている。



 マイレィちゃんはさっき資料を光写している部屋にいたけど、保管庫で誰か見回りに来るの警戒するんじゃなかったっけ?

 ま、いいか。おそらく誰も保管庫を見に来ないだろうし。

 子どもだからね。ひとつのところにじっとしていられないのよね?

 それに今月のお小遣いを上げてもらわなきゃならないからね。



 エテルナール教総本山の秘蔵書保管庫にもどったのは― 

ゾオルの時間で午後7時近かった。さすがに疲れたわ。


「今日はこれまで。さ、出ましょう!」

プリシルさま、意外と元気。


 ランプを手に地下通路をもどり、階段を上がって鉄扉に着き、コンコンと叩いて衛兵に鍵を開けてもらう。


「大神官殿からの命令です。恐れ入りますが、バッグや持ち物の中を調べさせていただきます」

衛兵が丁寧に言って、カバンなどの中身を調べはじめた。

 カバンの中には、アイフィさまやロニアちゃんとアマラちゃんが、前もって何やら古代魔法に関することがごちゃごちゃ書いてあった帳面や、私物しか入ってない。


「けっこうです。どうぞお通りください」

「お疲れさま」

「お疲れさまです」

「また明日ね!」


 馬車に乗って宿泊所であるダイダロス宮殿に帰る前に、一応オジロン大神官に挨拶をしに行く。


「おう、こんな時間まで調べたのですか?精が出ますね?」

「はい。あまりにも資料が多すぎて、どこから手をつけたらいいか戸惑いましたわ」

「わ――っはっは!そうでしょう、そうでしょう。神聖アールヴ文字を読めるのは、テフ神教官とロニアとアマラだけですし、彼女たちの解読能力をもってしても... たったの4時間では、一人で10枚も解読できればマシな方でしょうからね!」


 オジロン大神官は、私たちが難解な神聖アールヴ文字の解読に手こずっていると思って満足そうだった。

 彼自身、総本山で教皇に次ぐ実力者で、主席大神官としての職務をソツなくこなす傍ら、若い時から関心をもっていた『神聖アールヴ文字』の解読研究も続けるという、“学者肌”の一面ももつ大神官でもあったのだから当然だろう。

 実際、彼の執務部屋は、ギッシリと神聖アールヴ文字関連の書類で埋まった書棚で囲まれていて、大きなデスクの横にも神聖アールヴ文字で書かれた書物が積まれていた。

 長年解読に苦労して来た彼がようやく少しずつ古文書などを理解できるまでになったのを、いくら魔法関連とは言え、私たちが簡単に内容を理解できるはずがないと大神官は思っているらしく、私も当然だと思った。


 馬車に乗るために表に出ると― 


 そこには、ガバロス親衛隊が50人ほどいた!

 そして、護衛のリンド君も馬に乗っていた。

 私を見て、顔を赤くしたよ、護衛君?


「プリシル王妃さま、センチュリオン(百人隊長)のバンジャケンです。魔王さまのご命令で護衛に参りました!」

「どうもご苦労さま!」


 呆気に取られている私たちに構わず、プリシルさまとマイレィちゃんはさっさと馬車に乗った。

 続いてミカエラさまとアレクさんも乗る。

 いや、呆気に取られていたのは、私とロニアちゃんとアマラちゃんだけだったんだけど。


「さあ、私たちも乗りましょう」

アイフィさまの言葉に、私とロニアちゃんとアマラちゃんも馬車に乗った。


 護衛に駆けつけたガバロス親衛隊が乗っているのは、馬の2倍以上もある巨大なトカゲのようなバケモノ-ヴァナグリだったので、総本山は蜂の巣をつついたような騒ぎになっていた。



   *     *      *



 ヴァナグリーは魔王さまがミタン国のヴァン湿原に棲む巨大な両生類で、大きいものは長さ6メートルにも達する。ヴァナグリーの鱗は硬く、ちょっとやそっとの力では斬ろうとしても傷もつかないし、矢も受けつけない。

 それにヴァナグリーの動きは敏捷だし10メートル以上も跳躍する。その鋭いキバと敵の背骨さえ折ってしまう太いシッポの一撃は恐怖の武器となる。


 プリシルさまの話によると、魔王さまはミタン王からホルモールの別邸を譲ってもらい、そこへ行く途中のヴァン湿原でドワーヴァリ族のソフィエッタ姫(現在のソフィエッタ王妃)に一目惚れされ、彼女の両親のドジョーネル王とナンシーネ王妃にもすごく気にいられた。


