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102.黒い来客

 黒いマントを纏った男と女が現れる。

「そんなことをする必要はない。

 その貴族の弱みはな、父親を殺し、無理やり代替わりしたことだよ。

 父親はできの良い弟を跡継ぎにするつもりだったようだ。

 それを恐れたそこの貴族が父親を殺し、今では弟に毒を飲ませて弱らせているところ。

 バレヌスという医者が毒を調合しているのだろう?」

「どこに証拠が?」

 あからさまに動揺している。

「これでいいか?」

 封筒が一枚出てきた。

「これは、今日、王に渡す手紙。

 その中に丁度、その貴族の手紙もあった」

 そう言うと、封筒を一つ投げつける。

「それ一枚が無くとも、別に証拠が足りなくなるわけじゃないからな」

 手紙を見ると、真っ青になる貴族。


 あー、モロ証拠なんだ。


「それでは……」

 黒いマントの男が王の下に向かう。

 そして、一つの箱を王に差し出した。


 振り向くと、

「久しいな」

「久しいですね」

 ヴォーデ・ドラクリヤとヴィクトリア・ドラクリヤ。


 おっと……。


「お久しぶりです」

 頭を下げる俺と、

「何で、お父様とお母さまが」

 驚くカミラ。


 当然俺たちは話を聞いていない。


「今度、新しい侯爵ができると聞いてな。

 それが、なんと、カミラの婚約者だというじゃないか。

 それならばと、ドラクリヤ伯爵家はケイン・ハイデマン侯爵の寄子になろうかとね。

 侯爵は魔物の事をよく知っているようだからな」

 ニヤリと笑った。

「いいのですか?」

 するとヴォーデ様は俺に近づき、

「王には言ってある」

 俺は王の方を見ると、王はヒラヒラと手を振る。

 決まった事らしい。

「それに長寿なお前なら、長い付き合いができるからな。

 汚い仕事を回してもらってもいい。

 それが我々の糧になる」

 と耳元で言った。

「怖いことを言いますね」

「それが仕事だからな。

 今の王は我々を相手したくないのだろう。

 私の提案に乗ったよ。

 だから、お前に私を管理しろという事らしい。

 お前の下についたからと言って、やることは変わらないのだがな……。

 情報を仕入れ、お前に上げるだけだ。

 お前はその情報を持って王に会い、指示を受ける」

「俺、居なくても良くないですか?」

「んー、そうかもしれんが、私がお前につけば、お前は貴族たちのやましい部分を知っているという事になる。

 簡単にお前に歯向かったりはできまいよ」

 ヴォーデ様はニヤリと笑うのだった。



「カミラのためにありがとうございます」

 俺が言うと、

「そうではないが、そういう事にしておこう」

 犬歯を出しニヤリと笑う。


 この人も親ってことか……。


「一度……婿殿の血を……」

 俺にすり寄るヴィクトリア様。

「ダメです」

 俺の前に立つカミラ。

「ケチだのう」

「こういうのはケチとは言わないで、旦那様を守るという事になるのでは?」

 カミラとヴィクトリア様の親子喧嘩が始まる。

「そこを何とか……」

「そう言う訳にはいきません!」

 口喧嘩が続く。


 カミラとヴィクトリア様の親子喧嘩を楽しそうに見るヴォーデ様。

 ヴィクトリア様にあしらわれコロコロと表情が変わる。

 俺を含めたほかの皆も見たことが無いカミラの姿を見ることになるのだった。


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