第20章 魔王、不届き者を極刑に処す
《アリシア・ミラーニア・ゲネンドル王女 享年14歳11ヵ月》
そんな碑文が刻まれた墓石を想像した。
ガバロス親衛隊員二人は、黙々と私の手を後ろで縛り、足も縛ると軽々と抱え上げ、肩に担いだ。
「アリシア王女さま、窮屈でしょうがお赦しください」
優しい声にガバロス親衛隊の顔を見ると、ザロッケン君だった。
気が動転していたので気づかなかったのだ。
まあ、ガバロス族って、みんな似たような顔しているしね。
ザロッケン君は、私の足を抱えて肩に担いでいるんだけど、ここでもミニスカートじゃなくてよかったって思ったわ。花も恥じらう、“もう少しで15歳の乙女”が、おパンティ丸出しで担がれるなんて、死んでも死にきれないわ。
庭園での騒ぎは、魔王城内を駆け巡ったみたい。
魔王城に近づくと、窓と言う窓から、みんなが私を見ていた。
「可哀想に。まだ14歳ですって」
「魔王さまに直訴するなんて、身の程知らずな!」
「まだ魔王城のしきたりを知らなかったのね...」
「魔王さまに直接訴えることが出来るのは、王妃さまと大臣や将軍だけだからな!」
「ネコ耳さん、魔王さまのお気に入りだったって聞いていたけど...」
「いくらお気に入りでも、規則は規則だ」
「あんなに可愛いのに」
「ナムアミダブツ...」
みんな好き勝手な事を言っている。
最後のあれは何?
お祈り、おまじない?
魔王さまは、私を担いだガバロス親衛隊員二人を引き連れて魔宮殿にはいると、10階の魔王さまの部屋の階直行の垂直移動室に入った。この専用垂直移動室に入るのは初めてだ。
中は上下左右、すべて黄金製だった。それにすごく凝った彫刻みたいな模様が壁一面にあり、天井にはシャンデリアみたいな照明があった。
魔王さまが、操作盤に手を触れると「認証しました」という声が聴こえた。
垂直移動室は、音もなく、すーっと上がって行く。
私は極刑に処されると言うことも忘れて、魔王さまの聖域とも言うべき区域に入りつつあるのだと期待でワクワクした。
「おまえたちは、10階に行くのは初めてだな?」
「ガア!」
「ガア。魔王さまのお部屋に行ったことのあるのは、アーレリュンケンレクスレギオン長だけであります!」
「そうだろうな」
垂直移動室が止まった。
「ネコ耳娘をこちらに」
「ガア!」
ザロッケン君が、肩に担いでいた私を魔王さまに渡す。
魔王さまは、同じように私を肩に担いだ。
「おまえたちは、警備の任務にもどってよい」
「はっ」
「はっ」
魔王さまは、下降のボタンを押すと垂直移動室から出た。
垂直移動室のドアが閉まる。
そこは、控えの間みたいな部屋だった。
天井まで5メートルがあろうかと言う広々としたその部屋には、長椅子やソファーなどが置かれ、彫刻とかけっこう高い木の鉢植えなどが適切に置かれていて、すごく素敵な部屋だった。
魔王さまは、私を担いだまま、奥にある両開きのドアに向かった。
ドアの前に来ると、両開きドアはすーっとひとりで開いた!垂直移動室のドアと同じ仕組みなんだろうけど部屋に同じ仕組みを取り付けているとは、さすが魔王さまのお部屋だ。
部屋に入った瞬間、私は魔王さまに担がれ、これから直訴という重罪によって極刑に処される身分であるということを忘れてしまった。
奥行き50メートルはあろうかと言うその部屋は、三方がガラス張りだった!
部屋の真ん中に大の男が10人は寝れそうな巨大なベッドがあり、一方の壁際には5メートルはあるお風呂まであった!
魔王さまは、つかつかと巨大なベッドまで行くと私を放り投げた!?
「きゃっ!?」
バフン!
と音を立ててベッドに落ちたが、柔らかいので全然痛くない。
「アマンダなどを通さずに私に直訴するとは、ネコ耳娘にしては見上げた勇気だ!さて、不遜な輩、どのような極刑にしてやるか...」
魔王さまはマントを外し、コートを脱ぎ、ベストと白シャツ姿になると垂直移動室がある部屋へ続くドアの両脇にずらーっと並んでいる、洋服入れだか、物入れだか知らない扉が並んでいるところへ向かった。
部屋の端の方にまで行き、一つの両開きの扉を開くと...
