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ネコ耳❤アリシアの魔王城日記  作者: 独瓈夢
第一部 ネコ耳アリシア
13/316

第13章 魔王の婚約者

 魔王、元ブレストピア国の王女との婚約を電撃発表!

このニュースは瞬く間にテルースの世界中に広まった。


 いや、瞬く間に広まったのは、魔王国の同盟諸国だけで、敵陣営はまったく知らなかったのだけど。

 魔王が婚約を電撃発表なんて言っても、その実際は、家族風呂で真っ裸で()()()()()()()を誇示しながら言ったんだけど、それは魔王国の国家機密事項なので、同盟諸国は知らない。まあ、知ってもどうしようもないんだけど。

 どうして瞬く間に同盟国にニュースが伝わったかと言うと、あの夜、大浴場での魔王の婚約発表後、誰かが大浴場から抜け出して、例のマデンキ(魔法式遠隔伝達器)とかいう、すっごく便利なモノで同盟国諸国に発信したらしい。当然、私たちじゃないので、王妃の誰かだろう。



 魔王の発表以来、魔王城は上を下への大騒ぎとなった。

マイレィちゃんによると、パパ(魔王)が望むことは、すべてアマンダさまたちが、実現するための方法や計画を考え、実行するのだそう。


「ま、実際は、アマンダおばさまがほとんど一人で解決しちゃうんだけどね!」

アマンダさま一人の手に負えないような事であれば、当然プリシルさまたちも加わるし、それでも足りなかったら魔王国の関係者や同盟国政府なども動かすらしいんだけど、その中心人物もいつもアマンダさまとのこと。


「アマンダさまって、本当に優秀なのね...」

「そりゃ当りまえよ。彼女は参謀長だったんですからね!」

そのアマンダさまに事前の相談もなく、突然、ルナレイラお義姉(ねえ)さまとの婚約をするということを発表しちゃったわけ。そりゃ、アマンダさまも慌てただろうし、魔王城も上を下への大騒ぎになるってものよね。


パパ(魔王)はね、美女には目がないの...」

マイレィちゃんによれば、以前は気にいった美女がいるとすぐ(ねんご)ろになって寝ていたのだとか。

そうやって来たから、妻が多いんだそう。つまり、美女をただつまみ食いするだけでなく、ちゃんと責任をとって結婚しているらしい。

 ふむ、近頃はなかなかそういう責任感のある男っていないんだよね?

ところが、彼が一介の放浪貴族から一国の王になって国を治めるようになるとそういう事が出来なくなったのだそう。そりゃ魔王だから、何でもやろうと思えば、それはやれる。

 だけど、美女と手当たり次第に寝ていたら、それこそ人心は離れ、国民は魔王を憎むようになる。ヘタをしたら暴動や革命が起きて、魔王は殺され、魔王国は滅びるかも知れないのだ。


「結局、パパ(魔王)って気が弱いのよね」

ふうむ。だから、男勝りのアマンダさまが手放せないってこと?

まあ、魔王さまの考えていることは正しいことで、善政を敷いていれば国民も頑張るってもんだし、農園にせよ、工業にせよ、商業にせよ、儲かっていれば誰も文句は言わないし、暴動も起きなければ革命も起きないし、魔王も殺されずにすむわけよね。

 すべてがうまく行って、みんな儲かっているのなら、為政者が独裁者であろうが魔王であろうがかまわないということ。これは宇宙の無変のルールなのよね。


「じゃあ、今回魔王さまは、なぜアマンダさまに相談もせずに婚約をするって発表したの?」

「あれェ?アリシアちゃん、あの日、大浴場でパパ(魔王)のハダカ見なかったの?」

「え?パパ...じゃない、魔王さまの... おハダカ、いえ、ご裸身...を?」

「やだ――っ!一生懸命見ていたじゃない?」

「... 見なかった言えばウソになるし、見たと言ったら、女の子のくせにって...」

「あー、そんなの気にしない、気にしない。わたし、パパが女の人とすること見慣れているし!」


「...じゃ、じゃあ、見たってことで」

「パパのオ〇ン〇ン、立派だったでしょ?」

“ゲゲッ、やっぱりそこかよ!?