 そして、ドワーヴァリ族が馬代わり&狩り犬代わりに使っていたヴァナグリーを「好きに使ってくだされ、婿殿」とドジョーネル王から提供され、これを狂暴なガバロス戦士たちと組み合わせて、おそらくテルースの世界最強のガバロス騎士団を創設し、以来ガバロス騎士団は魔王軍の重要な戦いで勝利を魔王軍にもたらして来た。



   *     *      *



 アイフィさまは馬車の中で、魔王城でプリシルさまが、アマンダさまにゾオルで襲撃に遭ったことを報告したことを話してくれた。


「『えっ?またゾオルで襲撃されたの?』って、アマンダさまが驚いていてね。

『まったく、ゾオルって敵の間者や刺客がたくさんいるんですね』ってプリシルさまが言ったら、

『「皇帝も前回のことがあるから、通る道筋の警備を増やしたらいいのに。よし、私から魔王さまに話して、ガバロス親衛隊を送るように進言するわ』ということになって。キャルニボル大統領も二回目なので“必要ありません”って言えなかったらしいの」


 馬車は総本山を出て、ゾオルに向かう街道に出た。

 街道を歩いている獣人たちが、いかつい顔をした全身黒鎧のガバロス親衛隊が、恐ろしいバケモノ(ヴァナグリー)に乗って歩いているのを、驚愕しした顔で見ている。


 窓から見ると、黒ずくめの甲冑に包まれたガバロス親衛隊の中で、銀色のプレート姿のリンド君はすごく目だった。頭に銀色のヘルムを被り、胸と背中、腕、脚に銀色の防具を付けた護衛君は、たしかにカッコよかった。

 ロニアちゃんとアマラちゃんが、恋する乙女のような目で見ていた(汗)。



 1時間ほど馬車に揺られてダイダロス宮殿に到着した。


「どうもお疲れさまでございます。皇帝陛下より、8時に晩餐会を開くので是非ご出席願いたいとのお言葉です」

帰って来た私たちを出迎えてくれたのは、ダイダロス宮に到着した時にキャルニボル大統領といっしょにいた、淡い黄色の美しい髪の若く美しいパンサニディオス族(ヒョウ族)の女性秘書官だった。


 彼女は慇懃に伝言を伝えてくれ、私たちの部屋がある別館まで案内してくれると言った。

ま、私たちだけでも行けるのだけど、これはキャルニボル大統領の配慮なのだろう。


「あれ、この通路、私たちの部屋のある方向とは違うよ?」

さすがにマイレィちゃん、道順が違うのに気づいた。


私たちも気づいていたんだけどね。

「ゾオルでは、今日の襲撃事件で魔王国の王妃さまたちがゾオルを訪れているとみんな知っています。なので、皇帝陛下は皆さまを国賓をお泊めする宿舎へ案内せよと仰せましたので、『パンディーオーン宮』へ向かっております」

若いパンサニディオス族(ヒョウ族)の秘書官が説明してくれた。


 なるほど。襲撃はふせげなかったし、これ以上西ディアローム帝国政府の評判が悪くなる前に国賓しか泊まらないという『パンディーオーン宮』に泊まらせるというわけね?

 女性秘書官によると、パンディーオーン宮は想像以上の迎賓館で、300平方メートルもの広さの寝室が50もあるのだとか。


 なぜ、これほど大きな寝室やリビングルームがあるかと言えば、「エレファンティオス(ゾウ人族)ヒノセロディオス(サイ人族)などという体の大きな獣人でもゆったりと宿泊できるように設計されているのです」と女性秘書官は説明してくれた。

 そのほかにも500平方メートルの広さの暖炉付きリビングルームが3つ、広大な屋内ビリヤード場、2万平方メートルもある屋外プール(ヒポポタディオス(カバ人族)が使うことも考えて作られたらしい)や広いサウナ風呂などの娯楽施設があり、そのほかにも300人が一度に食事できる食堂、付き添いの侍従・侍女用の部屋などもたくさんあり、調理場なども完備されてあるそうだ。これだけで一つの巨大な娯楽施設付きの高級ホテルみたいなものだ。



「それでは、1時間後にお迎えに参ります」

そう言って若い秘書官は去って行った。


 リンド君とガバロス親衛隊は、20人ほどが部屋までついて来た。残りは外にいるらしい。

 さすがに敵もダイダロス宮の中まで襲撃して来ないだろうけど、もし襲撃されてもリンド君とガバロス親衛隊がいればだいじょうぶだ。


「ボクはここで待っています」

ドアを開けて寝室に入ろうとした私に、リンド君が言った。

廊下で待っているつもりらしい。まあ、中に入ると私たちが着替えをするためにハダカになるのを見ることになるので、懸命な判断だ。


私はうなずいただけだけどロニアちゃんとアマラちゃんは―

「お願いします!」

「覗いちゃダメよ?」

なんて言って部屋に入った。


 あのね、あの護衛君は私専用の護衛君なの。

 それに、覗いちゃダメよって何?