その中には、色んな鎖とか首輪、いくつもの手枷・足枷、大小さまざまなムチ、色んな大きさと形の包丁、ギザギザする歯の付いた大きなノコギリ、先の鋭くとがった2メートルくらいの金串とか、大きなペンチみたいな器具とか...
見ただけで身の毛がよだつような恐ろしい拷問の器具がぎっしりと詰まっているのが見えた。
「ふむ。これにするか!」
魔王さまは、ギザギザする歯の付いた大きなノコギリ- 刃渡り1メートル近くもあるヤツを手にした。
ビィィ―――イン...
ビィィ―――イン...
指先でノコギリの歯を弾く。
オ、オシッコがもれそう...
あれで...
私のどこを切るつもり?
おシッポ?ネコ耳?
いや、おシッポもネコ耳も切って欲しくないけど、そんなもの切るのにあんな大きなノコギリは必要ないでしょ?
と言うことは...
ま、まさか私の身体をオヘソあたりから半分にするとか...
オ、オシッコがもれそう...
いや、少し...
ちびった?
「それとも、これがいいか?」
そうつぶやきながら、ガチャガチャと音をさせて、奥の方から取りだしたのは...
3メートルほどある、先の鋭くとがった巨大な金串だった!
「ふむ... 痛っ!」
鋭くとがった先端をふれていたが、指先を刺したらしく、ペロリと血を舐めた!
「決めた。これにするか!」
そう言って、巨大なベッドの上で、もれそうなオシッコを必死にガマンしている私を見た。
その唇には血がついていた。
ま、魔王さま、その長い串で私を刺すおつもりですか?
ちなみに、どこから突っこんで、どこから出すつもり?
まさか、オシリから突っこんで、口から出すとか?
それを私を長い串で刺して、下から炭火で焼きながらタレをかけて回して焼いたら、ネコ耳アリシアの丸焼きになるんじゃ?
「お、お願いですっ、殺される前にオシッコさせてください!」
必死になって、目に涙を浮かべて懇願した。
「なに?オシッコだと?」
「ひっ!(ダメか!)」
このまま丸焼きされたら、オシッコが出て炭火を消すことになりますわよ?
魔王さまが、3メートルある巨大な金串を持って近づいて来た。
もうダメ。
お父さま、お母さま、親に先立つ不孝を...
スルスル...
足を縛っていた縄が解かれた。
「お手洗いは風呂にある。行って用を足して来い!」
「ありがとうございますっ...」
え、でも、手を縛っている縄は解いてくれないの?
モジモジしていると魔王さまは理解したらしい。
ホっ!
縄を解いてもらえる。
「世話の焼けるネコ耳娘だ」
ズリっ
「え?え? えええ―――っ!」
魔王さま、私のショートパンツのベルトを外してずり下げた!
いやん!
かわいいネコちゃんがプリントされているおパンティが丸見えになったよ?!
ちょ、ちょっと、魔王さま、そこは“神聖な区域帯”を保護している...
シュルル!
きゃあああああ!脱がされた―――!
プリントされているおパンティを脱がされた――――!
“もう、オヨメに行けない”
「早く行って来い!」
魔王さまは、手と足を縛っていた縄を解いてくれた。
そ、そうだった。
下半身丸裸にされたとか、“神聖な区域帯”が丸見えになったとかは、
この際、問題ではなく、目下緊急の生理現象に対応しなければ。
バタバタバタ...
急いでお風呂の端にある便座に向かって走った。
座るか座らないかのうちにオシッコがほとばしり出た。
ふぅうう――っ
間一髪だった。
って、魔王さま、私の方を直視している(汗)。
あのぅ... すっごく恥ずかしいんですけど?
「終わったら、右側の肘掛けの一番先端の、曲線の点線が描いてあるボタンを押すんだ」
あ、そういう説明をするために、“終わり時”を見ていたのね?
オンナの子は、オシッコ終わったら、ぶるっと身震いをする...
って、それを見られるのもすっごく恥ずかしいんですけど?
結局、私も終わったら身震いしちゃったんだけど(汗)。
なーるほど、便座に肘掛っておかしいと思ったわよ。
どれどれ、ああ、このボタンね?
