6.目覚めておじさん!
“……みっこ…………みっこおじさん……おきて!…………私とおしゃべりして!……”
全然起きないおっちゃんに私は無理やり起こすことにした。私待てない子だから。
せっかくパスをつないだんだし頭の中を勝手に探らせてもらった。どうやら名前は鈴木光彦さんと言うらしい。
うん。見た目通りの普通の名前。さすがだよおっちゃん。可愛さが足りない! ぜんっぜん足りない!
で、私は愛称を考えることにした。これから長い時間一緒に過ごすわけだし? 起きる気配なくて暇だし。楽しい時間つぶしのネタが欲しかったし。
適度に親しさを演出しつつでも一線を越えない丁度いいあだ名にしたい。だって私アイドルだし夢中になられすぎても困る。特定の恋人はアイドルには御法度でしょ?
光彦だからみっちゃん。んーおじさん要素も入れたいからみっちゃんおっちゃん。……ダメだわこれゴロが悪いし。
あっ! みっことか可愛いかも! 私そもそもおっちゃんじゃなくて可愛い女の子の方が良かったし。みっこおっちゃん。
うーんダメ。いまいち。
……おっちゃんって響きが私好みなんだけどそう言えば私にはもう養殖業者のおっちゃん居たし、おじさんのほうがゴロが良いからみっこおじさんにしよう!
思いのほか可愛い名前を決められて大満足の私は、早く呼んでみたくなった。そしてさっき本人の承諾なしに無理やりつなげたパスを使ってテレパシーを試みる。
“……みっこおじさん!……起きて!……私の下僕…じゃない! お友達になって、アオノリの普及一緒にしよう!”
私が優しくしつこく根気強く呼びかけているとみっこおじさんのまぶたがぴくぴく動き出した。
でもみっこおじさんは
「あと5分……」
って言ってまた動かなくなった。
……こいつまだ寝ぼけてやがる! いらっとした私は最大音量で叫ぶことにした。アイドルだって常に慈愛に満ち溢れているわけじゃないの。アオノリだもの。
すぅっと息を吸って
“きゃー!!! この人痴漢です!!! おまわりさん捕まえてください!!!”
って叫んだ。もちろんこれにはわけがある。
「ふぁっ?!」
みっこおじさん、笑っちゃうくらい効果は抜群だった。びっくりするような勢いで飛び起きてきょろきょろしてる。とっさに両手を万歳して俺じゃないアピール。でもだんだん目が覚めてきたのかそろそろと手を下す。あ、ここどこ?って顔してる。
“そうそう。ここ、満員電車じゃないよ。記憶を探らせてもらったけど通勤中、痴漢に間違えられてえらい目にあってたもんね。ごめんねトラウマ刺激しちゃって”
私は軽く謝る。あれ? みっこおじさん、脳に直接響く声にびびってる。脳内でインプラントとか疑っているのがテレパシーと脳内ハッキングしている私にも伝わってくる。
……いや宇宙人違うし。転生した天才美少女アオノリだし。
私はみっこおじさんが、ちっこいチワワみたいにプルプル震えながらびびりまくっているのを見て逆に冷静になれた。
私は数日とはいえ、異世界転生した先輩だし。みっこおじさんはどうやら転移っぽいし。私はみっこおじさんにいろいろこの地へたどり着いた先輩としてゆっくり説明してあげることにした。内心飛び上がりたいくらい嬉しいけど。
きゃっほう! 話し相手とお世話係、アオノリ普及係ゲットしちゃった!
絶対逃がさないぞ☆ えへ(笑)
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