 覗き見なんかするわけないでしょ?


 まあ、ブツブツ言っても始まらない。

 さっさと風呂に入って、お化粧をして着替えて、晩餐会に行こう。

 私がパッパと服を脱いで真っ裸になるのを、ロニアちゃんとアマラちゃんが服を脱ぎながら目を丸くして見ていた。


 な、なによ?

 え、乙女なのに同性の前と言えど、ハダカになって恥ずかしくないのかって?

 全然恥ずかしくないわよ! ビアとはいつもいっしょだったし、ルナレイラお義姉(ねえ)さまなんかともヤーダマーの塔でいつも洗いっこしていたし。

 それに、魔宮殿の大浴場では、ハダカをいつも見られているし、みんなのも飽きるほど見ているしね... 


 それから三人でお風呂で30分ほどキャーキャー騒ぎながら遊んだ。

 遊びすぎて、着替えた後のお化粧に時間がかかることをすっかり忘れていた(汗)。


「くそっ、ゼニヤさんを連れて来るんだった」

やばい、レディーが口にしてはならない言葉を口にした!

ロニアちゃんとアマラちゃんは、私が汚い言葉を言ったので驚いて口に手を当てていた(汗)。

 

 急いでお風呂から出て、三人でおたがいにお化粧を手伝ってあげ、髪を梳いてヘアピンで止めて形を整えた。

 ロニアちゃんとアマラちゃんの髪のセットが終わり、私の髪を二人がかりで整えていた時― 


「アリシア、行くぞ」

アレクの声がドアの外から聴こえた。


「あ、はい。子爵さまは、あと...10分で準備が終わります」

ロニアちゃんが答える。


「あと10分?...」

「あ、あと5分あればだいじょうぶです!」

アマラちゃんが訂正する。


「アリシア、皇帝陛下からご招待された晩餐会に遅れるつもりか?!」

アレクの声が大きくなった。

怒りの口調だ。


「そのままで行くのだ!」

「ひぃえっ!行くわ、行きます!」

指で髪にジグザグに分け目を作って二つに分ける。ふたつ結びにするつもりだったけど、片方だけ結んだ状態であわてて飛び出した。


「ぷ―――っ!なに、その髪型?」

マイレィちゃんから思いっきりからかわれた(涙)。

「あなたたち、1時間もあったのに何をしていたの?」

ミカエラさまから呆れた顔でジロジロと見られ― 


ロニアちゃんは真っ赤になって何も言い返せなかったけど

「三人でお風呂で遊んでいたんです!」

アマラちゃんは、正直に、いやバカ正直に本当のことをバラした。


輔祭(ほさい)って、ウソも方便って(ことわざ)知らないの?

って、私もこの(ことわざ)はビアから習って、ビアはマイレィちゃんから習ったらしいんだけど。


「あっは~ん。そういうことだったの?」

マイレィちゃんが、オマセな顔をして腰に手を当てて言った。


 次の瞬間―

「きゃーあ、痛いわママ!」

プリシルさまから耳を引っ張られた。


「マイレィ、いつも言っているでしょう?人さまの個人的なことや私生活のことを噂したり、勘ぐって言いふらしたらダメって!」

「ごめんなさい、ママ」


「謝るのは、こちらの三人に」

「ごめんなさい...」

マイレィちゃん、ベソをかいていた。


「あなたたち、今マイレィから聞いたことは口外厳禁よ。いいわね?」

レディースメイド二人とカニスディオ族(イヌ人族)の付き人に言う。

「はい」「はい」

「はい」


 プリシルさまは王妃だ。

 それもアマンダさまに次ぐ地位を持つ王妃。命令に背いてマイレィちゃんから聞いたことを魔王城で言いふらしでもしようものなら、ムチ打ちの刑どころではない厳罰が課せられるだろう。


