第52章 アリシア子爵とエタナールマス(後編)
いやあ... “秘密のお友だち会”では、すっごく恥ずかしい思いをしたわ。
マイレィちゃんは、ビアから片っ方のオッパイの90パーセントが見えるような恥ずかしい水着の贈り物をもらったけど、マイレィちゃんの場合、もらった本人はとてもよろこんでいた。
だけど、私の場合はね...
なに、あの透け透けの七色おパンティに七色ブラジャーって?
あんなのは、男からの贈り物に決まっているでしょう?
それも、下心見え見えな、あんなモノをくれる男って... 魔王さまくらいしかいないでしょ?
そっと魔王さまの顔を見ると、ニンマリと満足そうな顔をしていた。
やはり、彼がこの贈り物をくれたのに違いない。
「誰が... これをくれたのか... わかりません」
私は、敢えて、“魔王さまがくださった”と言わなかった。
「えええ―――っ!アリシア子爵さん、どなたが その...ステキな下着をくださったのか、わからないんですか?」
プリシルさまも、少し言いよどんだ。
だけど、彼女もすでに魔王さまからの贈り物だとわかっているみたい。
それもそうか。プリシルさまだけでなく、アマンダさまたち魔王妃もほかの王妃たちも、魔王さまが比類なき美女好きだってことは、肌に凍みて知っているだろうし、赤の他人が、私- 若い女性であり、しかも子爵である私に、下着なんて言う“意味深長”な贈り物をくれるはずなどないからだ。
魔王さまの顔をちらっと見ると―
すごくつまらそうな顔をしていた?
真犯人はオマエで確定だ!
「それでは... アリシア子爵は、誰がくださったのかわからないと言っていますので、この...子爵の女性らしさを際立てる贈り物を用意された方は名乗り出てください」
プリシルさまが、そう言って会場内を見渡す。
............
............
それまで騒めいていた広間が静かになった。
「それは 私だ 」
魔王さまが名乗り出た。
「あ、ありがとうございます」
一応、お礼を言っておいた。
やはり、いくらこんな下着をもらったにせよ、礼節はわきまえるべきだ。
にっこりと(作り笑いをして)笑って、優雅に礼をした。
私も成長したものだ(汗)。
パチパチパチパチ……
どういうわけか、みんなが拍手をしはじめた。
そのあと、残っていた10個ほどの贈り物が、それぞれ開けられ、“秘密のお友だち会”は一応終わり、めいめいテーブルについて、ご馳走を食べたり、葡萄酒を飲んだり、おしゃべりをして一段落した頃に、頃合いを見計らったかのように、ワイワイと言いながら、連中が入って来た。
「いやあ、ちょうどよかったですじゃ!」
白く長いあごヒゲにとんがり帽子- トンシートゥンシー大先生とソントンプ研究所の連中だ。
ゴロゴロと何やら、一抱えもありそうなモノを台車に乗せてはいって来た。
「遅かったではないか?」
魔王さまが、冗談っぽい口調で言う。
「いやあ、試作品が出来たので、トムたちが魔王さまたちにお披露するまえに徹底的にちゃんと作動するか確認しようちゅうてですな...」
「オレとメリッサが踊りはじめたら、ウラシーマとヴィヴィアンも踊りはじめ、次から次へと人数が増えちゃってさ!」
トンシートゥンシー大先生の甥のトムズークルと妻のメリッサが、台車の上に乗せているモノに被せていた布をとった。
台車の上に乗っていたのは―
何やら、両側に大きな四角い穴の開いた箱があり、真ん中にマデンキみたいな黒い画面と操作ボタンみたいなのが下についている、大きな箱型の機械だった?
「この魔道具の名前は、チクワン... タクワン... えーっと何じゃったかな?」
「チクオンフォンですよ、師匠! 魔王さまが、チクオンフォンにしろとおっしゃったじゃないですか?」
「おう、そうじゃった。やはりトムは若いから物覚えがいいのう!」
「これは、楽団の奏でる音楽や歌、声などを魔法陣に記録し、好きな時に聴ける魔道具なんですよ!」
メリッサさんが、魔道具の説明をする。
「それでは、早速、タクワンフォンじゃない、チクワンフォン...」
「チクオンフォンです」
「そうそう、今から、これを鳴らしてご覧に入れます」
トム君が、何やら操作ボタンを押すと―
ズンチャッチャ ズンチャッチャ♪
なんと、その大きな箱型の機械から楽団がいつも演奏している曲が流れはじめた!
オオオオオオ――――…!
その機械の周りを興味深そうな顔をして取り回いていた者たちが、歓声を上げた。
「うむ。ご苦労であった。さあ、食い物も飲み物もたくさん余っておる。好きなだけ食べて飲むがよい!」
魔王さま、ご満悦でソントンプ研究所の連中に言った。
そして、つかつかと私のそばにきて
「ネコ耳子爵、私と一曲踊ろうではないか!」
踊りを申し込んだ。
ここ、ふつうなら、“アリシア子爵さま、一曲踊りの相手をお願いできますか?”と高貴な男性らしく誘うべきところだが... いかんせん、ここは魔王国で、私は魔王さまの国の居候みたいなものだし、相手は魔王さまなので、愛想よく微笑んで「はい。よろこんで!」と答え、魔王さまに手を引かれて椅子から立ち上がった。
ズンチャッチャ♪
ズンチャッチャ♪...
楽し気な曲に乗って、踊りはじめる。
渡したちが踊りはじめると、すぐにほかの人たちも踊りはじめた。
「ネコ耳、私の贈り物は気にいらなかったのかね?」
やっぱり訊いて来た。
「... ステキな贈り物でしたけど...」
「でしたけど?」
魔王さまが、私の答えをくり返す。
「誰に穿て見せるんですか、あれ?」
「私に穿て見せればよかろう」
「私... 恋人いるんですよ?」
「ああ。ブリュストン伯爵のことか。しかし、もう半年近く会ってないであろう」
ぐむむ...
