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ネコ耳❤アリシアの魔王城日記  作者: 独瓈夢
第三部 アリシア伯爵
110/319

第110章 アリシア伯爵、絶賛されまた伯爵号を叙爵される

 西ディアローム帝国政府との領土問題会議は、午後3時から始まった。


 会議は、昨日の続きから始まった。盟主国として西ディアローム帝国政府側は、占領後のアングルスト国とベルミンジャン国の領土の割譲を要求した。

 それに対し、私は譲歩案を提示した。その内容は- 魔王国軍によるアングルスト国への侵攻作戦、ならびに鬼人族国とボロツク国両軍によるベルミンジャン国侵攻作戦に、西ディアローム帝国が相当な兵力を送り込むことが出来るのなら、その派遣兵力およびそれが上げた戦果によって西ディアローム帝国への割譲を決めてもいいという案だった。この譲歩案、実は事前に魔王さまにもモモコ大王さまにも事前承認をもらってなかった(汗)。

 


     テルースの世界線引き案

      挿絵(By みてみん)



 しかし、昨日、すでにガナパティ厩役伯爵が、「無理だ。魔王国のアングルスト帝国への侵攻作戦に参加させることが出来る兵力の余裕は、残念ながらわが軍にはないのに、ベルミンジャン国攻略に出せる兵力などあるはずがない」と発言していた。


 昨日の続きの今日の会議も割譲問題をめぐって、ふたたび侃々諤々(かんかんがくがく)の議論となり、ゴードムセロウ侯爵とマンジブラリ伯爵が、何度もテーブルを叩き、大声を出してくれてみんなを鎮めれくれ、ようやく西ディアローム帝国は二つのトロール大国へ兵を派遣しない、いや、()()()()()()という事実を西ディアローム帝国政府側が否応なしに認識するに至った。


 まあ、最終的にそういう結論に達すると言うことは、最初からみんな知っていたと思うんだけどね。

ほら、西ディアローム帝国って大統領制じゃない? 国名こそいまだに“西ディアローム()()”なんて言っているけど、その実態は共和制みたいなものだし、共和制って、閣僚とか軍人とかがかなり自由に意見を述べれらるのよね。


 魔王国では、魔王さまが絶対的な権力を持っていて、アマンダさまやプリシルさまは意見は言うけど、最終的な決断は魔王さまがするし、鬼人族国も十王と言うモモコ大王さまの助言役と言うか、顧問みたいなエライ鬼人のオッサンたちがいるけど、やはり最終的にはモモコ大王が決めているし。


 だから、西ディアローム帝国と交渉に臨む者は、西ディアローム帝国がそう言う体制だと言うことを理解して交渉に臨まなければならない。

 そして、少しは我慢して、彼らが憤り、地団駄を踏み、唾を吐き散らして不満を述べたりするのを堪えなければならない。

 “最終的に初めから分っていた結論に達する”のだけど、何も主張しないで最終点に至ると言うのは、彼らの存在価値の問題となるのだ。西ディアローム帝国の権益を守れない政治家や軍人は必要ないと国民から思われないために、得るところは少ないと分っていてもブーブー文句を言って、何日もかけて実りの少ないと分かっている議論を熱くしなければならない。


 結局、二日目の会議は、昨日の会議で熱い議論が交わされた最後の議題の承認だけで終わった。

昨日の会議の報告書は、参事官のエイルボット子爵が内容を見た上で魔王国へ送るように命じてある。

 もちろん、送る前に私の首席書記官フローリナちゃんに報告書内容を見てもらうようにしている。変な事をエイルボット子爵に追加報告されても困るしね。


「伯爵さま、ビースーたち書記官に報告書の内容を確認させました。ほんの少しの修正しただけでした」

「そう。ご苦労さま」


仕事は何でも一人で抱え込んじゃあいけない。

仕事に溺れて考える暇もなくなり、心に余裕もなくなるからね。

部下には仕事をあたえて覚えさせ、成長の手助けをしなければならない。

それで部下も成長し、自分も楽になるのだ。


「それで、例の『マオウナルド』の西ディアローム帝国展開とレッべガアル産葡萄酒の件はどうだった?」

「はい。『マオウナルド』の件は、ハウェン王妃さまが魔王さまに打診してくださるそうです。レッべガアル産葡萄酒の方は、タマラさまがブレスタンネス伯爵さまと交渉を始められたそうです」


 タマラさんは、私の家の執事で、ブレスタンネス伯爵さまは、レッべガアルの領主・エドディガ・バドードリン・ブレスタンネス伯爵で、葡萄酒の生産供給者だ。


えっ、何で公使なのに自分の商売のことを色々やっているのかって?

それは公私混合じゃないのかって?