 私たちを迎えに来たパンサニディオス族(ヒョウ族)の若い秘書官は、何も聞かなかったような顔をしていた。よく出来た秘書官だ。きっと私たちの秘密を守ってくれるだろう。

 そして― 


 リンド君は、少し離れたところから、私たちの騒ぎを黙って見ていた。

 彼は、私たちがお風呂で遊んだり、着替えやお化粧で長い時間を費やしている間もじーっと一人で廊下で待っていたのだろう(汗)。


 晩餐会が開かれる大広間に向かいながら、プリシルさまがパンサニディオス族(ヒョウ族)の秘書官と話していた。彼女も若い秘書官を気に入ったようだ。

 晩餐会に向かうプリシルさまの服装は、上品なブラッシュカラーのオフショルダードレスに真珠のネックレスという王妃らしい風格のあるファッションだった。

 ミカエラさまは、胸元の大きく開いたデコルテのAラインのレッドドレスとそれに合わせた3連のエメラルドのネックレス。


 アイフィさまのドレスは...  

 晩餐会で一番注目を引くんじゃないかしら?


 アイフィさまは、シャンパンピンクカラーのワンショルダードレスを着ていた。太もも部分にかなり長いスリットが入っていて、美しい脚を際立たせている... のだけど、もうちょっとでおパンティが見えそうなくらいだ(汗)。

 それにドレスは肩紐がなく、胸元が大きく開いていてオッパイが半分くらい見えている... 

 げっ、アイフィさま、ピンク色の円形状のモノが半分露出していますよ!?


 ラビットディオ(ウサギ人族)のレディースメイドさんが、すぐに気づいてドレスの胸元を引っ張り上げた。


 ほっ!


 よく気が利くレディースメイドさんだ。

 レディースメイドさん、私の視線に気づいて、「アイフィさま、晩餐会の前にそんなに葡萄酒を飲んだら酔いますよって言ったんですけど」と困った顔をしていた。

 アイフィさま、お部屋で葡萄酒を飲んでいたらしい(汗)。


 私の服装は... 

 目が覚めるようなイエローのホルターネックドレスとドレスに合わせて色鮮やかな青緑色のイヤリングを耳に付けた。


 これも... けっこう目立つかも?


 ロニアちゃんとアマラちゃんは、それぞれ水色と淡いピンク色のおとなしいデザインのドレスだ。

 これは、私が魔都で買ってあげたんだけど、二人ともこんなドレスは初めてと言ってよろこんだけど、元輔祭(ほさい)なので胸元が大きく開いたのとか、肌の露出が大きいのは避けた。

 ま、賢明な選択だったと思うよ。 


  青緑色のイヤリング

   挿絵(By みてみん)


「ところで、あなたのお名前は何て言うの?」

「フローリナ・カミュエマ...です」

「家系名は?」

「...... キャルニボルです」


「と言うことは、大統領の娘さん?」

「はい...」

「そう。キャルニボル大統領には、こんな出来たお嬢さんがいたのね」


「年はいくつ?」

「17歳です」

「あなた... 魔王国で経験を積みたいと思わない?」


「え?何の経験でしょうか?」

「外交官としてのよ」

「で、でも...私は、まだ獣人語しかわからないんですけど」


「あ、それはだいじょうぶ。ほら、後ろにいる、今日の晩餐会で引っ張りだこになるアリシア子爵がいるから」

「え?」

フローリナさんは、後ろをふり返って私を見た。


 え、なんで私がプリシルさまとフローリナさんの会話を日記に書いているかって?

 それは、聴こえたからよ。フェリノディオ族(ネコ人族)の聴覚が鋭いってこと忘れてたの?


 プリシルさまとフローリナさんの会話はそれで終わった。

 屈強な近衛兵が入口にいる大広間についたから。

 ちなみに、私たちの周囲には20人のガバロス親衛隊が護衛をしていた。

 フローリナさんは少しビビッていたけど、御者まで刺客で、ニセ兵士に殺されそうになった私たちにとっては、ガバロス親衛隊の方がダイダロス宮の近衛兵よりずっと信用できる。



 豪華な大広間の中には、2千人ほどの獣人がいた。

 みんな西ディアローム帝国の高官や貴族たちだ。私たちが入ると、みんなおしゃべりをやめて、一斉に私たちの方を見た。


「なんだ、あの魔王国の王妃の後ろにいるフェリノディオ族(ネコ人族)の娘は?」

「あれが、魔都で流行っている髪型ね?」

「あのフェリノディオ(ネコ人族)の女の子、すごくかわいいじゃないか?」

「いや、あれは美少女だよ。あんな美少女は、西ディアローム帝国でもめったに見ないぞ?」


この時ほど、フェリノディオ族(ネコ人族)の聴覚の鋭さに困ったことはなかった。



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