「と... と... と... とてもご立派でございました」

「ふふふ。パパさぁ、ルナレイラさんとイイコトしたくて堪らなくなっちゃっただね!」

「イイコトって...」

「やだ――っ、アリシアちゃん、知っているくせに!」


そのあとは、エイルファちゃんエリゼッテちゃんとビアと四人で笑い転げた。

って、ビア、あなたマイレィちゃんが言ったことわかっているの?

「やだ――、お姉ちゃん、無知すぎるぅ!」

あ、わかっているみたい(汗)。




 お風呂での電撃発表から、一週間が過ぎた。


 マイレィちゃんもエイルファちゃんも、今日は特別におめかししている。

かく言う私も。私たちから離れないビアも今日は一段と可愛い恰好をしている。

そう、今日は魔王さまとルナレイラお義姉(ねえ)さまとの婚約式の日なの。


 お母さまとモナさまは、魔王から許可されたヤーダマーの塔帰りを昨日してから、一泊した後、魔王城に帰って来た。私は、お父さまにお会いしたかったけど... 

我慢したの。ビアにも理由を言って、魔王城に二人残ったの。

 その理由と言うのは、ほら、お父さまとお母さまたちって、すごく仲がいいでしょ?

ヤーダマーの塔にいたころは、毎晩お父さまと激しく... いえ、お父さまと仲睦まじく愛し合っていたじゃない?


 それがお母さまとモナさまが魔王城に行ったら、お父さまのお相手はマイテさまだけになるじゃない?

まあ、マイテさまは、毎晩お父さまとお二人だけで激しく... いえ、仲睦まじくやれているかも知れないけど、お父さまも長年いっしょに暮らして来たお母さまとお若いモナさまがいなくなって寂しく感じているんじゃないかって思ったの。

 それは、お母さまとモナさまも同じで、一週間もの間、お父さまと激しく... いえ、仲睦まじく出来ないというのは、女ざかりの二人にとっては、大へんなことじゃないかと考えたわけ。


 それに魔王さまの家族風呂-大浴場- は、何か緊急事態発生とか戦いの重要な局面で魔王さまもアマンダさまも司令部に張りつきっぱなしと言うような事態でもない限り、魔王さまは家族といっしょに風呂に入るという伝統が毎日あるんだけど、そこで毎回、魔王さまはお母さまとモナさまをひざに乗せてオッパイを揉んだりしているのよね... 


 あれって、さんざん魔王さまに刺激されたあとで、火山を静めてくれるお父さまがいないお二人は、毎晩寝苦しい夜を送っているのではないかと心配したわけ。

 それで、せめて週末にヤーダマーの塔にお帰りになった時は、私とビアがいなかったら、お母さまは気兼ねなく日中でもお父さまと激しく夫婦のことを... いや、仲睦まじく出来るでしょ?

 そこまで考えたわけ。ビアもどこまで理解してくれたかわからないけど、私の考えに賛成してくれたの。

まあ、ビアのことだから、本心はマイレィちゃんと週末に遊びたかっただけかも知れないけど。



 お母さまとモナさまの里帰りということで、アマンダさまが例の王室専用馬車を使わせてくれて、ガバロス親衛隊も5騎付けてくれた。まあ、あの王室専用馬車って数台あるそうだから、1台使ってもどうってことないってマイレィちゃんが言っていたけど。だけど、アマンダさまには感謝しなきゃ。

 そういう訳で、お母さまとモナさま、第五曜日の夜に出かけて、週末の第六曜日、第七曜日の二日間、ヤーダマーの塔に泊まって、今日の昼過ぎに帰って来られたんだけど、ひと目で肌に艶が出ているのがわかった。お二人ともたっぷりとお父さまに愛されたみたいでうれしかった。


 魔王城は、婚約式に参列するために来られた招待客でいっぱいだった。

お母さまとモナさまも、婚約式用にプリシルさまが用意してくれた素敵なドレスを着て、美しく着飾っていたし、大ホールに来た時から忙しそうに誰彼と指図しているアマンダさまもプリシルさまも一段とお美しい姿だった。アンジェリーヌさまやジョスリーヌさま、リエルさまたちもとてもお美しい。


