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96.トビケンへ

 えーっと、引き続きフィリベルトです。

 現在、トビケンに向けて移動中です。

 ちなみに周りは全てファルケ王国の兵士です。

 五十名ほどでしょうか。

 しかし、いくら兵士が少なくてもいいって言っても、俺とケイン様だけってどういうこと?

「んー、俺でも何とかなるんだけど、フィリベルトが居ないとカミラたちに怒られるから……」

「とばっちり……って奴ですね」

「そうだな、王から俺への依頼が、お前に飛んだって感じだ。

 諦めろ」


 ハイハイ、諦めますよ……。


 ケイン様はライアンに乗り、俺はファルケ王国のカミロ・グリエゴ公爵を乗せた馬車に乗る。

 ラフティーの砦から外に出てしばらく行くと、そこには大勢のファルケ王国の兵士。

 そこで、俺はファルケ王国が連れてきた馬に乗り換えた。


 おっ、デカいな。

 しかし手綱を扱うが、言う事は聞かない。

 暴れ馬って奴か?

 ファルケ王国の兵士がニヤニヤと笑っているのが気に入らない。


 ロウオウよりは小さいか。

 ライアンよりも……。

「フィリベルト、いつまで遊んでいる?」

 ケイン様が言うので、

「仕方ないですね」

 殺気を出すと、馬が暴れなくなった。

「行くぞ」

 俺が声をかけるだけで駆け足を始めると、ファルケ王国の兵士が唖然とする。

「いい馬をありがとうございます」

 俺は嫌味を言う。

 まあ、確かに気は強そうだが、ミンク様には負ける。


 おっと、気をつけねば。

 あの人(龍)勘がいいんだよな……。


 それでも強い馬のようだ。



「なぜ()らん!」

 カミロ・グリエゴ公爵の声が聞こえる。

 ツカツカとケイン様が馬車に近づくと、馬車の壁越しに手を突っ込み、カミロ・グリエゴ公爵の首根っこを掴んだ。

「カミロ・グリエゴ公爵。

 ここからは、あなた達の国です。

 しかし、俺は客人だと聞きました。

 そして、俺の従者にいたずらをするのは勝手ですが、俺や従者がそのせいで言うことをきかなくなったり、カミロ・グリエゴ公爵が生きて帰らなかったりしても、あなたが責任を取ってくださいね」

 カミロ・グリエゴ公爵を近づけ、窓越しに睨み付けるケイン様。

 そして、指に作った青い魔力の球が高速で平原に飛んでいくと、大きな爆発を起こし、きのこ雲が上がる。

 数秒後に凄い突風が俺たちを襲った。

 馬車が倒れそうになる。

 ケイン様ときのこ雲を見比べ、再び唖然とする兵士たち。

 すると、

「調子に乗ると国が無くなりますよ」

 ケイン様が公爵を見てニヤリと笑うのだった。


 俺へのイタズラの報復のため?

 それとも、公爵の言葉にムカついたから?

 まあ、どっちにしろ悪役は苦手なくせに……。


 俺たちを置いていくように、ファルケ王国の護衛部隊がカミロ・グリエゴ公爵の馬車を囲み進み始めると、俺も後を追った。

 ケイン様のアピールのお陰か、兵士が寄り付きもしない。

 どこかの村で宿に入ると、夕食になる。

 そして、「お前が行け! お前が行け!」な騎士たちの中から一人の気が弱そうな女性が押し出されるように出てきた。

「お食事をお持ちしました」

 か震えながら食事が乗ったトレイを持ってきた。


 俺たちはバケモノか何からしい。

 一応、ケイン様は「バケモノ」と言われてるしなぁ……。


「ありがとう」

 ケイン様が言うのに合わせ。

「本来は私が取りに行かなければならないのに申し訳ありません」

 と俺が言うと、

「えっ?」

 と女騎士は驚いていた。

「持ってきてもらって礼を言う事に驚く理由が?」

 ケイン様が聞く。

「それは……。

 思ったより普通だったから……です」

「ああ、この人は基本普通ですよ。

 剣と魔法が半端ないだけ。

 やらかすことがデカいんです」

 俺が言うと、

「そういう事。

 こんな風になる予定じゃなかったんだけど、いろいろあってこうなってしまった」

 俺は女騎士に、

「主に女絡みですけどね……」

 と耳打ちしておく。

「お前、余計なことを言うな!」

「こういう事を言っておけば、女性は引くのでは?」

「そうかもしれないが……」

 冷めた目で見ている女騎士。

「話が長くなったね。

 じゃあ、いただくとしよう」

 ケイン様が食事を食べ始めた。

 すると、

「毒が入っているとは思わないんですか?

 ただのバカか豪胆なのか」

 この女騎士……バカって言うんだ……。

「入ってたら入っていた時。

 まあ、フィリベルトは死ぬかもしれないけど、俺は魔法が使えるから」


 えー、俺死ぬんっすか?


 嫌な顔をしてケイン様を見ると、

「即死じゃなきゃ、魔法で治すさ。

 それに、お前は鼻がいいだろ?

 毒が入っていたらわかるはずだ」

 と俺に言った。

「まあ、そうですけどね」


 俺とケイン様の会話が面白かったのかクスクスと女騎士が笑う。

「しかし凄いですね。

 この殺気の中を余裕なんて……」

 というと、

「ああ、これくらい、某カイザードラゴンの威圧にはかなわないよ」

「ちなみに、この人の周りには、まあまあなバケモノも居るからね。

 だから、バケモノって言われてるんっスよ」

 ケイン様と俺は答えた。

「さて、あまり俺たちと話をしていてはいけない。

 嫌われても困るしね」

 ケイン様が言うと、

「名前を言っていませんでしたね。

 私の名はエレン。

 お二人のお手伝いをすることになります」

「俺がケイン。こっちが……」

「フィリベルトです。

 よろしくお願いします」

 俺とケイン様は頭を下げるのだった。


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