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ネコ耳❤アリシアの魔王城日記  作者: 独瓈夢
第一部 ネコ耳アリシア
27/316

第27章 魔王と鬼人国突撃隊

 がっしりと筋肉がついた、鍛え上げられた身体

 爛々と光る緑色の目

 青い髪、耳の上から出ている二本の太く短いツノ... 


あ、この人、『冥界の間』でモモコ大王さまの後ろにいた護衛さんだ!


「あらん? ソフィアぁ... あなたも来たのぉ?」

「来て悪かったですか、公爵夫人?」

「全然悪くないわぁ!そこで十王のオッサンたちみたいに足を広げて突っ立ってないで、早くお湯に中に浸かりなさいよぉ」

「わ、わたしを十王さまたちみたいに言わないでください!」

「まあまあ!十王のオッサンたちは、あなたみたいな立派なオッパイもオシリも持ってないからねぇ!」


ソフィアと言う、見かけの割にはかわいい名前の護衛さんは、ブス―っとした顔で、もうそれ以上答えずに、やはり壁際に武器を置くと、お湯の中に入って来た。

いや、見かけの割と言うのは失礼よね?

だって、かなりの美女だし、体は鍛えているけど、筋肉のかたまりってわけではなく、均整がとれたとても美しい体だもん。


「この()はねぇ、泣く子も黙ると敵軍から恐れられる、鬼人族国の突撃隊の隊長なのよぉ!」

「突撃隊の隊長...!」

「そうなのよぉ。それで、この()、モモコ大王さまの従妹(イトコ)なのよぉ!」

「わたしは、大王の従妹(イトコ)じゃない。従姉妹(はとこ)だ。大王は、わたしのお祖母ちゃんと大王のお祖父ちゃんが兄妹なのだ!」

ソフィアさんが、即座に訂正した。


「まあまあ、いいじゃない? 大王さまのすっごく信頼している姪ってことでぇ!」 

ちょっと離れたところでお湯に浸かっている、可愛い顔をしたソフィアという鬼人娘を見た。

たしかに、モモコ大王さまの面影がある。大王さまがもっと若いころは、こんな顔なのではなかったかと思うくらいだ。


「突撃隊の隊長か...」

アマンダさまが、少し険しい目で見た。

ちらっと見て、彼女の剣との距離を目測していた!


「おまえが、魔王の懐刀と呼ばれる魔王妃アマンダか!」

ソフィアさんもアマンダさまの視線を感じたのか、彼女を鋭い目で見る。


バチバチバチ... 

アマンダさまの空色の目とソフィアさんの青い目から火花が散った感じがした(汗)。


「まあまあ、アマンダもソフィアさんも...」

一触即発の危機を感じたプリシルさまが、間に入ろうとした、その時― 


「プファアアア――――っ!」

ザバ―――――!


お湯の中から白いイルカが、いや、アイフィさまが飛び出した。

アイフィさまもソフィアさまも、おどろいて、一瞬険悪な空気が消えてしまった。


「だ、だれかがっ... お湯の中で... わたくしのおムネを触りました!」

「アイフィさん、よく今まで潜っていましたね?」

「アイフィさんがいたって、気がつかなかったわ!」


プリシルさまとリリスさまが、肩で大きく息をしているアイフィさまに話しかける。

「わたくし、長く潜っているのが得意なんです」

アイフィさま、酔いが少し冷めているみたい。

へえ。アイフィさまって、超絶魔法のほかにそんな特技ももっているんだ?


「ひゃっ?誰かがわたくしのオシリをさわったわ?!」

リンマイユお姉さまが突然叫んだ。


「ワニじゃないんですか?」

「ワニさん、ここにはいないって言っていましたよ?」

エイルファちゃんとエリゼッテちゃんが、心配そうな顔をして、お湯の中を見ている。

だが、お湯は透明ではないので、中は見えない。


ムニュウ... 

誰かが、私のシッポを引っ張った!


「フニャ―――っ!?」

フェリノディオ(ネコ人族)特有の超速反射能力で反応し、バツグンの跳躍力でお湯の中から3メートル飛び上がった。


着水する直前に、ソフィアさんが、それこそイルカのように素早くお湯の中から飛び出し、壁に立てかけてあった武器を取るのが見えた。

ほぼ同時に、アマンダさまも信じられないような速さでお湯の中から飛び出し、壁に立てかけてあった剣に飛びつくと、瞬時に剣を鞘から払った。


「ク〇ったれ魔王め!わたしの尻に触るとは無礼千万、真っ二つに切り裂いてくれる!」

「ほざくな、突撃隊の小娘っ!魔王さまにそのグレイブスを向ける前に、私が貴様の胴体を真っ二つにしてやろう!」

「面白いっ、やれるならやって見ろ!」


ガキ――ン!

