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ネコ耳❤アリシアの魔王城日記  作者: 独瓈夢
第三部 アリシア伯爵
117/321

第117章 アリシア伯爵、同盟国を訪れる-ガラガス編④ バンディ一族

「お父さまとおじさまとジロお兄さま?!」


立派な軍服姿に身を包んだ四人のエール樽ならぬ、ドワーフ軍人は― 


ドヴェルグ陸軍総司令官 ドワ・ジロン・ガンタレーパ・バンディ公爵-アガリさんのお父さん。

ドヴェルグ陸軍南部総軍司令官 ドワ・ズロドン・ギルバデン・バンディ伯爵-アガリさんの叔父さん。 

ドヴェルグ陸軍兵器廠長官 ドワ・ダルドン・ボンバロ ・バンディ伯爵-アガリさんの叔父さん。

ドヴェルグ陸軍第一師団長 ドワ・ジロタレーパ・バンディ侯爵-アガリさんの兄さん。

だった。


先ほど思いっ切り肩や背中をたたかれたラナ叔母さんは、ドヴェルグ陸軍司令部参謀総長だそうだ。

いや、バンディ一族って、ドヴェルグ国の陸軍を取り仕切っている軍閥じゃないのって思いたくなった。

ちなみに、 ジロタレーパ師団長さんは、右手には指が三本しかないし、ボンタレーパ総司令官も顔に大きな傷がある。みんな伊達にドワの称号をつけてないのだと言うことがわかる。



 昼餐会が開かれる大ホールに移り、ドンゴ・ロス王とジル・ドロンダ王妃、外務大臣ティバウド伯爵、軍務大臣 ダルドン伯爵などの横にバンディ一族が座った。私とアガリさんは、ドンゴ・ロス王夫妻の真向かいだ(汗)。


 私たちの両横には、フローリナちゃんたち以下、私の部下たちが並んで座った。

いや、彼女たち上司である私を慕って近くに座ったのじゃない。そう座るように案内係に教えられ、テーブルには部下たちの名前が書かれたプレートが置かれてあったのだ。


 ドンゴ・ロス王もティバウド伯爵、軍務大臣 ダルドン伯爵も、ボンタレーパ 総司令官も、ギルバデン南部総軍司令官も、ダルドン兵器廠長官もジロタレーパ師団長も- ジル・ドロンダ王妃とラナおばさんのほかは― 彼らの関心の中心は、私と私の美女軍団にあった。


 アガリさんも魔王さまが王妃にされたほどの美女なのだけど―

ほら家族とか血縁とか、子どもの時からいっしょに育った仲だと性的興味とか沸かないって言うじゃない?

 血縁関係が近い親族同士の間に生まれた子どもは、病弱とか遺伝的欠点が現れやすいというから、いくら美人であってもアガリさんには色目を使わないんだろうけど。

 まあ、ビアとかミルイーズちゃんとか、リラーナちゃんとか、アラネイルちゃんとか、イジルダちゃんとかは、ぼいんぼいんのおムネだし、ドンゴ・ロス王やドワーフの男貴族たち、軍人たちの注目を引くのも当然といえば当然? 


 ぼいんぼいんのおムネもぶるんぶるんのオシリも持ってない、レイカちゃんとか、ペーミンちゃんとか、バラメちゃんとか、ラノリアちゃんとかは、ドワーフの男貴族たち、軍人たちの注目を引かないかと言えば... 

 そうでもなくて、(ドワーフ)も様々な女性の好みを持っているようで―

控え目おムネ、小ぶりのオシリが好きなご仁(ドワーフ)もけっこういるらしく、昼間から飲むお酒の酔いも手伝って、ワイワイキャーキャーと賑わっていた。


 もちろん、私もぼいんぼいんのおムネもぶるんぶるんのオシリもないけど、それなりにドンゴ・ロス王やドワーフの男貴族たち、軍人たちの注目を引いたけど... 

 いやあ、正直な話、おムネぼいんぼいんやオシリぶるんぶるんの部下たちは、私が羨ましくなるほどモテた。


 今にもドレスの胸から零れ落ちんばかりのオッパイの()()()をあらためて確認した次第だった。

 いや、私だって、おムネがないわけじゃないんだ。明日からは、こう、オッパイをぐっと盛り上げるコルセットを付けて、男どもを悩殺してやるぞ!

