1.序章
思いついたまま書いてるので、キャラがぶれてるかもしれませんが、よろしくお願いします。
タイトル変えるかもしれません。
昔から変なものが見えた。
足がない人、頭がない人、猫のような犬のようなよく分からない生き物。
それらを父に教えてあげると怪訝な顔をされた。
母はいない。幼い頃に亡くなってしまったから。
男手ひとつで育てた子どもが変なことを言い出したものだから、父はさぞ困ったことだろう。
父にはそれらが見えないと言われた。
他の人にもそれが見えないと言われた。
小学生くらいになってから、それらは幽霊や妖怪というものだと知った。
そして、そういったものが見える者はイジメられるということも知った。
人間からも人間ではないものからも。
人間からは嘘吐き呼ばわりされ、幽霊や妖怪からは面白がって自分を脅かしてきた。
どうして自分がこんな目に遭わねばならないのだろうか。
悲しみが頂点に達したとき、それは怒りへと変わった。
何故、見えるものを見えると言って嘘つきと言われなければならないのか。
何故、脅かしてくるやつらの玩具にされなければならないのか。
ある日、いつものように幽霊にイジメられていたとき一人の女性が通りかかった。
「ここは貴方の居ていい場所じゃないわ」
そういって女性は幽霊に触れた。
すると幽霊はシュワシュワとサイダーが弾けるように光の泡になって天に消えていった。
女性はクルリと振り返り、膝を折って自分と目を合わせる。
「もう、大丈夫よ」
優しく微笑む彼女は20代くらいに見える。
だが、今はそんなことどうでもいい。
「どうやっておいはらったの?」
あれらを消すことができるなんて驚きだった。
自分にもできれば少しは平穏に暮らせるのではないかと思った。
その問いに女性はう~んと考え込む。
「まぁ、見えちゃってるしいいか」
何かを結論付けた女性はキョロキョロと周りを見回す。
そして誰もいないことを確認してから、あのねと口を開いた。
「私は悪い幽霊とか妖怪を退治するお仕事してるの」
雷に撃たれたような衝撃が脳天を貫いた。
あれらを退治する。そんなことができる人がいることに。それを仕事にしていることに。
「たいへん?」
「大変だけど、お金がいっぱいもらえるのよ」
「いっぱい?」
「えぇ」
このくらいと具体的な金額を提示されて、驚いたことを今でも覚えている。
危険な仕事だからこれくらい貰わないと割に合わないと女性は言っていた。
アイツらを退治して、その上お金もたくさん貰える。
父には色々とお金で迷惑をかけた。
人間からも幽霊からもイジメられ、何度も服や教材をダメにした。その度に新しいものを買ってもらっていた。
気にするなと言った父が、夜な夜な酒を飲みながらため息を吐いていたのを自分は知っている。
そんな父を楽にしてあげたい。
それでもって今まで自分をイジメてきた幽霊たちに仕返しがしたい。
「おれも、ゆうれいたいじでかねもうけする!!でしにして!」
勢いで握った女性の腕は細く、折れてしまうのではないかと思うほどだった。
こんな腕でもできるのだから自分にもできるはずだ。
「楽しいものじゃないよ?」
「わかってる!」
女性は少し考え込む。
「私、お仕事であちこち行くから教える時間が取れないの」
「え…」
自分はあからさまに肩を落とした。
「だから、私の次にすごい人にお願いするのでも良いかしら?」
新たな提案をしてきた女性に自分はすぐ飛びついた。
「いい!それでもいい!」
「フフッ。じゃあお願いしておくから、名前と連絡先を教えてくれるかしら?」
手帳を鞄から取り出して女性はメモを取る体勢になる。
自分はなぜかそのとき得意げに仁王立ちをしていた。
「たいよう!みしま たいよう!」
女性は少し驚いてた表情をしてから、いい名前ねと言った。