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part.3-2 私を救ってくれた人

「地図によるとこの辺りに……あった!」

 それからイヴァンカは村長に貰った地図を頼りに古井戸の場所を探していた。

「中の水は……うん、大丈夫そうだ!かなり苔がこびりついてるけど、これは仕方が無さそうだな」

 イヴァンカは井戸の中をのぞき込んでそう呟いた。

「よっと、次は……」

 井戸から顔を話すとまた地図を広げて別の水場を探していた。

「この近くにあと3カ所井戸があるらしい。今いるのがここだから……」

 地図に印を付けてまた別の井戸を探して歩き始めた。

「お、あれがそうだな!」

 イヴァンカはしばらく歩いてまた別の井戸を見つける。しかし、

「アルミラージ……」

 その近くには『アルミラージ』と呼ばれるモンスターがうろついていた。ウサギに近い見た目ではあるものの、牙は鋭く非常に気性が荒い性格だ。幸いにも辺りにはそのアルミラージ以外にモンスターはおらず、奇襲で簡単に倒すことが出来そうだ。イヴァンカは静かに腰に下げていたレイピアを抜いた。

「……はっ!」

 そのまま一気にアルミラージに突撃する。アルミラージはすんでの所でこちらに気付き、振り返ったものの、既に身体にはレイピアが突き刺さっていた。

「ふう……これでよし」

 言ってイヴァンカはレイピアを納めた。このレイピアはもう何年も研いでいないはずだが、それでも良く切れるなかなかの業物だ。イヴァンカはレイピアを納めると、先程と同じように井戸の様子を確認した。


◉ ◉ ◉


「そろそろ休憩にしよう……」

 そう言ってイヴァンカはその辺にある岩に腰掛けた。何カ所か古井戸や池などを見て回ったがどれも状態は良く、割と簡単なメンテナンスで再利用出来そうだ。モンスターもこれと言って強力なものは見当たらず、簡単に追い払うことが出来た。水は恐らく問題ないだろう。そんなことを考えていると、遠くから鳴き声が聞こえてきた。

「ォォォォォォォ……」

 狼の遠吠えに近い鳴き声だが、それよりも少し甲高い声だ。

「これは……レイジフォックス!?」

 どうやらレイジフォックスが獲物を発見して仲間を呼んでいるらしい。イヴァンカは嫌な予感に駆られ、その足を動かした。

「もし、誰かが襲われているのなら……」


◉ ◉ ◉


 遠吠えの音源と思われる場所にたどり着くと、そこにはスライムとそれを追いかけるレイジフォックスの姿があった。スライムの種類までは分からないが、人に対して害を与えるようなスライムには見えない。この辺りでスライム系のモンスターもあまり見ない為、もしかしたら誰かのペットである可能性もある。

「一応、助けるか……」

 イヴァンカはそう呟いてレイピアを静かに抜いた。相手はレイジフォックスだ。もたもたしていると増援が来てしまう。

「やあああ!!」

 レイジフォックスと相対すると、間髪入れずに剣を横に振る。しかし、レイジフォックスの反射神経に間に合わず、向こうはすんでの所で攻撃を躱した。

「ゥゥゥ……」

 不利を悟ったレイジフォックスはすぐに防戦体制に入る。恐らく増援を待っているのだろう。イヴァンカが近づこうとすると、敵は後退する。この繰り返しだ。イヴァンカはレイピアを握りしめ、地面を強く蹴りつけた。強引に走り出した速度に追いつく事が出来ず、レイジフォックスは体制を崩す。そのまま突きつけたレイピアの刃でレイジフォックスは串刺しとなった。

「よし、あのスライムは……」

 既にどこか遠くに逃げていた。しかし、駆けつけてきた別のレイジフォックスと接触している危険がある。そう考えてイヴァンカはあのスライムの後を追いかけた。


◉ ◉ ◉


「あのまま逃げ続けているのなら、恐らくこの辺りにいるはずだが……」

 あれから駆けつけたレイジフォックスを出来るだけ引きつけながらスライムを探し続けたが、未だに追いつけていない。とはいえ、レイジフォックスの遠吠えも無く、連中が再びスライムを見つけたとは考えにくい。そろそろスライム探しは打ち切って元のクエストに戻ろうとしたその時だった。

「ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」

 レイジフォックスの遠吠えだ。それもかなり近い。すぐに駆けつけると、そこにはレイジフォックスに追い詰められたスライムと一人の少女がいた。きっと彼女がスライムの飼い主なのだろう。

「い、嫌……」

 その少女はレイジフォックスの威嚇に怯えており、今にも泣き出しそうだ。イヴァンカは真後ろから一気にレイジフォックスを切りつけた。

「ザンッ!」

 という鈍い音と共に剣を追うように鮮血が飛ぶ。そのままレイジフォックスは倒れて動かなくなった。

「お嬢さん、大丈夫かい!?」

 イヴァンカはそう言って手を差し伸べると、少女はその手を取りながら、力無くその瞳を閉じた。


続く……


TOPIC!!

「スライム」系モンスター


異世界『アレンガルド』全域に存在するぷよぷよとしたゼリー状のモンスターの総称。

その種類は非常に多く、人間に害を与えるような危険な種もあれば、

人間の言葉を理解して仕事や生活を支えたり、

単にペットとして飼われているような種も存在する。


ちなみに例外は存在するが「〇〇スライム」となっているスライムが人間に無害で

「スライム〇〇」となっているスライムが人間に対して害を与えるものであるという記名ルールがある。


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