第115章 アリシア伯爵、同盟国を訪れる-ガラガス編②
「ごめんなさい!申し訳ございません!この通りです!お願いします、お願いします。魔王さまには報告しないでください!」
土下座せんばかりにして謝っている青い目、金髪の美女アガリさん。
私は呆然として、着替えの服を手に持ったまま彼女を見ていた。
キナラさんとイムラさんも驚いていたけど、すぐに荷解きの作業を再開した。
ご主人さまとお客さまの会話などは、聞いても聞かないフリ、見ても見ないフリをするのが優秀な使用人の条件だ。ただし、あとで噂が広まっても主人は何も言えないが。
ドヴェルグ王国にドコデモゲートで移動直後、私と間違えられて大混乱になった。
その原因は、私より先にドヴェルグ王国側に移動したアガリさんだった。
まあ、アガリさんも何年ぶりかの里帰りで嬉しかったのだろう。
1秒でも早くドヴェルグ王国の空気を吸いたかったのに違いない。
「私は、ガンタレーパ・バンディ伯爵の娘のアガリ・バンディです!」
「「「「「「「「「エエエエ―――――!」」」」」」」」」」
アガリさんを私と勘違いして、大きな花束を渡し、歓迎の言葉を述べたエール樽たち、もといドワーフ貴族たちはズッコケた。
「そ、そうじゃ。この娘は、何年か前に魔王の王妃となった、ガンタレーパ・バンディ伯爵の娘じゃ!」
ひときわ恰幅のいいドワーフ貴族の男が、アガリさんを指さして言った。
「そう言えば、この娘はネコ耳ではない!」
後ろにいたもう一人のドワーフがアガリさんの耳を指さした。
アガリさんの耳は、細く尖っていて、ネコ耳ではなかった。
「「「「「「「「「「ネコ耳じゃない?」」」」」」」」」」
ドワーフたちが唱和した。
「ネコ耳は私です!」
私は、アガリさんのメイドたちや従者たちに道を開けてもらって前に出て言った。
「おお!ネコ耳っ!」
ひときわ恰幅のいいドワーフ貴族が叫び
「「「「「「「「「「ネコ耳っ!」」」」」」」」」」
ドワーフたちが唱和した。
「では、そなた、いや、貴殿がゲネンドル伯爵殿か?」
ひときわ恰幅のいいドワーフ貴族が訊き
「「「「「「「「「「「貴殿が、ゲネンドル伯爵殿?」」」」」」」」」」
ドワーフたちが唱和する。
「アリシア・ミラーニア・ゲネンドル伯爵参上!」
アガリさんの失敗には敢えて触れず、鷹揚として落ち着いた振る舞いで名前を名乗った。
アガリさんのやったことは露払い。王侯行列の先払いと思えばいいのだ。
「おう!この花束は、貴殿へ渡すものじゃったんじゃ!」
ひときわ恰幅のいいドワーフ貴族が、アガリさんが抱えていた花束を奪い取り、私にくれた。
それから、またひときわ軍楽隊がパンパカパーンと歓迎の音楽を鳴らし、歓迎儀式が無事行われ、そのあとで私たちが宿泊する部屋に案内された。
ドワランガム宮貴賓室
広く豪華なリビングルーム付きのスイートルームに入り、ドンゴ・ロス王に謁見するまでにはまだ時間があるので、キナラさんとイムラさんといっしょに荷解きをしていると、ドアがコンコンとノックされ、キナラさんがドアを開けるとアガリさんが申し訳なさそうな顔で立っていた。
そして、冒頭の平謝りとなったわけだ。
「私、この通り体格的にドワーフらしくないでしょ?」
「ドヴェルグ国の皆さんが勘違いされただけだから、全然気にしていません」
アガリさんをなだめた後で、メイドが入れてくれたお茶を飲みながらお話をした。
アガリさんは、エルフの血が混じっているから、ドワーフらしくない細い身体をしているのだそうだ。
曾祖母だか高祖母だかよくわからないけど、エルフだったそうで、それがどうやら隔世遺伝で彼女に強く出たらしい。
「私はですね...」
「あ、その敬語、止めませんか? アガリさんの方が私より年腕ですし」
「あら、ごめんなさい...」
「だから、敬語なしのため口でいいんですって!」
「ウフフ。アリシアちゃんって、やはり噂通りの気さくな人なのね?」
「私は、いつもこうなんですよ」
「私ねぇ...ドワーフ人だし、大人になったらドワーフと結婚するんだって思っていたのよね...」
アガリさん、一気に緊張が解け、年の近い友人と話す言葉遣いになった。
私たちは、おたがいすっかり“気ごころの合う友だち”になっていた。
「だけど、4年前に魔王さまがガラガスに来られた時に、ドンゴ・ロス王陛下さまが突然、私に魔王さまに嫁ぐようにと言われて... 私、あまりに魔王さま美男子なので夢ではないかと思ったくらい嬉しかったの」
まあねぇ...