「ひゃああああああ―――――!」
魔王城中に響くような悲鳴をあげた。
「何と騒がしいネコ耳娘だ!」
「だ、だって、便座が私のオシッコをもどしたんだもん!」
半ベソ顔の私。
「おまえはアホか... と言っても、知らないのでは無理がないか。それは、おまえのオシッコが出るところを洗ったのだ。きれいな暖かい水でな!」
呆れ顔の魔王さま。
「オ、オシッコをもどしたんじゃないんですか?」
「そんな拷問は趣味ではない。それに、ここは私の部屋だ。拷問部屋ではない!」
魔王さまの便座って、すごく便利なんだ...
えっと、紙、紙... オシリをふく紙はどこ?
「座っていれば、乾かしてくれる」
え?乾かしてくれるじゃなくて、自然に乾くの間違いでは...?
フゥゥゥゥ―――――ウ……
「ひゃああああああ―――――!」
また、魔王城中に響くような悲鳴をあげた。
「あいかわらず、騒がしいネコ耳娘だ」
「だ、だって、便座が私のアソコに息を吹きかけたんですよ?それも生暖かい息を!」
「便座が暖かい風を送って、おまえのアソコを乾かしてくれるのだ」
「......」
「さわって見るがいい。乾いているはずだ」
いやいや、私のアソコさわるのは、魔王さまだけの趣味でしょう?
ジ―――っと見続けられたので、しかたなく、そっと指先でふれてみる。
「ほんとに乾いている!」
「疑り深いネコ耳娘だ」
「モジャモジャの毛も全部乾いているわ!」
ゲっ、乙女が言ってはならないことを言ってしまった。
「ケ〇の穴も乾いたであろう。終わったら、ここへもどって来い!」
ま、魔王さま、乙女に向かって“ケ〇の穴”なんて…
「早くもどって来い!」
ひぇ―――っ、ただいま!
走って巨大ベッドにもどった。
だけど、私、下半身すっぽんぽんなんだよね?
床に落ちているネコちゃんのプリント付きおパンティをとろうとしたら―
「これから行う極刑にそんなモノは必要ない!」
ビシッと言われた。
そして、手に持っている3メートルある巨大な金串と私を見比べている。
や、やっぱり、その巨大な金串をオシリから...
「床にひざをついて、尻を突き出し、ベッドに上半身を倒せ!」
いやん!“神聖な区域帯”もオシリの穴も全部見られるじゃない?
「早くしろ!」
「ひゃい!」
「そのまま動くな!」
「ひゃい!」
魔王さまは、私に黒い布で目隠しをすると巨大ベッドから遠ざかって行った。
ガチャガチャとあの拷問器具が入っている戸棚の中を何かを探しているような音がする。
さては、3メートルでは足りない(?)と思って、今度は5メートルある超巨大金串に替えるつもりなのか?
魔王さまがもどって来た。
「動くな。目もつぶっておれ!」
「ひゃい!」
目もつぶっておれって、もう目隠しされていて何も見えないんですけど?...
あ、手の縄が解かれた…
と思ったら、シャツを脱がされた?
やっぱり巨大な金串をオシリから刺し通して丸焼きにするつもりなんだ。
ブラジャーのフックが外され、とられた。
ネコ耳アリシアはスッポンポンにされました。
これから、5メートルある巨大な金串をオシリから差し込まれて...
あれっ、右手を縛られた?
今度は左手。
次に右足首を縛られた。
ついで左足首。
床にひざをつきベッドに上半身を倒した姿勢で、
ぎゅううう――っと右手左手、右足首、左足首を四方にひっぱられた。
あ、5メートルある巨大な金串をオシリから入れるのに、私が暴れ出さないようにしたのね?
ナムアミダブツ...
先ほど庭園で聞いたお祈りの言葉が頭をよぎった。
いやいや、ここはエタナールさまへのお祈りでしょう?
“エタナールさま、この信仰心の薄い乙女をお赦しください。
来世では、きっと敬虔深い信者となりますので、残すことになるお父さま、お母さま、ビア、ルナレイラお義姉さま、マイテさま、モナさま、その他ゲネンドル一族をどうかお守りください...”
アリシア・ミラーニア・ゲネンドル王女 享年14歳11ヵ月...
魔王に直訴した科で、串刺し丸焼きの刑に処される。
そんな碑文が刻まれた墓石をまた想像した。
碑文が長くなっている?




