表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/130

72.我が家

 夕方ごろ、バレンシア王国の王城にたどり着くと、とりあえず解散になった。

 次の日には王への報告がある。


 あー、やっと帰ってきた。

 我が家のもんである。

 気兼ねなく、ゴロゴロできる。

 ソファーに座ったカミラがポンポンと太ももを叩いた。

「私の太ももを枕になさいませ」

 その言葉に従い、俺はソファーに横になると、のまま眠りに誘われてしまう。


 どのくらい寝ていたのだろう。


 安心しきって何も考えずに寝ていた。

 目を覚ましたが目を開けずにカミラの胸をまさぐる。

「あん!」


 あれ?

 カミラのじゃない……。

 誰だ?


「そんなに急にされたら、心の準備もできていないし、人目のあるこんな場所で最初なんて……」

 聞いたことのある声……当然カミラではない。

 目を開けると、レオナの顔。

 顏は赤く、目は潤んでいた。

 苦笑いをしているカミラの顔もある。

 ミラグロスも俺を見て涙目になっていた。

「私だって近くに居るのに。

 揉みたいのなら差し出すのに……」

 とのこと……。

 

 いや、事故だから……。


「カミラさんとこんな事をしているのですね」

 ちょっと、怒った顔のレオナ。

「そりゃ、男と女が一緒に住んでいればな。

 嫌だったか?

 申し訳ない」

 俺が謝ると、

「いや、私だって別にいいんです。

 そりゃ、男と同衾したなんて話、最近では周りでよく聞く話だし。

 私だって、いきなりじゃなきゃ……」

 何を張り合おうのか、レオナが服を脱ぎ始めた。

「いやいや、何やってる?」

 訳が分からない。

「だから、抱きやすいように……」

「今?」

「今でしょ?」

「俺、疲れてるんだけど?」

「そこは疲れていないじゃない!」

 レオナは俺の股間を指差した。


 確かに、胸をまさぐった件も有るが……。

「そりゃ生理現象だ。

 寝て起きた時には『朝立ち』と言って男は元気になるものなの。

 あと、疲れている時は『疲れマラ』と言ってこういう状況になる」

「ふーん。

 昔お風呂で見たことがあるお父様のモノに比べて、格段に大きいから、ちょっとびっくり」


 多分それは起っていないからだよ、レオナ。

 海綿体に血流が……おっと、今、その説明は要らない。


「勢いは有るが、雰囲気も何も無いのに手を出したりしません。

 カミラの乳をちょっと堪能したかっただけ」

「それがダメなんじゃない!」

 とレオナに怒られた。


 俺はソファーに座りなおすと、レオナをじっと見て、

「ただいま帰りました」

 と頭を下げた、股間から話を逸らす目的もある。

「お帰りなさい。

 寂しかったよぉ。

 学校行っても一人だし。

 変な男たちに声かけられるし。

 婚約してくれとか面倒だったし。

 やっぱりケインが居ないとダメなの」

 興奮しているのか涙目

「まあ、しばらくは国の外に出ることも無いだろうし……」

 俺が言うと、

「旦那様。

 レオナ様を今夜屋敷に泊ってもらっては?

 渡す物も有るでしょう?」

 カミラが勧める。


 おっ、そう言えば、指輪を買っていたな。


「そうだな。

 レオナ、泊まるか?」

「えっ……。

 いいの?」

「はい、今日は旦那様と一緒に寝てください」

 カミラが言った。

「えっ?」

 真っ赤になるレオナ。

 俺は、

「ヴォルフ、悪いんだが街の散歩ついでに、ルンデル商会に繋ぎを頼む。

 その後は、明日まで帰ってこなくていい。

 ライラさんと、いろいろ積もる話はあるだろうから、これで宿でも取って話をすればいいよ」

 そう言って、手紙と心づけを渡した。

 まあまあの宿で一泊して朝食を食べて帰っても、十分な金額である。


 ヴォルフはライラさんを連れて帰ってきた。

 ラムル村で宿屋兼食堂を始める予定。

 ルンデルさんに探してもらって、建物は俺が移設しないとな。

 帰りでは二人の部屋を一緒にしたが、俺らの手前、結構我慢をしていたようだ。

 ということで、発散してきてもらえるとありがたい。


「畏まった」

 少し赤いヴォルフと、赤いライラさんはそのまま外に出て行く。

「俺も準備しないとなぁ。

 ちょっと、工房に行ってくる。

 レオナ、カミラとでも話をしていてくれ」

「うんわかった」

 訳も分からず頷くレオナと、

「旦那様、畏まりました」

 意味深な笑いをするカミラ。


 魔道具を作るための部屋を俺は作っていた。

 リューターのような削るものや、ドリルのような物も作っていた。

 その場所に行くと魔石を出す。

 ダンジョンで手に入れた魔石はオークキング並みのものがゴロゴロしている。

 その中の一つを取り出し、固定すると圧縮し、宝石大まで圧縮すると、膨大な魔力でシールドの魔法を付与した。

 光の魔法であるシールド、一気に魔石が透明になる。

 指輪をリューターで彫り穴を作ると、そこに魔石を埋め込んだ。


 んー、カットとかできたらいいんだが、その辺は今後の課題かな?

 綺麗だからいいけど……。

 出来上がった指輪を手にして、リビングに戻るとカミラしかいなかった。

「できあがったのですね。

 レオナは既に風呂に入って旦那様の部屋におります。

 あと、ミラグロスもお忘れなく」

 頭を下げるカミラ。

「いいのか?」

「レオナは私の妹のようなもの。

 それも同じ男を好いている。

 姉は妹のために手を尽くすものです。

 それにレオナが来たとしても、最後には私があの場所に居ます。

 後でミラグロスに一時的に譲るとしてもあの場所は私の場所です」

 そいうとカミラは笑った。

 確かに、この家ではカミラが一番だ

 一番の余裕なのかもしれない。


「それならいいんだが……。

 それじゃ、風呂に入って部屋に行くよ」

 俺がそう言うと、カミラがすっと下がった。



 風呂に入って部屋に戻ると、俺のベッドの上には既に人型の山。

「ちょっと遅くなったな」

 と言って近づくと、毛布を被ったレオナが俺の方を向く。

「ほれ、土産。

 向こうで狩った指輪に、シールドが発動する魔石を入れた。

 いざという時に使ってくれ。

 一時間ぐらいは持つと思う」

 ポカンとするレオナ。


 なんか違うな……。


「あー!!

 こんなのを言いたいわけじゃないんだ」

 頭をワシワシと掻くと、

「お待たせ、これレオナの婚約指輪」

 ちょっと強引に毛布の中をまさぐり、左手を出すと薬指に入れた。

 左手を上げ指輪を見るレオナ。

 それと共に羽織っていた毛布がスルスルと落ちる。

 学校祭の打ち上げで裸を見せられて以来、更に育ったレオナの一糸まとわぬ姿。

 見とれてしまっている俺をレオナが見据えると、抱き付くのだった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