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ネコ耳❤アリシアの魔王城日記  作者: 独瓈夢
二部アリシア子爵
47/316

第47章 アリシア子爵、格調ある宮廷料理を食す

 魔宮殿には、夜帰った。


 今後のこともあるので、ドゥモレ男爵さまを連れて行って家族に紹介しておいた。


「昨日、夜になっても帰って来ないから心配して、職場のアシェラさんやネベオラさんのお家まで行って聞いたのよ。そうしたら、ダユーネフ国の新任の武官の方に魔都を案内するとか言っていたと言うら、まあ、だいじょうぶでしょうと思ったのですけどね」

お母さまが、お茶を淹れて持って来て男爵さまに勧めながら、座っている私に言った。


「ごめんなさい。ケヤちゃんのお父さんのお店に行って、あそこで夜遅くまで飲んで、かなり酔ったので、そのまま男爵さまのところに... 泊まったの」

「まあ、あなたも大人なんだから、夜遅くまで遊んでいてはダメとか、男の人の家に泊まったらダメなんて野暮なことは言いませんよ。だけど、連絡だけはしてちょうだいね。みんな心配するんだから」


「申し訳ありません。アリシア子爵さまがかなり酔ってしまって、とてもここまで来れそうになかったのでお泊めしてしまいました。わたくしが気を利かせて連絡を入れるべきでした」

「いえいえ、男爵さまとごいっしょでしたのなら安心ですわ。この()、ずっとブリュストン伯爵さまと会ってないものですから、()()()()()()()()()()()()のでしょうね」


 お母さまもバカではない。

私と男爵の間で何があったか察しているみたい。

私と男爵さまが、どんな一晩を過ごしたか察している感じ。


まあ、魔王さまともこれまでも色々あったからね。

お母さま、とうの昔に私が少女の階段を上り切って、女になったって知っているかも?

でも、私はすでに立派な大人であり、社会的地位もある子爵だ。

ビア(子ども)に言うようなことは言わなかった。



 夕食は、男爵さまの歓迎会ということで、魔都のレストランで食べることにした。

出かける前に、自分の部屋にはいって着替えをした。さすがに二日続きで同じ服を着ているのは、貴族としてもレディーとしてもまずい。

 それに、下着をつけてないというのは、どうも安心感がない。

新しいおパンティとブラをつけ、週末なので黒のミニスカートに黒のシャツ、ミニスカートの下は白色のタイツ。夜遅くなっても寒くないようにひざ下まである白いコートを羽織り、黒いブーツを履く。


 お母さまは、男爵さまをとても気にいったみたい。

これから街に出かけて食事をするって言ったら、

「いつでも来てくださいね。大歓迎しますわ」なんて男爵さまに言っていたわ。


 ユキヒョウ族ってフェリノディオ(ネコ人族)とは種族的に近いし、身分的にも合う。ベッドでの相性も抜群によかったので、夫にするのなら最有力候補だと思うけど... 

 ブリュストン伯爵さまのこともあるし、魔王さまとの関係がこの後どうなるかもわからない。

 それに... 私、まだ若いからね。まだまだやりたいことたくさんあるし、経験も積みたいし- って、男性経験じゃないよ? 

 色々考えて見ると、結婚なんてまだ先のことだって思った。



 食事は、繁華街から少し離れたところにあるレストランでした。

外務省や連邦のお偉いさんが、外国からの要人を連れて行く高級レストランだ。


「アリシア子爵さま... こういうところは、値段が...」

“高いのではありませんか”と聞こうとしたのだろうけど


「これでも子爵ですし、せめて魔王国に来て二日目の夜に、美味しい料理を食べたという思い出を残させて頂ければと思いまして」

と言うと、ドゥモレ男爵さまは、こくんと頷いて

「ほう... そうですか」

と答え、それ以上何も言わなかった。



 予約はしてなかったけど、受付のラビットディオ(ウサギ人族)嬢が私の顔を覚えていたらしく、すぐに二階の個室に案内される。

 まあ、顔を覚えてもらってなくても、貴族は徽章を胸に付けているからひと目で貴族だと分かるし、貴族は役所とかレストランとかでも色々と便宜を図ってもらったり、融通が利いたりするという特典がある。


「これはこれは... 子爵さま」

アリエスディオ(ヒツジ人族)の支配人が、ジャバリディオス(イノシシ人族)の料理長を連れて挨拶に来た。

「アリシア・ミラーニア・ゲネンドル子爵です」

まあ、レストランの常連でもないし、いつも通訳として来ているので名前を覚えてもらってなくてもしかたがない。

「そして、こちらはダユーネフ国から新たに赴任された武官のドゥモレ男爵さま」

「アルチュセール・エヴラール・ドゥモレ男爵です。よしなに」

「は、はい。子爵さまに男爵さま。今日は、当店にお越しいただき、光栄でございます」


「それで、今日はどのコースをお望みでしょうか?」

でっぷりと太ったジャバリディオス(イノシシ人族)の料理長が、揉み手をしながら聞く。

「そうね。このお店の最高コースをお願いするわ」

「かしこまりました」

料理長が一礼して出て行くと、支配人が葡萄酒の注文を聞いた。


「葡萄酒は、お気に入りの銘柄などございますでしょうか?」

「そうね。レッべガアル産のは置いてあるかしら?」

「はい。最近人気があるのが、赤ですと《ベーラ・ローザニア・スペシャル》。白は《ベーラ・プリンセス・ビアンカ》がございます。淡紅葡萄酒は、ほんのりとした甘さが人気の《ベーラ・マシエータ・スペシャル》がお勧めでございます。辛口がお好みでしたら、赤では《ヴァレンテ・サムゾン・ストルンゴ》、白では《ヴァレンテ・ジェラード・コンジェランテ》などがございます」