 里帰りからもどられたと言うソフィエッタさまも、生後三ヶ月の子どもを抱いて美しいドレス姿でいらっしゃる。

 ソフィエッタさまって、何でもこのテルースの世界で魔王さまが、最初に妻にされた方だってマイレィちゃんが教えてくれた。

 ソフィエッタさまは、とても美しいエメラルド色の目と長い緑の髪をもっていて、魔王さまとの間にシャミアちゃんって言う名前の7歳の娘がいて、今度もまた女の子が生まれたんだって。

 彼女はドワーヴァリ族っていう種族のお姫さまで、お父上はドジョーネル王って言って、ナマズのようなヒゲを生やしていて、お母上はナンシーネ王妃って言う方で、夫であるドジョーネル王よりずっと背が高く、堂々としたお胸をお持ちの女傑っぽい方。


 ドワーヴァリ族って、どんな種族か知らない。

だけど、ドジョーネル王夫妻って、何でもすごいお金持ちで、魔王さまの最初の事業、農園経営を成功させた陰の立役者なんだそう。

“へーえ... 将来のために、私もお近づきになっておこうかな...” 

なんて考えながらドジョーネル王さまを見ていると

「ガ―――ッハッハッハ!それはボロ儲けしたでしょう!」

ギャストン伯爵がドジョーネル王さまと何か面白そうな話をしているみたい。


「いやー、ワシはそんなつもりはなかったんじゃがな。ナンシーネがすごい剣幕で怒鳴りこんで行ってな」

「そりゃ、奥さまはあの体格ですから、誰でもビビりますわい。それに、あのヴァナグリーたちを連れていったのでしょう?」

「わっはっは!ヴァナグリーはアマンダ王妃より怖ですからな!」

なに、あの話?それにヴァナグリーって誰よ?


「皆様、今日はお忙しい中、魔王陛下の婚約式にご参加くださり、魔王国の臣民を代表して心からお礼を申し上げます!」

ざわついていた大ホールが、音声拡大器からの声ですぐに静かになった。


 アイフィさまは、エテルナール教神教官の正装である白色のトゥニカを着て、同色のウィンプルを頭にかぶり、青白い石で出来たロザリオを胸にさげて、大ホールの前方の演台から大ホールにいる者たちに話していた。

 演台の上には子どもの手の平ほどの大きさの丸い円盤型のモノがあり、どうやらその魔法具でアイフィさまが話している声を捉えて拡大しているらしかった。

移動魔法といい、マデンキ(魔法式遠隔伝達器)といい、城内監視マソテレビといい、魔王国って魔法先進国って感じ...(汗)。 


 ざっと見たところ、招待客は300人くらい。

今は戦いの最中なのであまり招待してないってマイレィちゃんが言っていた。

大きさ3メートルほどのテーブルが間隔をおいて30個ほど置いてあり、その上には“おツマミ”らしい料理がたくさんあるけど、椅子はテーブルといっしょには置いてなく、壁際に並べてある。

“どうやって晩餐会をするんだろう?”と思った。


「...... という訳で、ただいまより、魔王国の同盟諸国のご来賓、ならびに魔王国の皆様のご出席のもとに、ルーク・ザフィスト・ドレッドメイル魔王陛下と ルナレイラ・ジュリエッテ・ゲネンドル王女殿下の婚約式を行いたいと思います。それでは、皆様、まず最初にエタナールさまへ感謝のお祈りを捧げましょう」

アイフィ神教官が言い終わると、神教官の助手が演台をさっさと持って行った。


魔王さまの名前をアイフィさまが言った。

“へーえ。魔王さまって名前あったんだ。なかなかカッコいい名前じゃない?

あ、そう言えば、ルファエル君もマイレィちゃんも名字あったよね?

お祈りって言ったけど、正面の壁を見ながらするのかしら?”

