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108.チョコレート

 元々、アメリカでコーヒーが広がったのはボストン茶会事件が原因だったっけ?

 今更必要のない知識か……。

 あっているかどうかもうろ覚え。


 そんなことを思いながら、小さめのフライパンで豆を煎っていた。

 程々……と言っても、俺がそう思う程度だが……色づいたマメを両手で潰し、粉にする。

 ネル生地なんてのがあったっけ?

 大体だが、目の細かそうな布に、粉にしたコーヒー豆を入れ、上から湯をかける。

 いろんな淹れ方があるんだろうけど、思い立った感じで作ってみた。

 んー、久々のコーヒーの匂い。

 口に含めば若干酸味がある苦みと鼻を抜けるいい匂いがした。

 ちょっと薄い?


 最近交易をしているファルケ王国のアルベルティ・アルバネーゼ伯爵から手に入れたもの。

 カカオ豆も交易中。

 ファルケ王国で珍しい物とかもルンデル商会経由で手に入れてもらっている。


 そんなことを思いながら、台所でコーヒーを飲んでいると、

「いい匂いですね」

 カミラが近寄ってくる。

「そうだな。

 俺も久しぶりだ」

「久しぶりとは……、向こうの?」

 前世という事らしい。

「ああ、そういう事」

 そう言って俺はコーヒーを少し飲んだ。

 苦みと酸味が口の中を満たす。

 久々の味。

 何だかホッとする。


 カミラが、

「私、することが無くなっちゃいました」

 と言ってくる。

「そうか?」

「もう、侯爵家のこともリズが取り仕切っていますし」

 話をしながら体を預けてくるのは甘えているからだろう。

 俺はカミラの髪の毛を弄る。


「二人っきりってのも久しぶりか……」

「はい、昔は一緒に寝ていました。

 でも、最近は、妹たちの方が忙しそうで……、一人寝が多いです」

「済まないね」

 俺はリビングの椅子に座る。


 ああ……そう言えば。

 時間を見つけて作ったホルスの乳とカルオミガの砂糖を使って作ったミルクチョコレートがあった。

 カカオ豆をチョコレートにする方法は手間がかかり、前世のコンビニなんかで買ったチョコレートに比べれば滑らかさは少ないが、それでも、チョコレートだった。


 蝋を塗った紙に包んだチョコレート。

 包みを引っ張れば、くるりと回ってチョコレートが出てくる。

「ほい」

 俺はカミラにチョコレートを渡す。

「コーヒー……ですか?」

 窺うように聞くカミラ。

「これはチョコレートだ。

 カカオ豆っていうやつで作った。

 本来ならもっと口当たりがよくなるようにできるんだろうけど、素人が作ったものだから勘弁」

 カミラはクスリと笑うと、チョコレートを口に含む。

「甘くて苦みがあって、美味しい」

 カミラが驚いていた。

 素人知識で作ったチョコレートだったが、カミラには当たりだったようだ。


 カミラが体を摺り寄せる。

「んー、オヤジさんの所から来たメイドは何者?」

「知っておられましたか」

「まあ、あのメイドが増えてたからね。

 アーネの後ろにつき従っていたし。

 気配は隠密系だけど」

「父が言うには孫というのを知りたいそうです。

 そのうち必要になるだろう……との事」

「何に?」

「子を授かり出産する際にです」


 そんな話を、俺が居ない間に……。


「親父さんの思惑も何となくわかるけど……、そんなに急かさなくても。

 寿命が長い種族なんだろう?

 そんでもって、神祖の因子とカイザードラゴンの魔力で更に長寿になったと聞いたがね」

 すると、少し怒ったように

「だからこそ、急ぐのです。

 長寿の因子を持ったせいで子供ができ辛くなっているかもしれません。

 それに、本音を言えば私だって旦那様を独占したいのです」

 カミラがプンとそっぽを向く。


 確かに、メンバーが増えて回数が減っているのは確かだよなぁ……。


 しかし、皿の上にあるチョコレートをチラリと見ると、

「仕方ないので、もう一個チョコレートを貰うことで我慢してあげます」

 と言って手を差し出すのだった。


 その日の夜はカミラを可愛がる。

 久々だったせいか激しかった。


そろそろネタが尽きそうなので、一話投稿にします。

ご迷惑をおかけします。

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