そう言って、葡萄酒の種類と値段が書かれている表を見せてくれた。


「なに、そんなに《ベーラ》何んとかという葡萄酒と《ヴァレンテ》何んとかという葡萄酒があるのか?」

男爵さまが、鋭い口調で訊いた。

「はい。レッべガアル産の葡萄酒は、以前からその品質の良さで有名でしたが、何でも葡萄園の持ち主が大の魔王さま嫌い... すみません、失言です、今言った言葉はお忘れください」

「気にするな。わたくしたちは魔王国政府の取締官ではない」

「それにしても、どこの醸造所が、そんな紛らわしい名前の葡萄酒を作っているのかしら?」

私も憤懣やるかたない気持ちだ。


「ま、紛らわしいと申しますと?」

「いえ、こちらの話よ。続けて」

「はい。その、魔王国には販売路がないと言って、まったくこちらには回って来なかったのでございますが、3ヶ月ほど前から少量ずつ入荷しはじめまして、今や魔都の高級レストランの間で引っ張りだこになっている状態でして...」

「そんなに人気なの?」

「月に30本仕入れるのにも大へんで」

「わかったわ。じゃあ、赤は《ベーラ・ローザニア・スペシャル》、白は《ベーラ・プリンセス・ビアンカ》と...」

そう言ってから、私は男爵さまの顔を見てからさらに追加注文をした。


「赤の《ヴァレンテ・サムゾン・ストルンゴ》と白の《ヴァレンテ・ジェラード・コンジェランテ》も注文するわ。ただし、グラス一杯ずつよ?」

「かしこまりました」


アリエスディオ(ヒツジ人族)の支配人が出て行ったあとで― 

「1本、金貨1枚とか2枚とかする高いのは、とても無理です。グラスでもお代わりできますし」

「今日は居酒屋じゃないから、たらくふ葡萄酒を飲まないのでだいじょうぶですよ。それより料理が楽しみですね!」


 この店は、『フレンチ』という、これもブレストピア国では聞いたことのない“宮廷料理”を食べさせるレストランだ。『フレンチ』などという“宮廷料理”なんて聞いたことがなかったけど、この料理も魔王さまがこの国を治めるようになってから広めたのだと、以前このレストランに来た時にゲミヌス事務次官が外国からのお客さまに説明していた。


「それにしても、どこのどいつだ。アリシア子爵の付けた葡萄酒の名前に便乗して、似たような名前を葡萄酒に付けた輩は!それにしても、これはうまい!」

トゥルッタの薄切りにアバカテの薄切りを交互に重ねたものに、レモン汁とエライアー油をかけた一口サイズの食べ物を、爪楊枝で刺して口に放り込みながら舌鼓をうっている。

先ほど「『アミューズ』です」と言って給仕のラビットディオ(ウサギ人族)が持って来たものだ。


 食前酒は、魔王国産のシャンパンだった。

グラスに注ぐと、リンゴやモモのような香りが広がり、口にふくむと細やかな泡の口当たりが心地よくて、適度な深みを感じさせるうま味とまろやかさを感じる。喉を通ったあとも、爽やかな酸味が続く。


「このシャンパンは、ダユーネフ国でも人気になるでしょう」

お酒に詳しい男爵さまが、シャンパングラスを手に取り、天井から下がっている照明の光に透かして見ている。


 前菜の一皿目は、カニスディオ族(イヌ人族)の給仕さんによれば、「アバカテドとエビのカクテルソース」という名前らしい。

ブランデーの香りのする、ちょっぴりレモンの酸っぱさが利いたスープと合って、すごく美味しい。


「ほう... 美味ですね!」男爵さまが目を細めている。

 二皿目は、「森のキノコのテリーヌ」。

いろいろな種類のきのこの旨味がぎゅっと凝縮されていて、これも旨い。


 三皿目は、「パテ・ド・カンパーニュでございます」と給仕が言ったもので、私は何度か食べたことがあるけど、男爵さまは、「これは絶品だ!ブタ肉とニワトリの肝臓らしいが、こんな旨いものを作れるとは!」と驚いていた。