 

と正面の壁、つまり演台の背後の美しい絵が描かれた壁を見ていると― 

な、なんと、壁が二つに割れて、いや、最初から二つに分かれるようになっていたんだ。

スルスルと音もなく左右に10メートルほど開くと... 

あら不思議、そこには立派な祭壇がありました!

“なに、これ?スゴイ仕掛けなんですけど?”


そして、突然鳴り響いた音楽!

びっくりして1メートルくらい飛び上がっちゃったわ。

音が響いて来た方を見ると、何と横の壁が20メートルほど開いて、そこにはいかめしい顔をしたガバロス親衛隊- いや、これは親衛隊じゃなくて軍楽隊ね? -が40人ほどいて、一斉にラッパみたいなのを鳴らしていた!それにしても演出、凝りすぎじゃない?


 荘厳な音楽が鳴り響く中、大ホールの入口から、魔王とルナレイラお義姉(ねえ)さまが現れた。

魔王さまは、頭に王冠をかぶり、いかにも高貴って感じの濃い紫のピシッとしたジャケットに白のロングパンツ。そして右肩から左下の腰まで斜めに幅広の帯を付けていて、胸には大きな勲章、左腰には短めの黄金製の剣を吊るしていた。

 ルナレイラお義姉(ねえ)さまは、淡いピンクのロングドレスを着ていた。

おパンティが見えそうな短いドレスじゃなかったので安心した。ロングドレスは、肩紐のないタイプで、胸の部分がコルセットみたいになっているんだよね。


 ルナレイラお義姉(ねえ)さまは、オッパイが大きいからドレスは落ちにくいだろうけど、何かの拍子で前屈みになった時に胸の前が何かにひっかかったりしたら... 

 オッパイぽろり... とはならないか。下にブラジャーをつけているだとうし。

って、肩紐なしブラジャーってあるんだよね?

 魔王さまとルナレイラお義姉(ねえ)さまは、絨毯の上を歩いて祭壇の前まで行き、アイフィさまの後ろにひざまづいた。

 すると今度は軍楽隊の奏でる神々しい感じの曲とともに、エタナールさま賛歌が聴こえて来た。

軍楽隊の方を見ると、50人ほどの合唱団が歌っていた!


 エタナールさまへのお祈りが終わり、祭壇が元どおり壁の後に隠されると、いよいよお待ちかねの晩餐会だ。どこのテーブルに座ろうかな... エイルファちゃんやエリゼッテちゃん、マイレィちゃんたちといっしょがいいな... 早く椅子を持って来ないかな... なんて考えていたら


「それでは、魔王さまとルナレイラ王女さまの婚約を祝って祝杯を上げますので、みなさまお近くのテーブルにあるグラスをお取りください!」

アイフィさまが退場して、今度はアマンダさまが乾杯の音頭をとる。

私たちは、慌てて近くにあるテーブルに急ぎ、グラスをとる。

お母さまとモナさまは、透きとおった黄色っぽいお酒のグラスをとり、私とビアとカリブとジオン、キアラは果物ジュースの入ったグラスをとる。

お母さまとモナさまのグラスを見ると、泡がプクプクと上っている。

“あれを飲んで見たかったな…”と思っていると― 


「アリシアちゃん、もうすぐ15歳だからお酒飲んでもいいんじゃない?」 

モナさまが、そのプクプクと泡が上っているお酒のグラスをとってくれた。

「そうね。かまわないでしょう。ルナレイラちゃんの婚約式なんだし」

お母さまも許してくださったので、ジュースのグラスをもどし、お酒のグラスをもらう。

ビアが、いいな、いいな、という目で見ていた。

あなたはあと3年待ったなきゃね。


「それでは、魔王さまとルナレイラ王女さまの婚約を祝し、魔王国と同盟諸国の永遠の繁栄と皆様のご健康と幸せを願い、またテルースの世界に一日も早く平和が訪れることを祈って、乾杯!」


「「「「「「「「「「カンパ―――――イ!」」」」」」」」」」

招待客たちが唱和して、グラスを空ける。


グラスのお酒は冷えていて美味しかった!

果実っぽい味のすっきりした喉越しでとても爽快な感し。

これがお酒?葡萄酒とはまったく違う!



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