よく知っている。って、そうか、私がマデンキを私用で使わせてもらっていたから、知っているんだよね?
「それに、最近は一ヶ月に一度ほどしか連絡もとってない」
魔王さまの一言が、ズブリと心臓に突き刺さった。
そ、そうだった(汗)。
そんなことも魔王さまは知っていた。
ドゥモレ男爵さまとの剣術の練習が忙しくて...
毎朝、剣術の練習の後で、出勤前に慌ただしく抱かれ...
週末は、たっぷりと一日中抱かれ、どっぷりと愛にはまりこんでいて
ブリュストン伯爵のことは...
忘却の彼方になってしまっていた。
「今日にでも、メリー・エタナールマスって伝えようって思って...」
「口から出まかせを言うではない」
「はい... しようなんて考えていませんでした」
「ふむ。正直でよろしい!」
魔王さまは、初めて満足そうに笑った。
その時、曲の演奏が終わった。
「さあ、行こう」
魔王さまに手をにぎられて、広間をあとにした。
手にはしっかりと、頂いた下着の箱を持って。
広間では、次の曲が始まっており、魔王さまの次に私と踊りたいと待っていたらしい、マスティフ伯爵や、ギャストン伯爵たちの残念そうな顔が見えた。
そして、椅子に腰かけたまま居眠りしている護衛のリンド君に、“あらあら...”みたいな顔のプリシルさまや“アリシアちゃん。
それに、“がんばって!”みたいな顔のマイレィちゃん- って、なんで、“がんばって!”みたいな顔しているの?
ほかの王妃さまたちの、羨ましそうな顔... でもなかった。
誰もそんな顔してなかったわ?
そのまま廊下を歩いて、垂直移動部屋のあるホールに出ると、魔王さまの部屋直行の垂直移動部屋に入る。音もなく、垂直移動部屋のドアが開き、私が魔王さまといっしょに入るとすぐにドアが閉まり、少し身体が重くなった感覚がしたけど、その感覚もすぐに過ぎた、と思ったら―
チュウウウ...
あごに手をそえられ、キスをされた!
「じらせおって!」
「だ、だって... 私には、恋人が...」
「もう言うな」
フギュっ!
またキスをされた。
それも、今度は、お舌を入れて来たよ?
そして、お胸をめっちゃ揉まれていた(汗)。
“魔王さま、最近は奥さまたちを抱いておられないのですか?”
って聞きたくなったよ、まったく!
魔王さまの行動は、さらに激しさを増し、なんと、私のミニドレスをたくし上げてしまった!
「ま、魔王さまっ?何をなさる...」
「いや、私のやった下着はどんなふうになるかと思ってな!」
そう言いながら、魔王さまは私が手に持っていた箱を取り上げ、フタを開けると中を見て、一つのおパンティを手でつまんだ。
「これなど、いいではないか? エタナールマスと言えば雪だ。雪のように白い下着と言うのもいい!」
そう言うが早いか、私のフリフリのついたピンクの可愛いおパンティを脱がしはじめた。
ぎぇええええええ――――っ!
バタバタと抵抗したけど、魔王さまの力の前にはまったく非力で-
剣術の体力作りで少しは力がついたかと思ったけど
所詮、女の子の筋肉なんてついてもたかが知れていると言うことをこの時、実感し
あっと言う間に下半身をスッポンポンにされた。
「ふむ。こんな姿もここだけでしか見られんな?」
いや、もう、何にも見たくありません...
なんと、私は、魔王さまに逆さ吊りにされていた。
あまりバタバタするものだから、魔王さまは私の片足を手で持って逆さにしておパンティを剥いだのだ。
「ネコ耳、よく見るがいい、逆さ吊りになったおまえの姿を!」
イヤだと言っても、強制されるってわかっているから、しかたなく目を開けることにした。
魔王さま専用のこの垂直移動部屋、前に一度乗った時は壁は瀟洒な模様だったのが、今日、乗った時に、両側と奥の壁が鏡になっていたのに気づいていた。
当然、垂直移動部屋の三方の壁には、下半身スッポンポンで逆さ吊りにされたネコ耳美少女が映っているはずだ。
観念して、そっと目を開けて見ると、壁には、ミニドレスがまくれて顔のあたりまで来て、“おヘソ”も“神聖な区域帯”も丸見えのネコ耳美少女が映っていた!
いや、この姿、想像の域を超えていた!
もう恥ずかしいのなんのって...
「魔王さま、お願い、降ろして!」
「待て待て」
そう言うと、魔王さまは手に持っていた白い透け透けのおパンティを逆さになった私に穿かせはじめた。
もう、私は着せ替え人形のように無抵抗だった。
穿かせ終わると、今度はミニドレスとキャミソールを脱がされ、フリフリのついた可愛いブラを外され、おパンティと対のブラジャーをつけさせられた。
「おう、よく似合っておる!さすが、プリシルだ」
やっぱりね。魔王さまが、女性の下着なんか買うはずがない。
プリシルさまが選んでくれたんだ。
鏡に映る私の姿は...
可愛いネコ耳美少女だった。
オシリの上からクルンといった感じで出ているシッポ。
胸は大きすぎず、小さすぎず
オシリは適度にふっくらとして
なだらかな足につながっていて
すらりとした手と足
まったく、自分で見ても惚れ惚れとする体。
自分で自分の体に見とれちゃった。
さあ、これから、魔王さまの部屋で何が起こるんだろう?...