身長160センチ以上あるスラリとした体つきのアガリさんが、身長が150センチもないドワーフと結婚して、夜お部屋で一生懸命に子作りをしている姿なんて想像もしたくないわ(汗)。
ヤバっ。白く細い足(ドワーフと比べて)を広げたアガリさんの上に、エール樽...じゃない、エール樽のように太い体のドワーフ男が乗って、ハァハァと息をしながら動いているのを想像してしまった。
やっぱり、そんな妄想よりも、魔王さまのあのたくましい体の下で熱くせわしい息をしているアガリさんを想像した方が自然っぽい。
そんなことを妄想していたら、何だか無性に魔王さまに抱かれたくなった(汗)。
「私、魔王さまの王妃になることが出来て、すごく幸せ!」
ぽっと顔を赤らめて語るアガリさんがメチャ可愛い。食べてしまいたいくらい!
まあ、魔王さま、女性を愛するの上手だしね。
延々とベッドやお風呂で愛し続けられたら、そりゃ夢中になるってものよ。
経験者の私が言うのだから間違いない。
ちなみにアガリさんのお父さんのガンタレーパ・バンディ伯爵は、十何年前かの東ディアローム帝国軍との戦いの時にドンゴ・ロス王陛下の命を救ったドワーフ将軍で、彼には4人の息子がいたんだけど、みんな戦いで死んでしまって、アガリさんはバンディ伯爵家の唯一の跡取りなのだそう。
しかもガンタレーパ・バンディ伯爵は病気であと1年も持つかどうかと言う時に、魔王さまに嫁ぐ話しが決まったのだそう。なので、アガリさんに子どもが生まれたらバンディ伯爵家を継がせるらしい。
「あーっ、久しぶりに気兼ねなくおしゃべりをして楽しかったわ。また今度おしゃべりをしましょうね!」
そう言ってアガリさんは謁見式に出席する準備のために自分の部屋へもどって行った。
彼女はドヴェルグ王国出身だけど、今はれっきとした魔王国王妃なのだ。
したがって、魔王国王族として相応のおもてなしをドヴェルグ王国から受けることになる。
アリシアのドレス
今回のために魔都の王族指定店に特注したドレスを着る。
薄橙色の透けたオーガンジーを使って、胸元や袖は半透明で肌が見えるほどで、銀糸の刺繍が胸や袖に施されているドレスだ。
ミルイーズちゃんとフローリナちゃんが気を利かせて迎えに来てくれた。
フローリナちゃんはおとなしいデザインで胸元に銀のアップリケがある白いロングドレス。
ミルイーズちゃんは、濃紺で胸元がV字カットで片側に一面銀糸で刺繍がしているロング。豊満なおムネが胸元からこぼれ落ちそうなほど存在を誇示している?
劣等感になりそうだけど...
あれは、ほら、すでに私が散々揉みまくり、触りまくったオッパイじゃない?
私はあんな立派なオッパイ持ってないけど、そんな立派なオッパイを持った女の子を好きにできるという特権を持っているのよね。
部屋から出る前にもう一度服装を見て、廊下に出たらアガリさんがちょうど部屋から出たところだった。
「あら、ステキなドレス!」
そう言うアガリさんのドレスは青がかった銀色のサテンの美しいドレスだった。
細い肩ひもがついたドレスは、何の飾りもないシンプルなデザインだったけど―
スカートの部分が前で二つに分かれていて、歩くと合わせ目からお股あたりまで見えそうなくらい大胆なドレスだった。
「な、なんか、下がスース―するわ」
大胆なドレスを着ている恥ずかしさの照れ隠しのためか、歩くたびにおパンティが見えそうなほど開くドレスを見て頬を赤くする。
いや、アガリさん、可愛すぎるんですけど?
ドレスの胸が、前の服装の時より盛り上がっている感じがするのは、パット入りブラを付けているせい?