 あ... そう言えば、今回は、そんなコルセットもオッパイがこぼれそうに胸元が開いたドレスも持ってなかった…

 しゃーない、夜までにドコデモゲートで魔都へ帰って買って来よう。


「いやん!ワタシのお胸を指で突いたりしないでぇ!」

ビア、そんな盛りのついたメス猫みたいな声出さないで。


そんな酒場で働く女給みたいなドレス着てたら、誰でもおムネやオシリを触りなくなるわよ。

だけど、よく見たら、ドワーフ貴族でも将軍でもなく、バラメちゃんが突いていた?

バラメちゃんはエルフなので、ぼいんぼいんが羨ましいんだろうね。

わかるよ、その気持ち。



    ドワランガム宮殿昼餐会

     挿絵(By みてみん)




 昼餐会は午後3時に終わった。


 部屋に帰ってから「ちょっと用事があるので魔都にもどります」と言ったら、

「今、帰っても魔都は午前3時ですよ、伯爵さま?」

「魔都の恋人の家に夜這いでもするんですか?」

フローリナちゃんとミルイーズちゃんから突っ込まれた(汗)。

クソっ、せっかく魔都の店でコルセットとおムネを強調できるドレスを買おうと思ったのに... 


「なによ、ミルイーズちゃん、夜這いって?」

「あ、ごめんなさい」

「夜這いをかけられるのは、あなたたちよ!」

「「ええっ、ドワーフさんたちが夜来るんですか?」」

おいおい、こんな時にまでハモるのかい?


「ドワーフたちが襲いに来るもんですか!そんなことしたら外交問題よ!」

“夜這いをかけるのは私よ”と言おうとしたけど、面倒なのでやめた。

彼女たちは、いつでも好きな時に抱けるし。


さて... じゃあ、魔都に帰るのは夜の10時以降だな。

それまで何をしようかな。ガラガスの町にでもくり出して王都見物でもしようかな... 

と考えていた時― 


 コンコン!


ドアがたたかれた。

キナラさんがドアを開けるとアガリさんがいた。


「よっ、魔王国の外交員さん、暇かい?」

アガリさんといっしょにいた中年のドワーフ女性軍人- ラナおばさんが言った。


「これから、ガラガスの街にくり出さない?」

ミニスカートに着替えたアガリさんが王都見物に誘ってくれている。


「ガラガスの穴場に連れて行ってやるよ!」

「行きます!」

ラナおばさんの言葉に即答した。


「私たちもいっしょに行っていいですか?」

「よしましょう、ミルイーズちゃん。たまには伯爵さまお一人で楽しんでいただきましょう」


ミルイーズちゃんはいっしょに出かけたがっていたけど、フローリナちゃんが止めた。

フローリナちゃんはけっこう分別ある()だけど、ミルイーズちゃんは、どこでも私の行くところついて来たがる。もうすっかり私の恋人みたい。


それにしてもアガリさんのこのファッションはなに?

ベージュ色のVネックニットセーターに白のミニスカート、そしてやはりベージュ地に大柄な黒と赤のチェック模様が入った膝丈のロングコートって... 

あまりにファッショナブル過ぎて、しばし見とれちゃった。

ラナおばさんは、先ほどと同じ軍服姿だ。


「アリシアさん、その恰好でガラガスの街を歩くの?」

アガリさんが、私が彼女のファッションに見とれているのを知って、意地悪っぽく訊いた。

「まさかぁ!ちょっと待っててくれる?すぐ着替えるから!」

「いいわよ。その間にお茶でもいただこうかしら?」

「あたしは酒をもらう。あのゲネンドル伯爵が熱心にドンゴ・ロス王陛下に宣伝しておった葡萄酒を飲ませてもらおうか!食前酒だ、出来るだけ強いやつをな!」

「あ、じゃあ私も葡萄酒をいただくわ!」

「キナラさん、《ヴァレンテ・サムゾン・ストルンゴ》を1本出してあげて!イムラさんは、私の着替えを手伝って」


  キナラさんに葡萄酒と何かおつまみを出すように指示して、寝室に入り、イムラさんに手伝ってもらって男装の麗人に変身する。いや、本心言うと私もミニスカ着たかったんだけどね。残念なことに公式の席で着るドレスばかり持って来ていて、ミニスカは一着も持って来てなかった。


 10分後―

紺色のコートに紺色のウエストコート、紺色のベストに白のシルクシャツ、紺色のパンツと黒のロング革ブーツ、肩に半円マント、腰には家宝の剣と言う、いつもの着慣れたファッションに変身した私がいた。


 いや、コートにもウエストコートにもベストにも縁に金色の袖飾りや縁飾りがあり、コートには金糸で見事な刺繍があるんだけど... 

