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part.2-2 こうして私は異世界に……

 覚めるはずの無い目が覚めた。

「……」

 ゆっくりと目を開くと見たことの無い平原が映し出された。

「これは?」

 栞はそう呟いて辺りを見渡す。

(どういうことだろう?確か私は首を吊って死んだはず……)

 見覚えの無い景色に栞はそう思ったが、一つの結論にたどり着く。

「異世界……転生……!?」

 栞は辺りを見渡してそう言った。そう、これは異世界転生だ。今までにそんな小説を何冊も読んできたことがある。しかし、目の前に広がるのは無数に羅列された文字では無く、無限に広がる壮大な大地だ。そして栞はいかにも異世界の村人が着ているような服装をしていた。

「これから、どうすれば良いんだろう……?」

 少しずつ覚醒してきた頭から、最後にこの言葉が導き出された。


◉ ◉ ◉


 それから栞は歩いた。歩き続けた。けれど何処へ行っても平原ばかりで、流石に疲弊してしまう。最早異世界がどうこうでは無い。

「うぅ……」

 遂に栞はその場にうずくまってしまった。

(どうして、こんな私が転生なんてしたんだろう?)

 そう思った次の瞬間、背中にぷにっとした感覚が当たった。

「……!?」

 手を回すとひんやりとした感触のものがプルプルと震えている。持ち上げて見てみると黄色い半透明のゲル状の物体に顔が付いていた。それはファンタジーの世界に出現する『スライム』そのものだ。そのスライムは何故か震え続け、顔も何かに怯えているようだった。

「えっと、君は誰?」

 栞はなんとなくスライムに声を掛けてみる。すると、そのスライムは大きくぴょんぴょんと、栞の手の上で跳びはねた。声に反応しているもののどこかそれどころじゃ無いといった様子だ。

「……あっ!?」

 遂にそのスライムは栞の手から離れて逃げていった。

「待って!」

 栞はその後を追いかける。しかし、足は意外に速く、これまでの疲れも相まってなかなか追いつけない。全力疾走で何とかそのスライムに追いつくと、スライムはぐったりと倒れこんでしまった。

「さっきからどうしたんだろう?この子?」

 何か栞から逃げているような気がする。しかし両手を差し伸べてみると力無く栞の手に乗った。どうやら栞から逃げている訳では無いらしい。栞は安堵の表情を浮かべるが、次の瞬間、背後から誰もものとも分からない足音が聞こえた。

「っ……!?」

 赤い瞳の狐のような生物が鋭い視線を送っていた。凄い殺気だ。どうやらこのスライムはこの狐から逃げていたらしい。

「い、嫌……!」

 恐怖で栞は後ずさるが、その狐も栞に合わせてじりじりと近づいてくる。大きさ自体は栞の膝小僧までの高さでそれほどでも無いが、かなり興奮している様子で、はぁはぁと熱い息を吐いていた。

 途端に栞は振り向いて思いっきり走り出した。それに合わせて狐もその足を動かす。あての無い鬼ごっこが始まった。平原に木々や大きな岩など、身を隠せるような場所が無い為、先に体力を使い果たした方が負けとなる。栞は走り続けた。彼女自身の恐怖が身体を容赦なく動かす。

「痛たっ!」

 不意に栞は石に躓いてしまう。そのままうつ伏せに倒れてしまった。

「ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」

 それを見た狐は遠吠えに近いような雄叫びを上げた。恐怖に震え上がるがもう足が動かない。その時だった。


 ——ザン!!!

 鈍い音と共に鮮紅の液体が真横に飛ぶ。途端に狐は2つに別れ、そのまま絶命した。返り血を浴びた栞は思わずその衝撃の光景に絶句し、口元を押さえた。

「お嬢さん、大丈夫k……」

 何処からか声が聞こえてくるが、栞の目の前は次第に暗くなっていき、遂にその声を最後まで聞くことが出来ず、栞は気を失ってしまった。


続く……


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