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38.ラムル村の屋敷

「ケイン様、屋敷の候補を見つけました!

 内部の家具、食器など全て付いています。

 そして馬車付きです」

 馬車で俺の屋敷に来たルンデルさん。

「そうなんですか?」

「ええ、取り壊し前の物件でして……。

 ケイン様もご存じなリンメル公爵邸です。

 その、別邸なのですが、贅を尽くされた内容になっています。

 馬車も使われておりませんので、一緒に購入しておきました」


 ここでもリンメル公爵か……。


「助かります。

 それで、お金のほうは……」

「それは問題ありません。

 別邸は当代が作り、験が悪いと取り壊し予定でしたから格安です。

 馬車はまあ結構しましたが、ケイン様の取り分で十分賄えました。

 知らないでしょうが、あなたが溜めている金額は相当な物ですよ?

 ほとんど使っていないですから」


 知らない間に大金持ちらしい。


 ルンデルさんの馬車でリンメル公爵の屋敷に向かう。


 んー、デカいね。

 壁が見え始めてから入り口の門までが五分。

 その後、中に入って別邸までが三分、

 どんだけ広いんだ!


 そこにあるのは、王国から貰った邸宅よりもデカい別邸。


 何に使うんだ?

 見栄?


「それで、この別邸をどうなさるのですか?」

 ルンデルさんが俺に聞いてきた。

「ああ、こうしようかと……」

 収納魔法を使い別邸を包むと、その場にあったはずの別邸が消えた。

「えっ?」

「これをラムル村に移します」

「あの、別邸は?」

「収納魔法で、別空間ですが……」

 俺が言うとルンデルさんは

「マジ?」

 と唖然としていた。


 まあ「マジ」と言うしかないんだけど……。


「ちなみに敷石や東屋とかは?」

「回収しても構わなかったはずです」

「じゃあ、貰っちゃおうか」

 ついでに回収した。


 そのままルンデルさんの馬車でラムル村に向かう。

 二時間ほど後、様々な魔物が闊歩するラムル村に到着した。

 周りに森が広がる。


「えーっと、カルオミガの巣があるのがあの辺だから、こっちに屋敷を置きますか」

 そんなふうに独り言を言いながら、地の魔法で木を抜き、念動力でその木を運んだ、

 そのあと土地をならし屋敷用の土地を作る。

 そしてその上に別次元からリンメル公爵の別邸を置いた。

 玄関の階段が丁度いい所まで別邸を地面に埋めて水平を取って、土を固めた。

 その上に敷石を張り終わりである。

 入り口までの道が出来た。

 東屋は、適当に置いておこう。

 こうして囲う壁はないが、ハイデマン男爵の屋敷ができるのだった。


 何事かと領民が屋敷を囲んでいた。

「ケイン様、凄いですね」

 とルンデルさん、唖然としている。

「ルンデル様、何事ですか?」

 と村長が現れた。

「あっ、ケイン様。

 お陰様でわが村に仕事ができて潤っています。

 余った乳を子供に飲ませても良いと聞いておりますので、ほれ見てください、子供たちの元気なこと」

 子供が走り回っている。

「お陰様で栄養不足などはなくなりました」

「そうですか、それは良かった」

「通知が来ていると思うが、ケイン・ハイデマン男爵がこの地を治めることになった」

 ルンデルさんが俺を紹介した。

「はい、存じております。

 今後ともによろしくお願いします。

 それで、先ほどから起こったことは?」

「ケイン様がここを治めるための屋敷を持ってきたわけだ」

()が領主様は規格外ですな。

 森だらけのこの土地、今後ここを治めるという事は前回のようなことがある訳ですね」

「そうだ、村が潤うようなことを考えるかもしれない」

「それは楽しみにしておきましょう」

 ルンデルさんと村長はニコニコと話をしていた。


「ルンデルさん、あとの体裁はお願いします。

 芝生と壁ぐらいだとは思いますが……」

「職人に指示を出し、早速取り掛かりましょう」

「お願いします。

 後、馬車の移動と馬の手配もよろしくお願いしますね。

「畏まりました。

 早急に行いましょう」

「こちらの屋敷にもメイドと馬丁などの手配が要るのでしょうね」

「はい、その点でもこちらで何とかしておきます。

 ケイン様はこちらで生活を?」

「卒業するまでは無理でしょう。

 ですから、ここには父さんと母さんが住むことになります。

 母さんは妊娠していますから、子育てをするなら騒がしい王都よりもこちらの方がいいかと。

 できれば、育児ができるメイドが居るといいですね」

「はい、手配します。

 レオナにも子供ができることもあるでしょう」


 そりゃ、婚約……その後の結婚を目指してはいるが少し気が早い。

 あっ、でも婚約しても問題ない……。

 まあ、母さんのためになるということで言わないでおこう。


「後、相談なのですが……アベイユの蜜、ホルスの乳やコッコーの卵、今後得られるかもしれないカルオミガの砂糖を集める拠点が必要になります。

 ケイン様が許されるのであれば、ここに支店を作りたいのですが?」

 揉み手でルンデルさんが俺に言った。

「こちらとしては助かりますね。

 小麦など物納された農産物の取り引き、村人からの農産物の買取りの業務、などの委託、雑貨などの販売、やってもらいたいことはたくさんありますから喜んで出店してください。

 よろしくお願いします」

 俺もルンデルさんに頭を下げた。

「それでは、早速……。

 ケイン様、支店のほうを探しておくので、今回のように移設してもらってもよろしいですか?」

「ええ、丁度良い物件があれば教えてください、今回のように移設しましょう」


 こうして、村にルンデル商会の支店兼雑貨屋ができることになった。


 何も無い村に店ができる。

 んー、ある意味発展だね。


読んでいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「知らないでしょうが、あなたが溜めている金額は相当な物ですよ」 お金を預かっているだけで、定期的に貯蓄額など報告しないと言うこと?
[一言] 最後の二話同じ話ですよ
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