 見栄えしないんだよね、とくにミニスカコーデで圧倒的な存在感を示しているアガリさんに比べると。

今度、トラウザーの代わりにミニスカートを使ったコーデを注文しよう。せっかくの美脚、誇示(アッピール)しないと損だからね。


「じゃあ、あなたたちは、ほかの()たちとガラガス見物をして来なさい」


そう言って、金貨3枚をお小遣いとしてフローリナちゃんに渡し、キナラさんとイムラさんも連れて行くように言って部屋を出た。


アガリさんたち、キナラさんが出した《ヴァレンテ・サムゾン・ストルンゴ》を空にしていた(汗)。

ラナおばさん、かなりの酒豪なのだろう。



      ガラガスの夕景

      挿絵(By みてみん)



 ドワランガム宮殿を出ると、ガラガスの町は夕方だった。


「まあ、きれい!」


魔術護衛士のユビィラちゃんが、長い坂道を下りながら夕焼け空の下に見えるガラガスの街並みを見て声をあげた。ユビィラちゃんとリンド君は私の護衛なので、フローリナちゃんたちといっしょにガラガス見物に行かせるわけにはいかない。 


「きれいな夕焼けが出るのは、西に雲がない時なんですよ」

意外に物知りな護衛君。


「護衛が二人もいるのに、剣を下げておるのか、ゲネンドル伯爵?」

「あ、はい。ガラガスでは襲撃者はいないと思いますけど、こんな恰好をしている時は必ず剣を下げています。それと、私のことはアリシアとお呼びください」

「ふむ。そうなのか。ゾオルでは二度も大変な目に遭ったと聞くから、剣を持って歩くのも無理はないな。なあ、アガリン?」

「ちょ、ちょっとラナおばさん、アガリンなんて呼ばないでくださいっ!」


えっ、アガリさん、親戚からはアガリンって呼ばれているの?

それにしてもアガリさんの顔が赤いのは、夕日のせいだけじゃないみたい。


「ところで、アガリンとアリシアは、かなり仲がいいみたいだな?」

「え?」

「そ、そうですね。今度のガラガス訪問がキッカケとなってよく話すようになって...」

「私がアリシアさんの後を継いだこともあって...」

「ああ。魔王国情報総局情報分析室の室長のことだな?」

「はい」

ラナおばさん、そんなことまで知っていた?


「これはアガリンが教えてくれたことではないぞ?ドヴェルグ軍情報部は優秀なのだ。それはそうと、それほど仲がいいのに、いまだに“アリシアさん”、“アガリさん”か?」

「「え?」」


「いっそ、アガリン、アリーと呼び合えばいいじゃないか?」

「「え?アガリン、アリー???」」

二人そろって二度もハモってしまった。


「それ、かわいいですっ!」

「本当に可愛いですね。まあ、護衛であるボクもユビィラも、そんな風に呼べませんけどね」


「私は...いいわよ」

アガリさんが最初に受け入れた。


「アガ...リンがいいなら、私もいいわ」

「アリーとアガリンか。ちょっと照れちゃうな」


何とはなしに、おたがい手をつないだ?

ハッとして、すぐに手を離したけど…

みんなに見られた(汗)。


まあ、リンド君もユビィラちゃんも、()()()()を知っているので何も言わなかったけど。

リンド君は少し複雑そうな顔をしていた。


 ドワランガム宮殿の門から出て、坂道を下りてしばらく歩くとガラガスの街だ。

ガラガスは周囲が崖で囲まれた台地の上にある町で、ドワランガム宮殿はその台地の中央にある山に建てられている。

 なので、ドワランガム宮殿からガラガスの町に行くときは、坂道を下りるか、長い階段を下りなければならない。ガラガスが台地の上に作られた理由は、攻めにくいからだ。

 ガラガスの町は高い城壁で囲まれていて、山の上にあるドワランガム宮殿も同じく高い城壁で囲まれている。古来から、ガラガスが攻略されたことがない理由の一つがこの難攻不落の城壁にあり、もう一つがドワーフ軍の強さにある。


 魔都を出発する前に調べた資料で呼んだことを思い出しながら、ドワランガム宮殿をふり返って見ていると、どこからか黒い煙が立ち上っていた。

 暖炉の煙にしては黒いし、かなり出ている。だけど、しばらくすると消えてしまった。何か燃やしていたのだろうか?


