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110.カレー

「フンフン……」

 俺は台所に立つ男。

 料理は嫌いじゃない。

 料理人……ロムルにはいい顔はされないはずなんだが、俺が珍しい料理をすることを知っているこの料理人ロムルは俺のフォローを始める。

 俺が作る料理も珍しいのだろう。


 ターメリック、コリアンダー、唐辛子。

 玉ねぎにトマト。あとは、塩と胡椒にニンニク。

 一回しか作ったことが無いカレー。

 これが役に立つとはね……。


 油を敷いたフライパンに玉ねぎを炒めて、湯剥きしたトマトを適当にカットして入れる。

 水分を飛ばしたあと、ターメリック、唐辛子、コリアンダーを入れて、塩を少々。

 懐かしい匂いがしてくる。

 粘度が上がったルーに肉を入れて、水を入れて、煮たてて、味を調整して……。

 こんなもんかな……。


 先に炊いておいたご飯にルーを添えて、完成である。

 さーて、料理人と一緒にカレーを……。

 スプーンを持って、さあカレーをというところで、

「いい匂いなのだ……」

 ミンクがスンスンと鼻を鳴らしながら台所に入ってきた。

「鼻がいいな」

 俺が言うと、

「美味しい物の匂いは見逃さないのだ」

 ニッと笑うミンク。

「はいはい……」

 ミンクの前にカレーを出すと、スプーンを使い食べ始める。

「少し辛いけど、美味しいのだ」

 続いて、ガツガツとミンクが食べ始めた。

「お代わり!」

 というが、そんなに作ってないんだよなぁ……。


 で、ミンクだけに食べさせると、いろいろ話が回って、

「私には?」

「私もです」

「私だって」

 の三人と、

「「旦那様?」」

「ご主人様?」

「ケイン殿?」

(ぬし)様?」

 と疑問符がついた問いが俺に降りかかった。

「はいはい……。

 時期を見て……って言ってたしね」



 俺は日付を決めて振舞う。


 あれ?

 なぜ母さんとディアナが?

 えーっとエレンさんが座っているのは?

 まあ、追加があっても十分な量は作ってるけどよ。


 それぞれの前にカレーを盛った皿を置く。

 一気に食堂がカレーの匂いに満たされた。

「じゃあ、たべよっか」

 俺の号令と共に、皆が食べ始める。


「いいですね」

「ええ、これは美味しい。

 香辛料の味がまとまっていて……」

「おいしー!」

「うん! 食事が進むね」

 リズとカミラ、ラインとレオナが食べている。


「これならば、前線での調理にも使えるな」

「しかし、調理の匂いで相手方にバレるのでは?」

「そうだな。まあ、集団戦の場合、いい匂いをさせれば向こう側の敵に精神的な傷を植え付けることができるかもしれないな」

 こっちはミラグロスとエレン。

 騎士らしく戦争の話。


 でも、偵察小隊にカレー粉を持って行かせるのはいいかも。

 狩りとかで手に入れた肉をカレーで痛めれば生臭さが無くなるかな?

 どこかの傭兵が言っていたような気がする。


「からい―!」

 ディアナが怒っている。

 確かにお子様には辛いかもな……。

「ちょっと牛乳を入れて……」

 俺が軽く処置をすると、

「少し辛くなくなった」

 ディアナが再び食べ始めた。

「野菜も入っているのね?

 ディアナが野菜を食べなくって」

 母さんが言う。

 ディアナは肉が好きらしく、野菜を多く食べないことを心配しているという事だ。

「そう。濃いめの味で誤魔化せるから強引に食べさせるってのも有りかも」

「これって、簡単なの?」

「作るのは簡単だと思う」

「ロムルが知っているわね。

 じゃあ、あとで教えてもらおうかな」

 母さんはディアナの世話を始める。


 ミア、皿は舐るもんじゃない……。

 美味いからってそれは無い。


 お代わりが続く。

 ご飯もルーもすぐになくなった。

 大好評である。


 え~、成功?

 まあ、カレーが嫌いって人は少ないし、派生させればいろいろと美味しい物もあるしな。


 次の日にはルンデルさんがラムル村の屋敷に来ていた。

「レオナに聞いたのですが……」

 まあ、カレーの話である。

 そして、話が進む。

 一カ月もしないうちに王都にはカレー店ができる。

 手を回して開店初日に王に来てもらったので、貴族の中で流行ってます。


 すみません……手札を使ってズルをしました。

 でも、カレーは美味しいのです。


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