それくらの役得いいいでしょ?

何も公金を横領したり、賄賂をもらったり要求しているわけじゃないし。

 


 私は大使館の執務室で、首席書記官フローリナちゃんと秘書のミルイーズちゃんとの三人で昨日の会議のことや今日の会議の反省会とか、明日の会議の準備とかをやっていた。


コンコン!

誰かがドアを叩いた。


「はい、どうぞ」

「失礼します、伯爵殿」


参事官のエイルボット子爵だった。

昨日と今日の会議で、彼の私を見る目が180度変わった。

いや、彼だけじゃない、駐在武官のハソルム男爵も、ほかの理事間や書記官なども、明らかに尊敬の目で私を見るようになった。

会議での私の発言内容や態度などが大使館に広まったせいだろう。


「何でしょうか?」

フローリナちゃんが私に代わって訊く。


「はい。今日、西ディアローム帝国政府との会議中にマデンキ(魔法式映像音声送信機)に、魔王国外務省からの連絡文書、鬼人族国のモモコ大王陛下、ドヴェルグ国のドワラン・ドンゴ・ロス28世王陛下、ボードニアン王国のオルガス・ラウドン・ボードニア王陛下、ミタン王国のアドリアン・ドゥ・バーボン3世王陛下からの親書がこちらに送られて来ておりました」


「え... 外務省からのはわかるけど、モモコ大王さまとドンゴ・ロス王さまとボードニア王さまとバーボン王さまから?」

フローリナちゃんが持って来た、タマラさんからの連絡文とエドディガさんからの連絡文を読んでいた私は目を上げてエイルボット子爵を見た。


「はい、これです」

子爵が渡した5通の文書をフローリナちゃんが受け取って私に手渡してくれた。



『 魔王国外務省通達文書 


通信番号: 第□□□△〇〇号

宛先: アリシア・ミラーニア・ゲネンドル伯爵 殿

件名: 5065年3月21日に行われた西ディアローム帝国政府との領土問題会議に関する件


         本文


貴殿は、5065年3月21日に行われた、西ディアローム帝国政府との領土問題会議に関する会議において、見事に魔王国政府の全権公使としての職務を全うし、魔王国ならびに同盟国である、鬼人族国、ドヴェルグ国、ボードニアン王国ならびにミタン王国の権益をも考慮した提案を西ディアローム帝国政府側に提示して、その提案を西ディアローム帝国政府側に承認させた。

魔王国外務省は、今後の交渉において、さらに貴殿の交渉力および説得力を最大に駆使して、魔王国政府ならびに上述の同盟諸国にとって最善の結果を得れれんことを期待するものである。


テルース歴5065年3月21日   魔王国外務大臣 ゴルウェン・フイル・スティルヴィッシュ


                          ネコ耳、よくやった。

                            魔王(印章)  』



えっ、ええっ?

これナニ?

スティルヴィッシュ外務大臣からの連絡文書に魔王さまが追記をしているよ?

それも“ネコ耳”って... 

思わず胸がキュンとなった。


「伯爵さまと魔王さまって、何だかとっても親しいんですね」

横から連絡文書を見ていたミルイーズちゃんがのたもうた。

そりゃね。私と魔王さまは、特別の関係だもんね。


続いて、モモコ大王さまからの親書を読む。


『 前略        


アリシア・ミラーニア・ゲネンドル伯爵


今日、ゾオルで行われた西ディアローム帝国政府との領土問題会議に関する会議で、おまえは鬼人族国の権益を強く主張し、ドヴェルグ国、ボードニアン王国ならびにミタン王国の権益をも考慮した提案を西ディアローム帝国政府側西ディアローム帝国の奴らに飲ませたと聞いた。

私はそれを聞いてうれしかったぞ。おまえが成人式を私の宮殿でした時は、どこのネコの骨が...と思ったものだが、あの時の恩を忘れずにこういった形で返すとは、イヌ並みの報恩精神の持ち主と見える。

近いうちにまた地獄温泉であの美味しい「すいーつ」でも食いながら話しをしよう。


テルース歴5065年3月21日   魔モモコ・ベンケー・シュテン7世大王(印章)


追記 今回の功績によって、おまえに鬼人族国の伯爵号を授与することとなった。心しておけ。』



えっ、鬼人族国でも伯爵になるの?

これで伯爵の爵位をもらうのは三つの国になるんだけど?