 ピ――――… ピ―――――…


何か奇妙な音がする。

軍の新兵訓練所で教官などが吹く笛に似た音だけど、音はかなり高くすごく響いている。

音は数回鳴ったあと聞こえなくなった。


 ガラガスも発展にしたがって町は拡大しているようで、城壁外の低地にも家が密集している。

ガラガスの街は、魔都と変わらないくらいの賑やかさだ。道を行くのは圧倒的にドワーフが多いが、獣人やエルフなどもちらほら見られる。


 ドヴェルグ国が、獣人族が主な住民であるレウエンシア国を占領してから十数年経つ。なのでレウエンシア国からガラガスに移り住んだ獣人もかなりいるのだろう。エルフはダユーフネフ共和国とかボードニアン国とか、ミタン国とかから商売か何かで来ている者なのだろうか?

 ドワランガム宮殿から真っすぐ続く石畳の道の両側には、4、5階建ての古い建物が整然と並び、ガラガスが歴史の深い街であることを示している。


 魔都やゾオルもそうだけど、テルースの世界の国で住んでいるのは一種族だけどいう国はほとんどない。強いて言えば、アングルスト帝国やベルミンジャン王国などはトロールが圧倒的に多いのだが、それでも獣人やエルフなどは少数ではあるけど住んでいる。


 それにしても、ミニスカートをバッチリと着こなしたアガリンは、そのスタイルの良さもあって道行くドワーフたちの目を引いた。 

 まあ、しかたないわね。いつも私が舞台の主人公だと思うなという教訓だと思って我慢しよう。

アガリンも2年ぶりとかの里帰りでうれしいんだろうし、ラナおばさんが言ったように、“アリーとアガリン”の仲だからね。


アガリン、通りを歩いていると、次々と声をかけられた。

「やあ、別嬪(べっぴん)さん!お茶でもどう?」

「はーい!そこのエルフちゃん、お茶いっしょに飲まない?」

「君、そんな短いスカートで寒くない?暖めてあげるから僕の家に来ない?」

「かわい子ちゃん、その先にある気の利いた居酒屋でいっしょにお酒飲みませんか?」


アガリン、その度にうれしそうに

「ありがとう。でも、私既婚者なの」

「そうね。帰りもまだここにいたら、考えてもいいわ」

「ありがとう。さっきもうお酒飲んじゃったのわ」

なんて答えていたけど、アガリン、なんだか千鳥足みたい。 


 いや、私も通行者たちの目を引いたよ?

男の恰好をしたフェリノディオ族(ネコ人族)の美女として。

「やあ、ネコちゃん、あたしといっしょにお茶飲まない?」

「ネコちゃん、私の家でいっしょにお風呂入らない?」

「かわいいネコちゃん、わたしといっしょにお酒飲まない?」

...... なんだか、声をかけて来るのは、9割方女の子だった(汗)。



 30分後― 


私たちは、『名もない兵士亭』という料亭のような店の三階の個室にいた。

その部屋に集まっていたのは―


ドワ・ジロン・ガンタレーパ・バンディ公爵(通称ガンおじさん。陸軍総司令官)を上座に

ドワ・ダルドン・ボンバロ ・バンディ 伯爵(通称ドンおじさん。兵器廠長官)

ドワ・グルス・ドンデン・ルガーボ伯爵(通称グルスおじさん。士官学校校長。元海軍司令官

ドワ・アグア=ラナ・バンディ伯爵(通称ラナおばさん。陸軍司令部参謀総長)

ジンゴロ・バンディ子爵(通称ゴロ。第一師団長。ダルドン伯爵の長男)

ミナ=ラナ・バンディ子爵(通称ミナ。第二師団長。ラナ伯爵の長女)

ジロタレーパ・バンディ侯爵(通称ジロ。第三師団長)

バング・ジロタレーパ・バンディ(通称バン。東部兵団の中佐。ボンタレーパ公爵の次男)

ドイダワ・ジロポーティ・バンディ兵器廠開発課長(通称ポチ 。ダルドン伯爵の次男) 


......... 


グルスさん以外、ぜんぶバンディ一族だった!




*レウエンシア国をテアスジム国と書き間違えたので訂正しました。

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