本物の火花が散った!


ガッ、ガッ、ガキーン!

ガキン、ガキン!

火花が間断なく飛び散る。


ガシ――ッ

グレイブが当たり、温泉の中にある人口岩山が粉々になってふっ飛び、


ガ―――ッ!

剣で壁にドラゴンが爪で傷つけたような深い切り傷が走る。


「やめなさい、二人とも!」

突然、アマンダさまとソフィさんの間に見えない壁が生じたみたいに、おたがいの武器が当たらなくなった。

「止めないと二人とも氷漬けにしますわ!」

ヴァスマーヤさまとミカエラさまだった。

たった今、三日月温泉に入って来たらしいが、瞬時に状況を理解したみたいだ。


「対物理攻撃バリアーを発動させました。これ以上は戦えません」

「それでも続けると言うのなら、凍結魔法で凍らせます」

「くっ...」

「むっ...」


アマンダさまとソフィアさんは、ようやく戦いをあきらめたみたい。

だけど、両者の目にはまだ炎が燃えていたし、武器もしっかりと握り続けている。


「魔王さまも、隠れていないで出て来てください」

ヴァスマーヤさまが、三日月温泉の一画を見据えて言った。


“え?魔王さま?魔王さまが、この温泉に?”


 ザバ―――!


「ふふふふ... 見つかってしまったか!」


温泉の湯の中から現れたのは、たしかに魔王さまだった。

真っ裸の魔王さまだった!

手に長い管のようなモノを持っている。

あの先端を水面から出して潜ったままで息をしていたのね?


「このスケベ魔王が!」

ソフィアさんが、歯をギリギリと鳴らし、グレイブという武器を握りしめる。


「無礼なことを言っていると...」

アマンダさまも、ふたたび剣を構える。


「お二人ともやめてください!ここをどこだと思っているのですか?」

「そうですよ。ここは魔王城の大浴場でもなければ、魔王国でもないのですよ?」

「そう怒るでない、ヴァスマーヤにミカエラ。私は妻であるモモコ大王の許可もらってここに来ているのだ」

「ほほぅ... では、大王は、わたしの尻に触る許可もあたえたのか?」

ソフィアさんが、厳しく問う。


「ソフィアとやら、おまえはまだ処女でウブだな?」

「何っ?このスケベ魔王!」

「小娘、口を控えなさい!」

またソフィアさんとアマンダさまが、戦いを始めそうになった。


ピシャ―――ッ!

何か白っぽい光がミカエラさんの手から放たれたと思ったら―


「!」

「!?」


アマンダさまとソフィアさんの持っていた武器が氷の塊になった!

二人とも手が凍る前にあわてて武器を手放す。


「あいかわらず、わが国の魔術師はすごいな...」

そうつぶやいて、魔王さまはソフィアさんを見て続けた。


「こんな美女だらけの温泉に来て、女にさわりもしない男は、男ではない!不能者だ!」


「そんな御託は自分の国に帰って言え!」

そう言うと、ソフィアさんは、氷が張ったグレイブをお湯の中から拾い上げると手で(すご)いた。


バラバラバラ... 

まるで、魚のウロコでも取っているようにくっついていた氷が剥がれた!


次の瞬間― 

ソフィアさんは、電光石火で魔王さまに向かって跳躍した。


魔王さまの危機を察したアマンダさまが、武器をとっている時間もないので魔王さまの盾になるべく、魔王さまとソフィアさんの間に飛び出した。


「むん!」

すかさず、ヴァスマーヤさまが対物理攻撃バリアーを張る。


バッキ――――ン!


分厚いガラスを叩き割ったような凄まじい音がして、ソフィアさんのグレイブがアマンダさまの額の直前で止まった。

でも、誰もがわかった。

それは、“止められた”のではなく、“止めた”のだと言うことを。

ソフィアさんが、アマンダさまの頭を真っ二つにする直前に止めたのだ。

それも紙一重で!


「わたしが本気を出して、この神器を振るえば... 対物理攻撃バリアーをも切り裂くことが出来るということを忘れるな!」

なおもグレイブを構えたまま、ソフィアさんが、アマンダさまと魔王さまを睨む。


さすがのアマンダさまも、顔が青ざめていた。

その後ろの魔王さまも、真剣な顔になっていた。


グレイブを片手に温泉から出て行くソフィアさん... 

すっごく恰好よかった!