次いで、 ドヴェルグ王国のドンゴ・ロス王からの親書を読んだ。


『 アリシア・ミラーニア・ゲネンドル伯爵殿        


 本日、貴公が魔王国全権公使として参加して開催された、西ディアローム帝国政府との領土問題会議に関する会議で、貴公はドヴェルグ王国が東ディアローム帝国の北部一帯の領土の所有権があると主張し、西ディアローム帝国政府側に承認されたと聞き及んでおる。

 我が輩は、予想もしなかった早さで割譲問題が解決したことに大いに驚くと同時に、まだ若い貴公の交渉能力の高さに甚だ驚いておる。

 さすが、ルーク魔王陛下が信頼し、全権公使に任命しただけある。今回の貴公のドヴェルグ王国に対する功績は甚大なものであると認め、その功績に対し、わがドヴェルグ王国はドヴェルグ王国伯爵の称号を贈り、感謝の意を示したいと考えておる。

 貴公はまだ独身と聞いておるので、独身の美男ドワーフ貴族をそろえておくので、遊びがてらにドヴェルグ国に来るといい。気に入った男がいたら、婿にしてもよいぞ。

ドヴェルグ国訪問の折は、当然国賓並みに盛大にもてなすつもりじゃ。


  テルース歴5065年3月21日   ドワラン・ドンゴ・ロス28世王(印章) 』



 そして― 

ボードニアン王国のオルガス・ラウドン・ボードニア王からの親書。


『 アリシア・ミラーニア・ゲネンドル伯爵殿


 ゲネンドル伯爵殿が、貴公が魔王国全権公使として参加して開催された、3月21日の西ディアローム帝国政府との領土問題会議に関する会議で、ゲネンドル伯爵殿は、わがボードニアン王国が長年にわたって西ディアローム帝国の同盟国として軍事面において多大な支援をして来たことを理由として、東ディアローム帝国が占領された暁には東ディアローム帝国東部の領土をわが国に割譲すべきと主張し、西ディアローム帝国政府側に承認されたことを知りました。

 ボードニアン王国は、予想もしなかった新たな領土の獲得に沸き立っており、昨日その情報が広まってから王都シリトヴェルはお祭り騒ぎとなりました。

 私はボードニアン王国の王として、近年これほど喜ばしい知らせを聞いたことがありません。

ボードニアン王国は、この度のアリシア・ミラーニア・ゲネンドル伯爵殿のわが国に対する大きな功績に対し、ボードニアン王国の伯爵の称号を贈り、感謝の意を示したいと考えています。

西ディアローム帝国政府との交渉が一段落ついたころにでもわが国を訪問していただければ、シリトヴェル城にて盛大に叙爵式を行いたいと考えております。


 テルース歴5065年3月21日   オルガス・ラウドン・ボードニア王(印章) 』



 最後にミタン王国のアドリアン・ドゥ・バーボン王からの親書。


『 敬愛するアリシア・ミラーニア・ゲネンドル卿


 貴卿が魔王国の全権公使として、西ディアローム帝国政府と占領後の東ディアローム帝国の領土問題について交渉し、わがミタン王国が長年盟主国である西ディアローム帝国を軍事面、経済面等あらゆる面において支援してきたことを主張し、それに報いるために占領後の東ディアローム帝国の東部の領土をミタン王国に割譲するように申し入れ、西ディアローム帝国側はそれを承認したとの報告を受けた。

 ミタン王国にとっては想像もしなかった朗報であり、貴卿には感謝のしようもない。

ついては、わがミタン王国からの深い感謝の印として、ミタン王国伯爵の爵位を陞爵(しょうしゃく)致したく思う。是非、我が国を訪れ、爵位を受けて頂きたい。

叙爵式については、後日連絡をさせてもらう。


 テルース歴5065年3月21日   アドリアン・ドゥ・バーボン3世王(印章) 』



 おいおい、鬼人族国、ドヴェルグ王国、ボードニアン王国、それにミタン王国から、それぞれ伯爵号を叙爵するって、どういうことよ?

 さては、四国秘密協定を結んで、同じ伯爵号を叙爵することを企んだな?(汗)

魔王国では伯爵として年棒金貨800枚プラス年末手当金貨150枚もらっているし、西ディアローム帝国では1万平方キロメートルもある広大な領地(まだ全然儲かってないけど)をもらったんだけど、鬼人族国、ドヴェルグ王国、ボードニアン王国、それにミタン王国の四ヵ国から伯爵の爵位をもらってどんだけ得するってのよ?


爵位だけではお腹ふくらまないものね。

やはり称号なんかよりお金が欲しいわ。

まあ、とにかく、せっかく四国の王さまたちが共謀して伯爵の爵位をくれると言っているんだし、断るというのも今後のことを考えると得策でもなさそうだから、フローリナちゃんに言ってお礼の文書を送るようにたのんだ。


「ただし、ドヴェルグ国のドンゴ・ロス王さまには、エール樽みたいな横に大きい美男ドワーフ男は要りませんって断っておいて!」とだけしっかりと付け加えた。



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