65.マクダル王国へ2
数回の宿泊を経ると、マクダル王国に入った。
平地から、山岳地帯へとはいる。
馬も人も疲れてきたようだ。
リズは毒見をしたものを食べている。
それだけ警戒されているのだろう。
出来たてであるはずもなく冷え切ったもの。
まあ、人が手を付けた飯が美味いとも思えない。
味気ないのだろうな。
「味はいいのですが、冷えた物を食べるというのは……」
俺の部屋に来て愚痴を言うリズが居た。
「毒見が口をつけて確認してるんだから仕方ないだろうな。
キュアポイズンが使える魔法使いが横に付いているとはいえ、死と隣り合わせだからなあ……」
俺は呟く。
「でも、たまには温かいものが食べたいでしょ?」
ラインも機嫌が悪い。
「そうは言うが、それだけ警戒しているということだ」
ミラグロスが注意する。
「要は美味い物を食べたい訳だな?」
俺が聞くと、
「わかってるぅ」
ラインが甘えてくる。
苦笑いのカミラ。
「正直私もちょっと期待しているのです」
はにかむリズが居た。
学校祭の時に使ったホットプレートを収納魔法から出す。
ホットケーキの液を出し、焼き上げる。
乳も準備しておいたので、出しておく。
アーネとミンクで紅茶を淹れ始めた。
紅茶の匂いが漂い始める。
そして、ホットケーキの甘い匂いが漂う。
ホイップクリームを特盛り、その上にマリソルというミカンのような果物を乗せる。
それを三段ほど重ねて切り分けた。
「ご主人様、美味しそう」
ジュルリと涎を拭うミンク。
待ての状態の犬のようだ。
「懐かしいですね。
ホットケーキを食べて、リズやライン、レオナと仲良くなりました」
カミラが嬉しそうだ。
「ああ……ケインのお菓子……。
久しぶり」
ラインは味わいながら目を瞑る。
「ケインさんのお菓子は美味しいです」
ニコニコしながらリズはホットケーキを食べていた。
リズもラインもストレスを感じているのだろう。
一緒じゃないしな。
ストレス解消に食べるってのもあるよね。
少々でも解消できているなら良しでしょう。
結局、宿屋に泊まる際にはリズもラインも俺の部屋まで来てデザートを食べていくようになる。
寛いでいるようなので良しかな……。
まあ、プリンなんかも十分持ってきているので問題はないのだが、護衛の女性陣も二人の話を聞きつけて、リズとラインに付いてくるようになるはなぜ?
俺の部屋で女子会が始まるようになる。
まあ、皆が疲れているのだろうな。
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