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33.試験結果

 実技の剣術、魔法。

 知識の数学、国語、社会。

 久々の試験であったが、手抜き無しで行った。

 試験を終え教室を出ると、カミラとラインが待っていた。


「ライン、どうかしたのか?」

 と聞くと、

「ごめん。

 お母様が言ったこと……」

 ラインはおもむろに頭を下げた。

「ああ、気にしてないぞ?

 逆にやる気が出たからね。

 丁度良かったんじゃない?

 それに、ただの騎士の息子に侯爵の娘が頭を下げるもんじゃない。

 そう言う立場なのを理解しないと……。

 俺はラインの母さんが言ったことは正しいと思う。

 君のお父さんが居ない間、家を守るために外から来た人間がまともかどうかの判断をしなきゃいけないだろ?

 俺も貴族の階級を甘く見ていたんだよ。

 だから気にしなくていい」

「でも」

 言葉を濁すライン。

「ここでは……と付け加えておくがね」

 ラインは俺が笑うと、少しほっとしたようだった。

「ああ、この前のお菓子どうだった?」

「あれ?

 すごくおいしかった。

 どうやったら、木の年輪のような輪っかができるの?」

「ああ、鉄の棒をグルグル回しながら、その上にホットケーキの原液のような物をかけただけ。

 味は近かっただろ?」

「ええ、そう思った。

 でも、目でも楽しめたから……」

「そりゃ良かった。

 さて、侯爵様の娘が長い間俺と一緒に居るのもよろしくない。

 そろそろ帰るよ」

「ええ……。

 あっ、試験の成績が良かったらクラスが変わるのは知ってる?」

「何か聞いたことがあるよ」


 元々Gクラスから上がるつもりはなかったんだがねぇ……。


「成績一番なんか取ったら、エリザベス王女と同じAクラスになるかも……。

 期待してるわね」

 そう言うと、ラインは馬車に乗りこんだ。

「またね」

 そう言って、ラインは家に帰っていくのだった。


「帰られましたね」

待っていたカミラが声をかけてきた。

「ああ、帰ったな」

俺は頷く。

「馬車も出さずに帰らせたことを気にしていたようです」

「所詮騎士だからな」

「人は面倒ですね」

苦笑いのカミラ。

「確かに面倒だ。

 俺はカミラが良かったんだがねぇ」

俺が言うと。

「私は『皆』がいいです」

と笑って言った。


友達と一緒がいいのかね?


「カミラがそう言うなら、そうするかな。

 俺もあの三人は嫌いじゃないし……」



 剣術、魔法も込みで手抜き無しで試験をしたおかげで、試験結果はリズを抜いて総合一位を取ることになる。

 ちょっとイラっとしたせいで頑張れた社会の試験も満点。

 ちなみに、三位はラインが入った。

 ちょっとした優越感。

 まあ、社会以外は小学生レベルの問題だったんだけどねぇ……。



 Gクラスからのトップは初めてだったらしく、学校が湧いた。

 その後クラス替えが起こり、俺はAクラスに上がるのだった。


 クラス替えの次の日、少し早めに王立学校へ行くと、俺は既に来ていたAクラスの生徒ににジロジロと見られる。

 

 新参者には厳しいらしい。

 俺もAクラスなんだけどなぁ……。

 はあ、入学試験で手を抜いたのはバレバレか……。

 逆に悪目立ち。


 席はなぜか窓際の一番後だねえ。

 邪魔者は端っこへ……。


 道具を置いて席に座った。


 窓から外を覗いていると。

「ケイン!」

 と言ってCクラスからラインが現れた。

「ライン様、おはようございます」

 人目を考え俺は丁寧に返す。

 すると、ラインが不機嫌になった。

「ライン様、仕方ないでしょう?

 ここで言葉遣いが悪いなどと言うことになれば、面倒なことになります」

 俺が言うと、

「面倒ねぇ……レオナの家で打ち上げした時みたいなほうが楽なのに……」

「それは、ライン様がそう言う立場なだけです。

 また何かあれば私の家やレオナ様の家で何かすればいいでしょう?」

「それもそうね!」

 すると、二人目登場。

「ケイン、おはよう。

 今日からクラスメイトですね」


 あー、残りのお付きにめっちゃ睨まれているし……。


「おはようございます、エリザベス殿下。

 私も殿下と同じ教室で学べることをうれしく思います」

 例にもれず、リズも機嫌が悪くなった。

「その言葉遣い、嫌です」

「この言葉遣いでなければ、学校では話せません。

 もし、エリザベス様が私をひいきしているという噂が立てばどうなりますか?

 私だけでなく、我が父や母にまで類が及ぶ可能性もあるのです。

 そこのところをご理解ください」

「Gクラスのほうが良かったですね」

 悲しげなリズ。

「私もGクラスのほうが良かったですよ。

 でも今は目的のため。

 今は過程です。

 喜べる結果にするには一時我慢するのも仕方ないかと?」

 どのような結果を求めているのかを知っているリズは、その言葉を聞いて喜んだ。

「わかりました」

 雰囲気の悪さに、入り辛そうにしていたレオナが教室に入ってくる。

「雰囲気悪いわね」

 レオナが言った。

「まあ、手抜きの男が上がってきたからねぇ」

 理由を理解したレオナは、

「まあ、この教室じゃしかたないわね」

 ヤレヤレと手を広げるのだった。


 そして卒業までの試験総合のトップは俺が占める。

 それに続いてリズ、ラインと言う形。

 知識系で限定すると、俺、リズ、レオナ、ラインの順になる。

 まあ、ラインとレオナは入れ替わったりもしていた。


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