表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/121

part.11-16 チェルニーの激闘

 翌日、僕は現実世界で目を覚ます。

「ん……」

 朝日の眩しい光に目を細めながらも手早く着替えを済ませる。昨日の段階で僕はかなり疲弊していたはずだ。それなのに、今までよりも目覚めは良い。何故だか気分も良いことだし、久しぶりに自炊でもしてみよう、そう思って冷蔵庫を開いたが、食材が何も無かった。そう言えば、怪我から復帰してからは現実世界でまともなものを食べていない。

「今日の帰りにスーパーにでも寄ってみるか……」

 カップ麺を啜りながら僕はそう呟いた。


◉ ◉ ◉


 学校に着いてからはある程度真面目に授業を聞く。少しずつ内容について行けるようになったのも茜がある程度教えてくれたお陰だ。このまま茜に頼りっきりなのもどうかと思うが、かといってもう異世界での失敗はしたくない。今だけは茜に頼ろう。

「……っ!」

 と、考えていたところで僕は大きく頭を振った。いつの間にか茜の事を考えてしまっていた。授業に集中しないと……!


 そんなこんなで授業終了のチャイムが鳴る。あっという間にこの日の授業が終わりを告げた。この後は軽いホームルームで放課後だ。

「……っと、しょーた、今日部活?」

 不意に茜が僕に話し掛けてきた。

「ああ、その予定だが?」

 僕はそう答える。実際部活内容は何も無いが、この時間を使って授業の復習等を行う予定だ。なんならそれぞれの先生に授業に関する質問をしようとも考えている。

「そっか、なら帰り一緒に栞ちゃんのお墓に行こう?しばらく行ってないでしょ?」

 と、茜は言った。

「ああ、そう言えばそうだな」

 僕は感心したようにそう答えた。今日は長い時間部活しようと考えていたところだし丁度良い。僕がそう答えた後、茜は「それじゃあ!」と言って直ぐに自分の席に戻っていった。流石に教室内で長い時間異性と会話するわけにはいかない……。


◉ ◉ ◉


 部活の時間だが、僕は化学室では無く図書室に居る。別に化学室で一人勉強してても良かったのだが、なんとなく気分が乗らなかったので図書室で勉強道具を広げていた。それに図書室の方が職員室も近いから質問に行く時も便利だ。そんなこんなで黙々と勉強をしている内に窓の外は夕暮れ時、窓の下では運動部が片付けを行っている。

「茜もそろそろ終わる頃合いか……」

 そう呟きながら僕は化学室へ向かう。茜と合流する予定の場所は化学室だ。ゆっくりと鞄を持ち上げながら図書室を後にした。


 その後、化学室で適当に過ごしていると、元気いっぱいの茜と合流する。陸上部の部活動後であるにも関わらず未だに元気なのは普段身体を動かしているからだろうか?そんなことを思いながら僕は茜と会話しながら下校した。その後、僕らは栞が眠る墓の前に到着する。簡単に墓の周りを掃除した後、道中で買ってきた花や缶ジュースを添え、手を合わせる。だけど栞は今、異世界だ。恐らくその事に間違いは無いだろう。

「栞は今、何をしているのだろうか……」

 手を解き、僕はそう呟いた。

「さあ?でもしょーたが一緒にいるんだもん、きっと大丈夫だよ!」

 茜は僕の方を向いてそう言った。

「本当にそうかな?」

 そう言う僕の表情は僅かに微笑んでいる。

「そうだよ!」

 茜はそう言った後、僕達は添えた花と缶ジュースを持って撤収する。これらは放置していると腐ってしまうからだ。茜と別れた後、僕は一人帰路へ着いていた。

「あ……」

 ふと、朝の事を思い出す。そう言えば自炊しようとしてスーパーに寄ろうと考えていたんだった。

「まあいっか……」

 面倒くさくなった僕はそう呟いて家に帰っていった。明日はちゃんとやろう。


続く……


TIPS!

作中登場小説『涙まみれのこの異世界転生に救いはないんですか!?』①:翔太が転生した先の世界での内容が描かれた謎のWEB小説、レオという少年が主人公となっている

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