34.学校祭再び(トーナメント予選)
一年が終わり、二年の学校祭が近づく。
その頃には俺の身長は百八十を超えた。
父さんには及ばないまでも遺伝子は受け継いでいるようだ。
相変わらずEMSを続けたせいでバキバキである。
体脂肪率は一桁ぐらいじゃないだろうか……。
水に入ったら溺れるかも……。
そんな時期、俺たちはレオナの家に集まっていた。
ルンデルさんには許可を得てある。
まあ、菓子などの収入も増えルンデルさんの店も増えている。
レオナと俺がくっつくことを期待しているルンデルさんは俺がレオナと会うこと嫌がることはなかった。
王家と侯爵家との繋がりもできるから余計だろうな。
「今度の学校祭、さすがに模擬店はしないわよね」
レオナが言う。
「そうですね、私は、剣術魔術混合戦のトーナメントに出たいなと……」
とリズ。
チラチラ俺を見ているのは、パートナーになって欲しいのかね?
でも、お付きを差し置いてそれは無理でしょう……。
「私は魔術戦ね」
とライン。
「俺は全部かなぁ……」
俺が呟くと、
「「「全部!!」」」
と驚いていた。
「悪目立ちするなら、それくらいはしないと」
「混合戦のパートナーは?」
「一人で戦う。
確か一人でも良かったはずだよね」
「それはそうだけど……。
不利でしょ?」
ラインが言う。
「そうです、誰かがフォローしないと……」
リズも便乗した。
「でも目立つなら一人かな?」
「フィリップお兄様でさえ、同学年の魔法使い筆頭を連れます」
「だからいいんじゃないか。
一人で王子と魔法使いを倒す。
注目はされるだろ?」
わざと一人で戦って二人に負けたとあっては、バカにされるだけだろうな。
でもそれをする必要がある。
「それぐらい不利な戦いに勝てないと、二人に近づくことができないってことだ」
「そうですが……やはり不利かと……」
リズが心配していた。
「そう思うなら、リズとラインが混合戦に出ればいい。
強い相手を倒してくれたら俺が楽になるし……。
リズとラインがどのくらい強くなったのかも知りたいしね」
「わかりました。
私はラインと混合戦に出ます。
覚悟しておいてください、私はケインを倒すつもりで行きます」
意志の籠った目でリズは言った。
ラインも頷く。
「ああ、覚悟しておくよ」
「私は何をすればいいのよぉ」
「そうだな、俺の付き人をしてくれるか?
汗を拭いたり、水を出してくれたり、カミラとそういうことをしてくれると助かる」
「えっ、ケインの汗を?」
「ああ、汗ぐらいかくぞ?」
「そっ、それはいいわね」
「「何で?ご褒美じゃない」」
「ん?
ご褒美かどうかは知らないが、リズとラインは選手だろ?
俺の手伝いはできない。
レオナならできる。
それだけの話だ」
リズとラインは仕方ないという顔をした。
「下着を洗ったりとかしても?」
レオナが聞いてくる。
「洗うのはカミラがすると思うけど……。
まあ、洗ってもらってもいいかもな」
「下着の匂いを嗅いでもいい?」
「それはカミラに聞いて。
そう言うのは俺に言うよりカミラに言ったほうが良いと思うぞ」
「カミラさん、いい?」
「一緒に嗅ぎましょう。
そして顔をうずめるのです」
「えっ、いいの?」
コクリと頷くカミラ。
変な絆で繋がる二人が居た。
つか、カミラは俺の下着を嗅いでいたんだな……。
こうして、リズとラインの剣術魔術混合戦参戦、ラインの魔術戦参戦、レオナの手伝いが決まるのだった。
トーナメントの前に剣術、魔術、混合、出場八組が決まる。
まず、この予選で勝ち上がることが優先される。
王家の流れであるフィリップ王子、リズは予選から除外されていた。
まあ、その辺のひいきは仕方ないと思う。
その分あの二人は強いのだ。
剣術のトーナメントでは基本AクラスかBクラスの者たちが来る。
十人程の中から一人選ばれるという予選。
当然、ヘイネルとローグも参加していたが、上級生の剣技に敗退していった。
俺の番……。
「お前が二年の筆頭か。
俺は、三年の筆頭。
負けるわけにはいかないなぁ……」
ニヤリと笑う三年生筆頭。
「筆頭と言うなら、エリザベス殿下でしょうね。
私はただ強いだけです」
本当のことを言う。
「鬼神の息子と言うその技術。
見せてもらおうか」
んー、〇男塾?
模擬戦用の木剣を構える三年生筆頭。
示し合わせていたのか、周りに居る者たちも俺を狙った。
戦いを始めると、皆カミラには劣る。
父さんにも、リズにさえも劣っているのだ。
そのため周りの剣筋が完全に見える。
ギリギリでかわし、相手の利き手を攻撃した。
俺以外の者の剣が地に落ちる。
そこで審判の声がかかり、俺の予選通過が決まった。
「やったわね」
レオナが抱き着く。
「さすがです」
当たり前の顔のカミラ。
「「うー」」
動けないリズとライン。
まあ、仕方ない。
魔術戦トーナメントの予選についてはラインと重なる心配があったがこれも通過。
複合戦トーナメントについても予選を通過する。
複合戦はフィリップ王子とリズが出場するために六組のみだったが、まあ、通過することができた。
二十対一と言うのもなかなかの予選だったと思う。
「父さん、母さん。
全部予選通過したよ」
「うむ。
よくやった。」
「まあ、ケインなら当たり前ね」
母さんのおなかは大きくなっていた。
「これで本番ですね」
カミラが言った。
「そうだろうな。
ただ、これは最初の一歩。
あの二人側に行くためのね」
「私の友達を、連れてきてもらえますか?」
「そのつもりだよ」
俺はカミラと共に
その会話にニコニコとする父さんと母さん。
「できるだけ成り上がってみるよ」
と両親には言ってある。
「好きにすればいい」
と父さんが一言。
「侯爵の娘だけでなく王女を妻にするつもり?
面白そうね。
でもせめて侯爵ぐらいにはならないとね。
男爵、子爵、伯爵、侯爵……さて、どの爵位になるのやら……」
母さんはニヤリと笑った。
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