 それにしても、さすが突撃隊と言う、何かすごくおっかなそうな部隊の隊長さんと言うだけあって、ソフィアさんの強さ、半端ない。

 私は、なぜアマンダさまが、温泉に入るのに剣を持って来ていたのか分かった。

あれは、魔王さまが来ると言うことを知っていたので武器を持って来ていたんだ。

アマンダさまは、魔王さまの護衛だっていつも言っていたから。


「ソフィアとやら」

「む?」

三日月温泉から出て行こうとするソフィアさんに魔王さまが声をかけた。


「おまえ、私の妻にならんか?」

「な、な、な、なにィ―――――?」

ふり返った青い髪と緑色の目の美女の突撃隊長は、思いもよらない結婚の申し出に、唖然となった。


「その腕っぷし、それに、その見事な胸と引きしまった尻。すべて私好みだ。私の妻になれば、魔王国で好き放題をして暮らせるぞ? 魔王国に突撃隊を作ってやってもいい。もちろん、おまえが突撃隊隊長だ」


見る見るうちにソフィアさんの全身が真っ赤になった?

「こ、この、スケベ魔王―――!」

突撃隊長ソフィアさん、胸と下を腕と手でかくして、疾風の如く走り去って行った?


ワーッハッハッハ! ワーッハッハッハッハッハ!

魔王さまは、ひとしきり大笑いした。

だけど、誰も追従笑いをしなかった。


「アマンダ、危なかったわね...」

プリシルさまが、少ししょぼんとしている顔のアマンダさまに話しかける。

「あいつ...確かに腕は私と互角かも知れない...」

アマンダさまが、胸元のお湯を見ている。


フェリノディオ族(ネコ人族)特有の優れた視力で、アマンダさまが見ている湯面を見ると... 

何と、群青色の髪が数本浮かんでいた!

あれは、アマンダさまの抜け毛なんかではない。

先ほどソフィアさんはグレイブを寸止めで止めたが、それでもアマンダさまの髪の毛を数本切っていたらしい(汗)。


「ソフィアは、次期大王になるかも知れないと言うほどの強さをもっているのよ」

酔いが醒めたようなリンマイユお姉さまが誇らしげに言う。

「それほど強いの?」

ミカエラさまがおどろいている。


「ソフィアさんに(かな)う戦士は、たぶんいないと思うわ」

「対物理攻撃バリアーをものともしない攻撃力って、たしかに恐るべしね」

ヴァスマーヤさまも、ソフィアさんの強さを認めている。


「それに、あの武器- グレイブは、鬼人族国の初代女大王が使ったと言われる神器で、初代女大王が倒した魔族将軍たちの魔石がいくつも嵌められているらしくて、すごい破壊力を持っているんですって」

「そうですか。そんなすごい神器なら、わたくしの対物理攻撃バリアーが破られても当然ですね」

ヴァスマーヤさまが納得顔だ。


「ヴァスマーヤさまにミカエラさまは、どうしてここに来られたんですか?」

私は、なぜ、二人の魔術師が突然、『地獄温泉』に現れたか分からなかったので訊いてみた。

「ああ、それはね、アイフィさんが休暇をとったって聞いたから、どうしたのかアマンダさまに訊いたら、鬼人族国の温泉に行ったって言ったのよ」

「それで、アマンダさまにお願いして、魔術師部隊全員にも温泉での休暇を願い出て、魔王さまが許可してくださったの」

ミカエラさまとヴァスマーヤさまが説明してくれた。


なるほど、それで来たんだ。

遅れてやって来たのは、魔術師部隊は全員女の子だから、おめかしとかしてていて遅れたんだろう。


「若い()たちは、血の池地獄やら鰐顎地獄を楽しんでいるみたいだから、あと少しすれば、ここにも来るはずよ」

ミカエラさまが、鰐顎地獄の方を見た。

『地獄温全』は広いので、入口近くにある血の池地獄や鰐顎地獄で少々騒いでも、ここまでは聴こえて来ないだろう。



 その時、入口からドカドカと軍服を着た軍人の一団が入って来た。

黒づくめの軍服に袖とロングパンツに入った赤いラインとジャケットの金ボタン。

 閻羅宮(えんらぐう)の大ホールで見かけた護衛の鬼人たちだった!


先頭には金色の肩章をつけた黒づくめの軍服を来たソフィアさんがいた。

手には、あの神器・グレイブを持って。


と言うことは... 

この人たちは... 突撃隊?


「みんな、この不埒なク〇魔王とク〇魔王妃どもをここから摘まみだせ!」

ソフィア隊長が命令をした。


「「「「「「「「「「オオオオオオオ―――ゥ!」」」」」」」」」」


30人ほどの突撃隊員が、武器を手に突入して来た。




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