まあ、エルフの血が強いらしいから、エルフと言えばおムネが控え目なのが標準だからね。
注目を引くドレスを着たら、おムネも強調したいって気持ちもわかるわ。
謁見の間の手前にある控室に入ると、すでに部下のレイカちゃんたちが座って待っていた。
「伯爵さまのドレス素敵!」
「本当にお似合い!」
「きっとドンゴ・ロス王さまが、驚かれますよ!」
「あたしたちのドレスを買うお金までいただいて感謝してます!」
部下たちが私のドレスを褒めてくれる。
レイカちゃんたちには、私が今回の旅行に必要なものを買うために、全員に金貨2枚ずつあげた。
伯爵になり、公使になったけど、それなりにお給料とか上がっているので、いくら領地の経営とか新事業への投資とかでお金がかかっても、やはり使うところは使わなければならない。
ケチンボ上司は、部下から好かれない。好かれなかったら、満足に仕事をしてもらえないのよね。
金貨を2枚ずつをあげたけど、やはり女の子なので、みんなドレスとか衣装とかに使ったみたい。
「アガリさまのドレスもステキ!」
「きれいな色のドレスですね」
「お似合いです!」
「ドンゴ・ロス王さまが、驚かれますよ!」
私のドレスを褒めたのと同じような形容詞で褒めている?
ビアのドレスは、白の膝上20センチという短いやつで、デコルテはスクエアカットでジッパーがついている。(だけど飾りなので全開してオッパイポロリなんて事故は起きない...と思う)。
肩紐ではなく、胸を斜めによぎる紐がおムネの上部で交差し、首の後ろで結ばれる形式だ。首紐にもドレスにも銀色のスパンコールがついていて、高級さを醸し出していると言うか、ドレスデザインの要点となっている。
って...
ビア、そんなに足を組んで座っていたら、おパンティが見えるわよ?
この着る者の魅力を否応なく主張する、膝上20センチドレスのお値段は大銀貨5枚もしたらしい。
レイカちゃんたちも、それぞれ女らしさを主張するドレスを着ている。
すでに何人かのドワーフ貴族や軍人らしい者が控えの前をのぞいたり、廊下を行ったり来たりしたけど、ビアたち全員が美女なので驚いていた。
「アリシア・ミラーニア・ゲネンドル伯爵殿ならびにお付きの方々、謁見の間へどうぞ。ドン・ゴロス王陛下が謁見されます」
ドワーフの従者が現れ、私たちに知らせた。
大きな扉が開かれた―
私を先頭に魔王国美女軍団、いや、アリシア・ゲネンドル伯の美女たちが、しずしずと優雅に、乙女の香りをふんぷんと撒き散らしながら豪華な絨毯の上を進む。
オオオオオオオ―――――…!
40メートルほどの奥行の謁見の間の両側には、堂々たる体躯のドワーフ貴族たちや将軍たちが着飾って並んでいた。
そして、奥の数段高くなったところにある玉座には、ひと際恰幅のいいドン・ゴロス王が座っていた。
「アリシア・ミラーニア・ゲネンドル伯爵どの―――っ... ならびぃ――っ...
首席補佐官のぉ―っ フローリナ・カミュエマ・キャルニボルさま――ぁっ...
個人秘書のぉ―っ ミルイーズ・アスリン・ゼーブランドどの―――っ... ならびぃ――っ...
補佐官のぉ―っ レイカ・アルデウ・ガルニエどの―――っ... ならびぃ――っ...
補佐官のぉ―っ ペーミン・ガンガネッリどの―――っ... ならびぃ――っ...
補佐官のぉ―っ ビア・エレオラー・ゲネンドルどの―――っ... ならびぃ――っ...
補佐官のぉ―っ リラーナ・ダルドフェルどの―――っ... ならびぃ――っ...
補佐官のぉ―っ アラネイル・ ハンノンベリどの―――っ... ならびぃ――っ...
補佐官のぉ―っ イジルダ・ベテラーブどの―――っ... ならびぃ――っ...
補佐官のぉ―っ バラメ・ハルメ=ボルルどの―――っ... ならびぃ――っ...
補佐官のぉ―っ ラノリア・ロバンズンどの―――っ!」
紹介順に前へ進み、ドンゴ・ロス王に優雅に向かって膝を折って片足を後ろに引き、ドレスの裾を軽く持ち上げ、頭を下げてお辞儀をする。
オオオオオオ――――――……
オオオオオオ――――――……
オオオオオオ――――――……
ドワーフ貴族たちのゲネンドル・レギオン讃嘆のどよめきがハンパない。
「魔王国王妃ぃ――っ アガリ・ラナ・ガンタレーパ・バンディ・ドレッドメイル殿下ぁ―――っ!」
最後にアガリさんが紹介された。
オオオオオオ――――――……
え?
これっておかしくない?
アガリさんは魔王国の王妃さまでしょ?
私は、魔王国の伯爵だから、位から言えばアガリさんの方が上なんだけど?
ま、まあ、今回のドヴェルグ王国訪問団(?)の主役は私だから、私を先に呼んだんだろうけど...
ビア
ビア(14歳)のセクシードレス姿を作ってみました。
ビアはキャットニディオスの母ラーニアライオニディオスの父デルン・ゲネンドルの間に生まれたハーフですが、父の方を引いたのでごらんの通りナイスバディの娘となっています。




