78.ミラグロスの告白
地下には足枷や腕枷が壁についた部屋。
石畳になっており、寝るのもつらそう。
柵があるところを見ると、拷問したり罪人を入れたりする牢屋なんだろうな。
ミラグロスがススとその牢屋に入り、剣を外した。
そのまま身にまとうものを外し、手枷足枷をつける。
えっ?
何やってる?
ミラグロスのすべてが見える。
ただ、ミラグロスがなぜそんな行動に出たのかは理解できなかった。
「一度つけると、この枷は私には外せない」
ミラグロスが言う。
「何でこんなことを?」
俺が聞くと、
「私は小さなころから強かった。
同年代では敵がおらず『女鬼神』とか『鬼神を継ぐ者』なんて言われるような。
父上、兄上さえもが私に勝てなかった」
「俺に負けたのが初めてって言ってたよな……」
「そう、ここ最近で負けたのはケイン殿が初めて、勝てないと思ったのも初めて。
好きになったのも初めて」
「で、何で、手枷足枷?」
「私は捕虜になって、敵兵に囲まれ辱められて犯される。
そんなことを夢見ていた。
それをケインにして欲しい」
おっとぉ……。
「んー、でもそれって、嫌悪する者にやられるから感じるんじゃないの?」
これでいいのかね?
「そっそれは……。
ケイン殿は優しいから、いつもとの違いというか、そういうのも……いいと思う。
「この話って、他のみんな知ってるの?」
「砦の視察で何かするという事は、カミラ様にリズとライン、レオナは知っている。
砦の話を聞いたカミラ様が『たまには二人でデートしてきたら?』と言ってくれたのだ」
だから、リズもラインもレオナも推しが強かったのか。
しかし、知りたいのはそれじゃない。
「いや、この性癖?」
「それは誰も知らない」
との事。
まあ、言えないだろうなぁ……。
「館に居れば、誰かの目につく。
この時しかないと思った。。
父上にも兄上にも言えなかったことだ。
ケイン殿にだから言った。
嫌われたくはないが、これが本当の私。
嫌いになったか?」
大きな体のミラグロスが震えている。
そうか……、それだけ不安だから……。
そうだよなぁ……。
俺も否定されて、今が無くなるのが怖い。
「嫌いになる訳無いだろう?
手枷、足枷は必要なかったような……。
なくても、拘束はできるからね。
でも、せっかくだから、ミラグロスの体を堪能させてもらおうか」
牢屋の中にあった椅子に俺は座る。
じっとミラグロスを見ていると、身をよじり体を隠そうとした。
「なっ何もしないのか?」
「ん? 恥ずかしい状態で放っておくのを、放置プレイという。
これはこれで、人によっては感じるらしいぞ?
ミラグロス、わかるだろ?」
「そうなのだが……、でも、な」
「まあ、ミラグロスが自分から言ったんだ。
暫くは……な」
俺は悪い顔で笑うのだった。
石畳の上って、結構痛いんじゃないだろうか。
いたるところに擦り傷がついたミラグロス。
これで良かったのかね?
治療魔法で傷を治し、起きるまでミラグロスを見ていた。
「あっ……」
ミラグロスが目を覚まし俺を見る。
恥ずかしいのか、顔が赤い。
「嫌いになったか?」
そう聞くミラグロスに、
「ん? 別に。可愛かったかな?
知っているだろう? 俺は見た目はこれだが、向こうの世界じゃいい歳。
一応、ミラグロスみたいな性癖を持っている人が居るのは知っている。
俺的には、今みたいなのでミラグロスを満足させられたか心配ってところ?」
「大丈夫。私が思っていた以上の事をされて、満足だ。
しかしあんなところまでをも責められるとは……」
顔が赤いまま、呟くミラグロス。
これで満足なら、問題はない。
でもこれ以上は、俺には無理です。
「ご主人様と呼んでいいかな?」
「それって、主従だろ?
そんなつもりはないんだけど」
「私は初めて完全に征服されてしまった。
身も心も全て……。
私は満足」
思い出すように天井を見るミラグロスに、
「まあ、ミラグロスがご主人様か……。
ギャップがあっていいかもな」
と俺は言った。
「ギャップ?」
「ミラグロスってご主人様って言わなそうだろ?
ちょっとツンとしてて、甘えたりしなさそうに見える。
今までみたいに『殿』とか呼び捨てとか……。
だから、いい感じ。俺はいいと思う。」
「うん、だったら、ご主人様だ。
カミラ殿は旦那様だが私はご主人様呼ぶ。
私はご主人様に服従する。
だから、どんな場所でも、いつでも抱いてくれ」
ミラグロスは恥ずかしがらずに俺を見て言った。
「んー、いつでもどこでもって訳にはなぁ……。
ミラグロスの意に添えるような場所を考えるよ。
まあ、気が乗れば……手足縛るぐらいは」
俺に亀甲縛りを求められても困る。
しかし、ミラグロスはブルルと震えると、
「それでいいから、よろしく頼むぞ、ご主人様」
裸のミラグロスが俺の上に乗り、胸を押し付けてくる。
それってちょっと違わない?
ミラグロスが服を着て元の姿に戻ると、俺は砦を収納魔法で仕舞う。
そこに残るのは、壁と建物の跡だけ。
「凄いな。
私のご主人様は」
しみじみとミラグロスが呟いた。
「あとは、中の掃除と寝具なんかの追加かなぁ……。
調理人、武具と兵糧を手配してしまえば……。
砦の隊長は……、ミラグロスがする?」
俺が聞くと、腕を組んで考える。
「私はご主人様の傍がいい。
そうすれば、いろいろと弄ってもらえるから」
そう言って胸を俺の背に当て、俺に抱き付くのだった。
丸くなった? エロくなった?
まいっか……。