「アポポラのスープでございます」

前菜の次に給仕さんが持って来た、温かいスープは、極上の舌触りだった。


「シタビラメのバター焼きでございます」

カニスディオ族(イヌ人族)の給仕さんが、魚料理を運んで来た時、


「え?まだあるんですか?」

男爵さまは、驚いた。

中身はふっくら、表面は焼き目がついたシタビラメは、レモン果汁がしっかり効いていて、わずかにかけられた塩と胡椒が、さらに味を引き立てて、とても美味しかった。


「白モモのソルベでございます」

給仕さんが、口直しに持って来たのは、ほんのりとピンク色の白モモを凍らせ、柔らかく潰したものの上に甘い練乳をかけた口直しは最高だった。


ソルベを食べ、水を一口飲んだころを見計らかったかのように、2番目の中心料理が運ばれて来た。

「牛フィレ肉のステーキでございます」


塩、胡椒、とニンニクで調味され、バターとエライアー油でほどよく焼かれたボードニアン産の極上のウシのフィレ肉のステーキの上に、赤葡萄酒をウシの骨髄で煮詰めた汁をかけた料理だったが、本来肉食であるフェリノディオ族(ネコ人族)の私にもユキヒョウ族の男爵さまも、あまりの美味しさにお皿に残った汁を舐めてしまいたいくらいだった(汗)。


そのあとに出るはずだった「サラダ」は辞退し、「チーズ」を少量食べ、「アントルメ」も「果物」も、もうこれ以上お腹に入らないのでキャンセルして、濃い目のお茶と小菓子「ブティフール」だけをいただいた。

「ブティフール」は一口大で、サクサクとしてお茶にとてもよく合った。


「いやあ、魔王国って、話には聞いていましたが、料理もこんな素晴らしいものがあったとは... 正直、おどろきました。今日は、本当にありがとうございました、アリシア子爵さま」


 フレンチレストランのお代金は... 

大銀貨6枚だった(汗)。でも、男爵さまによろこんでいただいて本当に良かった!




 レストランから出て心地よい秋の夜風に吹かれながら、男爵さまの腕に抱かれて魔都の通りをお話をしながら少し歩いた。

 フレンチ料理は、外国からのお客さまには大人気で、イタリアン料理というレストランもあり、麵料理が多いこのレストランにも結構評判がいいことなどを話した。

 “ワショク”という料理ももあるけど、そちらの方はなぜか、生魚を食べる習慣を持ってない元マビンハミアン国民や元ブレストピア国民にはあまり人気ないけど、魔王さまは懸命に宣伝をして“ワショク愛好者”を増やそうとしているって話したら、男爵さまは大笑いをした。



 そして、公園で強く抱きしめられ... 


 キスをされた...


 そのあとは、どういう訳か


 またドゥモレ男爵さまのお家に行くことになって...


 また抱かれちゃった(汗)。


 あ~あ... 


 このまま、男爵さまを恋人にしちゃおうかな... 


 お母さまたちが、いつも言っておられた、“体の相性”なんかもピッタリみたいだし

フェリノディオ族(ネコ人族)パンサニディオス族(ヒョウ族)の一種であるユキヒョウ族って、似たところも多いのよね。


 それに、ドゥモレ男爵さま、ベッドではとても情熱的なのよね。

 ヤーダマーの塔に住んでいた頃、お父さまが、ベッドで延々とお母さまたちと励んでいたのを知っていたので、レオニディオ族(ライオン人族)の男性は精力が強いということは知っていたし、お父さまの息子であるカリブも一度に5人もの女の子を妊娠させたりして、お父さま譲りの精力を持っているってわかっていたけど... 


 ユキヒョウ族の男爵さまも、レオニディオ族(ライオン人族)に負けないくらいお強いって知らなかったわ。

 もう、すごいの何のって... 昨夜もすっごく恥ずかしい恰好を散々させられて... 

 これでもか、これでもかっていうくらい味わわられた(汗)。


 そして、男爵さまに息つく暇もないくらい激しく愛されるのを求めている私がいた。

 もしやと思って計算してみたら、やっぱりね。排卵期近かった(汗)。

忘れないでヒニンヤク飲まないと、カリブの女の子たちみたいに“望まない妊娠”になっちゃうわ。

ヒニンヤク、お母さまの部屋の引き出しから一瓶、拝借してバッグにしまっておいて正解だったわ...


 今回も延々と明け方近くまで、二人で愛し合った。

前半はやたらヘンな恥ずかしい恰好をさせられたけど、後半は比較的ふつうで…

最後に男爵さまが達した時は、首を噛まれちゃった(汗)。


と言っても、甘噛みなのでキズは残ってない... 

そう思っていたけど、トイレに行った時、鏡を見たら... 

ゲッ、首に4つ、キバの穴が開いていた?!


慌てて、薬箱からキズ薬を見つけてキズに塗りこんどいた。

まあ、浅いキズなので、2、3日もしたら治ると思うけど、

第一曜日に出勤する時は、首にスカーフを巻いて隠さなきゃ(汗)。

季節が秋でよかったわ。

これが夏なんかだと、奇妙に思われちゃう。


 それにしても― 

昨日、“二人の関係は、仕事上の関係だけにしておこう”と約束したのは何だったの?



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