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101.約束の時

 音楽が鳴り、煌びやかな貴族やそのご婦人がウロウロしている。

 王宮内での園遊会に呼ばれたのだ・

 ファルケ王国へ領土を広げた張本人。

 今回の話題の中心は俺。

 どうやって接触しようかと、思案する貴族たち。

 しかし、その脇を固めるのは、カミラを筆頭にリズにライン、レオナ、ミラグロスにアネルマ、ミア、そしてメイド姿のアーネ。

 鉄壁の布陣。

 さすがにミアはブラと腰布をしてもらっている。

 ミンクは……というと俺の力を見せるために、実物大のカイザードラゴンになって王宮の庭に展示中である。


 頑張れミンク。

 後で褒めてやるからな。


 そんな時ルンデルさんが俺に近づいてきた。

「お久しぶりです。

 商会に、顔も見せられなくて済みません」

「いいえ、お気になさらず。

 入口が出来てからは、ダンジョンの街も大きくなっております。

 冒険者ギルドからの素材の取り扱いを一手に任せてもらっておりますので、こちらもホクホクです」

「そりゃ良かった。

 また村を作るんだけど、大丈夫かな?」

「戦場の平原の村のことですね。

 魔物の住む村だとか……」

 耳が早い。

 そして、

「お任せを!」

 ルンデルさんが頷く。


 大げさな反応をしているのはルンデルさん以外の商人が俺に入り込む余地がない事のアピールらしい。

 ルンデルさん以外の商人を使う気もないんだが……。


 そして、王と王妃、そしてフィリップ殿下が現れる。

 リズも俺の輪の中から壇上に登り王の傍に着いた。

「皆も既に知っての通り、ハイデマン伯爵がファルケ王国との戦争で勝利を収めた。

 メルカド伯爵家をこちらに引き込み、ファルケ王国側にも領地ができた。

 喜ばしいことだ。

 これをもって、ハイデマン伯爵を侯爵として陞爵する」

 すると一人の男が、

「あまりにも早いのではないでしょうか!」

 と声をあげると、周りからも声が上がる。

 確かに早いと思うが、俺にも事情がある。


 王は手を上げ、落ち着くように言うと、

「この国は、この男を囲い込まねば大変になるところまでになってしまっている。

 表立って公表はしていなかったが、この王都の下にあったダンジョンを知っているか?

 そのダンジョンがスタンピードを起こしそうになっていた。

 我々の手の者には止める術を持つ者が居なかった。

 そんな中、依頼を出すと、この男が攻略してしまったのだ。

 当時、子爵だったかな?

 知っての通り、人が魔物を倒せば、その魔力を得て力をつける。

 お前たちもハイデマン侯爵が連れているドラゴンを見たと思うが?

 この王宮の庭に居たであろう?

 あれはカイザードラゴンだ。

 かつて、この王国を未曽有の危機に陥れたドラゴン。

 それを手懐ける者なのだ」


 バケモノ設定が始まったかな?


「そのお陰で、寡兵でカミロ・グリエゴ公爵を捕らえ、新たにバレンシア王国の領土が増えた。

 その事実は変わらぬ。

 であるから、ハイデマンは侯爵にする。

 そして、バレンシア王国を裏切らない保証として、エリザベスをハイデマンに降嫁し妻とする」

 王は言い切った。

 王妃は笑ってリズを見る。

 そのリズは泣いていた。


「エリザベス王女が泣いていますがいいのですか!

 ケイン・ハイデマンに嫁ぐのが嫌なのでは!」


 余計な一言を……。

 すると、リズは壇を降り、抱き付いて唇を塞ぐ。


「私は好きでハイデマン侯爵の下に行くのです!」

 周りを見るリズ。

「まあ、学校も同じで、このように仲もいいのでな。

 降嫁する次第だ」

 王が苦笑いしながら言う。


「リズ、やるぅ」

 ラインがリズをからかうが、

「だって……私、幸せなのに、そうじゃないみたいに言われて……」

 リズは悔しそうだ。

「やっとだからねぇ」

 レオナが続く。

「まあ、これで約束は果たせたわけだ。

 ギリギリかな?」

「卒業までに間に合ったのですから早いのでは?」

「誰かさんのために急がせていただきました。

 そのせいで、名ばかりの侯爵ってことになるがね……。

 兵も拠点も出来合いだ。

 王からも予定通りバケモノ認定していただいて、リズもいただきました」

「はい!」

 リズが頷く。

「さて、これで、晴れて……」

 俺が言うと、

「思ったより増えましたけどね……旦那様」

 ジト目のカミラが居た。

 その後ろで苦笑いなアーネとミラグロス、当事者のアネルマとミア。



 アネルマを見て、

「敗軍の将の娘が……」

 呟く声が聞こえた。


 実際そうなんだけどね、そうなんだけど……ちと許せん。


 カツカツとわざと足音をさせて近づくと驚く貴族。

 自分の所に来るとは思わなかったのだろう。

「敗軍の将の娘?

 お陰で、バレンシア王国に領土が増えたのですが。

 父親の事だけじゃなく、今後の事を考えた判断。

 見事だと思いますよ。

 お陰で、こちらの兵の損失は無かった。

 そう言うのならば、あなたがどこかのファルケ王国領土を攻め取ればいいではないですか。

 人を妬むのは勝手ですが、妬むなら私をお願いします。

 全力をもってお相手させていただきます。

 無論外に居るカイザードラゴンも出陣いたしますので、城に隠れたとしても、ブレス一撃で吹き飛ばしますのでご注意を……」

 その貴族を睨み付けながら言うのだった。



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