39.三年になりました。
三年生になる。
俺も十四。
成人したという事でカミラに手を出した。
待たせるのが悪いと思ったのだ。
神祖だからといって、別段変わることも無く。
触れば反応もするし、果てる時は果てた。
可愛かった……。
ただ一言である。
父さんと母さんががラムル村に駐在し、俺は王都に居る。
俺に妹が出来た。
ディアナと名付けられた。
母さんが母乳を与え、すくすくと育っている。
カミラが嬉しそうにディアナを抱き上げていた。
「私も欲しいです」
と言っていたが、実際にはなかなか難しいらしい。
「長寿である神祖に子供ができることは少ない」
とのこと。
まあ、先は長い。
可能性が無いわけではない。
三年生で専門を選択するのだが、俺は文官系、剣術系、魔法系全てを選択した。
ちゃんとそういうことも考えられているようで、授業の編成がされていた。
同じく全てを選択するリズ。
「王女だから全てにおいて」と言うことらしい。
まあ、授業全てが一緒だと喜んでいた。
ついでに剣術の授業での相手は俺がする。
魔術系を選択したライン。
「いいわよねぇ。
エリザベス様はいつもケインと一緒。
魔術の授業だけしか会えない」
文官系一択のレオナ。
「私なんて教室からして違うし、剣術も魔術もとっていませんから接点がありません」
と愚痴る。
「でも、レオナは親公認でしょ?」
ラインが言う。
「そうそう、それだけでも私たちより一歩先よね」
リズが羨ましそうに言っていた。
女性は三人寄れば姦しいというが……確かにな……。
あっカミラも居るから四人か……。
四人居れば何かが起こるかな?
三年生の学校祭で剣術、魔術、複合共に再び優勝した。
今回の複合でのパートナーはリズ。
リズは俺とパートナーになる事を喜んでいたが、『リズと勝っておけば、後々いいかなあ』と言うちょっとした考えからだ。
あざといとは思うかもしれないが、学生時代パートナーを組むほどの仲だったというのも重要だとも思った。
結局のところ、二年生は当然だが、同学年、四年生においても相手はおらず優勝が出来た。
ラインは、再びの魔術戦トーナメント二位。
それでも、いろいろ考えてきていた。
シールドの裏から曲線に飛ぶ攻撃などもあったので、少し驚いたりもした。
「今度は当てる」
と意気込んでいる。
レオナは虎視眈々とルンデルさんの後釜を狙っているそうな。
学校祭が終わったあと、再びファルケ王国からの侵攻があった。
招集がかかる。
リズやライン、レオナには何も言う間もなく戦場に向かう。
その辺は、リズやラインは親から、レオナは二人から伝わるだろう。
向かうのは俺、父さん、カミラ、そして、フィリベルト。
フィリベルトは父さんの従者。
「私を兵士に!」
と言ったあと、腹を空かせて倒れてしまったのを父さんが拾った。
人ではなく、獣人。
父さんがその体をまさぐり体を確認すると、
「お前、俺の従者になれ」
そのまま、屋敷に住むことになった。
父さんは素質に気付いたようで、毎日父さんの下で鍛えられている。
「ケインは無理としても、俺は越えそうだ」
と嬉しそうに言っていた。
装備には金をかける。
ミスリルと言われる軽銀を使う。
何となく段ボールの鎧を着ている感じ。
俺がミスリルのフルプレートにミスリルの盾にミスリルのロングソード。
武器は父さんがミスリルのフルプレートにオリハルコンのバスタードソード。
カミラはドラゴンの素材を使った皮鎧。
そしてフィリベルトはワイバーンの皮鎧に鋼鉄のハルバードだった。
多数の騎士が並ぶ中、たった四人の軍隊が王城に並んだ。
男爵が連れてくる軍隊は約二十人ほど。
俺はまだ揃っていないということで許されている。
まあ、鬼神が居るだけでも全然違うだろう。
食料はできるだけ手に入れ、一万人程度が一カ月動ける量をルンデル商会に依頼して確保してある。
まあ、収納魔法に入った物は時間が止まる。
腐ることはないだろう。
そして、俺は戦場に行く。