表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/16

11.男装の麗人は薔薇のかほり


 いのち短し恋せよ乙女。


 乙女でもない枯れた中年で宇宙船に夢中なみっこおじさんがいまさら恋に落ちるなんて私は全然想像していなかった。


 しかも相手は男装の麗人で大貴族で軍人で美人で立派な王子様な婚約者までいる。


 どう考えても高嶺の花。みっこおじさんの身の程知らず。ただの無理ゲー。


 諦めろって言いたいけど恋は盲目。みっこおじさんは恋の暴走特急になった。


 そもそもの一目ぼれのきっかけは国からの接収(せっしゅう)命令だった。


 みっこおじさんは今や新興宗教のカリスマ創始者で影響力拡大を危険視されていたからいつかは何かしら国から干渉を受けるって私は思ってたけど実際下されたのはいかにも中世的で傲岸不遜(ごうがんふそん)で理不尽極まりない命令。


 頭にき過ぎてちょっと難しいことを言っちゃったけど、とどのつまり国に全部寄こせってこと。


 国から私とみっこおじさんと愉快な宇宙船信者達が一から積み上げてきたものを奪われてしまう。


 当然納得できるものではなかったからみっこおじさんは無謀(むぼう)にも抗議に行った。今思えばさくっと殺されてもおかしくない蛮行(ばんこう)だけど変なところで図太いみっこおじさんだから出来たこと。


 そして恋に落ちてきた。


 うん。意味が分からないよ。

 

「もうさ! それはそれは美しい咲き始めのピンクのバラだよ! 清楚で可憐でさ! 一見するとちょっときつそうかなって? 思ったんだけど少し笑うともう可愛くってさあ!! 軍服の男装がまたセクシーで!! あー! 見えない部分を想像させちゃう匂いたつような色香がさ!」

“へーよかったねー(棒読み)”


 みっこおじさんは興奮してしゃべりまくる。清楚で可憐なのにセクシーで色香があるって正反対じゃない? つっこみたいけどつっこめば絶対長くなるから言わない。


 どうやらたまたまこの接収命令の責任者が居て、それが男装の麗人的な軍人さんだったらしい。あまりの美しさに一目ぼれしてぽおっとなって舞い上がって本人曰く意気投合して楽しくおしゃべりして来たらしい。


 つまりそれって根掘り葉掘り聞かれて全部ペラペラしゃべってきました! ってことだよね?


「俺は、年甲斐もなくはしゃいだ気持ちでさ。今も天にものぼりそうでまだドキドキしてる」

“へーよかったねー(二回目)”


 私さっきから同じことしか言ってないけどみっこおじさんは構わず宇宙船について語っているときみたいなあっつくて夢見心地っていうテンションでとうとうと(まく)し立てる。


“で、どこに行くの?”


 みっこおじさんはお城から真っすぐ宿の部屋へ戻ってくると私の水瓶を抱えて歩き出した。私今はみっこおじさんに運ばれながら、ちょっと引いちゃうくらい熱い片思いの話を聞いてる。


「お城。俺、ヨル将軍と一緒に住んで一緒に宇宙船を作るんだ」

‟へーよかったねー(三回目)”


 色仕掛けに引っかかったっていうか、一目ぼれして率先して協力する気になっちゃったんだ。あー…もてない男ってちょっと優しくされると弱いのよねぇ。うきうきわくわくしてるみっこおじさんには悪いけど、どう考えても向こうはその気はないと思う。


 けど。

 

 ……ヨル将軍って言うのかその女の人。やり手だな。私は警戒を強めた。みっこおじさんが浮かれポンチで全く役に立たなくなっちゃった以上、私が頑張るしかない。


 夢かわファンシー小エビ達の時とはまた違う新たなピンチの到来に私はたまにはシリアス路線があっててもかっこかわいいパンクロック系アイドルって感じでいいよね☆って考えてた。 


 

 


 



お待たせしました。三人目の主要登場人物。この連載のタイトル命名者 コノハナ ヨルさんです。

小説はこちらです↓↓

https://mypage.syosetu.com/1851866/

https://kakuyomu.jp/users/KONOHANA_YORU

https://novelup.plus/user/152106505/profile


ご出演ありがとうございます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