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part.11-13 チェルニーの激闘

 翌日、疲れが取れるはずも無かったが、けたたましい目覚ましの咆哮に苛立ちを覚え、その目が覚めた。ここは現実世界、つまり現代日本だ。

「うぅぅぅぅぅ……」

 こめかみを抑えながら僕は状況を整理する。時間は午前6時過ぎ、あくびを一つした後にベッドから起き上がった。異世界の疲れが残るまま、僕は制服に着替える。残念ながら今日は学校、寝言が言えるのは7時までだ。


 簡単に朝食を摂って家を後にする。疲れてはいるものの遅刻無しで特にトラブルも無い。

「ぁぁぁぁあああ……」

 呻きの様な長い溜息を吐きながら手に握る鞄のポジションを変える。いつもの公園沿いの道、茜はいるだろうか?

「……いないな」

 僕は周囲を見渡しながらそう言った。どうやら茜よりも僕の方が先に着いたらしい。仕方無いので僕は公園沿いの道で茜が来るのを待った。別に約束していた訳じゃ無い。茜を置いて先に行くことも出来るのだが、多分茜は怒るだろう。というか、茜に同じ事をされたら多分僕も怒る。

「……あ、しょーたおはよー!!」

 暫く携帯をいじっていると茜の元気な声が聞こえてきた。なんだか茜に合うのも久しぶりな気がする。実際1日しか経ってないけどね……。

「ああ、おはよう」

「今朝もだらしないね?朝は弱いの?」

「お前に言われたくねぇ!」

 僕がそうツッコむと、茜は「あはははは!」と、元気な笑い声を上げた。……全く、朝は死にそうな顔をする位弱い癖に僕とここで合流する頃にはすっかりこの調子だ。一体ここまでの時間に何があったのか……。

「それじゃあ行こう!」

 進行方向へ指を差して、茜は進んでいった。溜息を吐きながらも僕は従う。


◉ ◉ ◉


 学校に着いたら僕はしっかりと空気を演じる。しかし、いつもなら授業は適当に過ごすが、いかんせん大怪我を負って1ヶ月も入院していたせいで勉強に遅れが出ている。大学進学を目指している僕にとって、そんな流暢な事をしている余裕は無かった。せめて遅れを取り戻すまでは、真面目にしなければならない。とはいえ昨日はレイジフォックス達との激闘を繰り広げ、僕も疲れている。

「……」

「おい、翔太!」

 不意に自分を呼ぶ声が聞こえてはっとする。

「翔太、受験生のくせに居眠りとは余裕だな?なら、この問題も解けるだろう?」

「あ、す、すいません……」

 授業を担当していた教師から注意を受けてしまった。どうやら僕は途中で居眠りしてしまったらしい。気を取り直して指定された問題を解く。まあ、この程度なら本当に余裕だ。

「よろしい、もう寝るなよ?」

「気を付けます……」

 教師の言葉に僕は素直にそう言った。


 その後、僕が居眠りした以外に何か事件が起こる事も無く、ホームルームを迎えた。

「重要な連絡事項は……ああそうだ、来週末に模擬試験がある。しっかりと勉強しておくように!」

 ホームルームを仕切っていた担任の教師がそう言った。普通ならブーイングが飛んでくる所だが、僕達は受験生、自分で言うのもアレだが学校で選ばれし学力を持つ者達だ。素直に返事をする。

「よろしい、では解散だ!」

 その直後に号令を掛けた後、僕達は散り散りになった。ある者は部活へ、ある者は直帰する。予定は無いけど僕も部活だ。化学室へ向かう。

「……来週末か」

 僕はそう呟きながら廊下を歩く。次の模擬試験はどれだけ甘えてもB判定(合格可能圏内)までは何とか取っておきたい。化学室で少し勉強していこう。なんなら、岡田(科学部の顧問)でも呼び出そう。そんな事を思いながら僕は化学室への道を歩んでいった。


続く……


TIPS!

住屋茜③:他の追随を許さない圧倒的なコミュニケーション能力を持つ。

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