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part.9-1 閉所より見る空は……

 その後、

「……んん」

 目が覚めると僕は見慣れない天井を見上げていた。

「そうか……」

 そう言えば僕は入院していたんだったな……。

「……んん」

 ふと、隣を見ると茜が椅子に座って寝込んでいた。僕が声を掛ける前に茜が起き上がる。

「おはよう」

「……んんんおはよう……」

 茜はうねりながらも僕の声に応えてくれた。


◉ ◉ ◉


 それから茜は学校へと向かっていった。当然、登校なんて出来るはずが無い僕は一人でベッドに横たわったまま、

「……暇だなぁ」

 と、独り言を呟く事しか出来ない。ふと、窓から空を見上げてみる。雲一つ無い快晴のど真ん中に熱い太陽がぎらぎらと輝いている。

「……眩しい」

 どうやら僕の目はその輝きを受け付けなかったらしい。すぐに空から目を離した。


◉ ◉ ◉


 その後、特に何も起きずに夕刻を迎える。傾いた太陽の光は落ち着いて、淡いオレンジ色の光が差し込んでいたが、昼間と違って地味な印象を受ける。

「……暇だな」

「しょーた、お見舞いに来たよ!」

 そんな僕の独り言を裏切って、茜が突然押しかけてきた。

「……お前、まさか毎日来る気なのか?」

「うん、そーだよ!」

 茜の言葉に僕は「はぁぁ……」と、ため息を吐いた。勿論、自分の意思とは真逆の行動だ。

「はい、適当にお見舞い買っておいたよ」

 茜は僕のため息を無視して、僕の右手側の机に見舞い品を置いた。軽めのお菓子が多い。

「ありがとう、助かるよ」

「良いって良いって、それよりしょーた」

 言って茜は一拍置いた。

「しょーたって小説書いてたりしない?」

「へ?」

 茜の口から予想もしない質問が飛んできて僕も思わず変な声を上げる。

「……いや、書いてないけど?」

 と、僕は答えた。

「そっか、あれはてっきり君が書いているものだと……」

 茜が独り言をぶつぶつと呟くが、僕には良く聞こえなかった。

「ん?どうした?」

「いや、書いてないなら良い……しょーたって今携帯持ってる?」

「持ってるけど、どうした?」

 言って僕は右手に持つスマホを見せる。

「あとでURL送るからその小説を読んでみて欲しい」

「?……まあ、良いけど」

 僕が返事をすると、茜は荷物を纏め始めた。

「うん、じゃあ私はこれでおいとまさせてもらうよ」

「ああ、じゃあまた今度」

「うん!暇な時で良いから小説を読んでみてね!」

 言って、茜は帰って行った。それから暫く間が開いて僕の携帯に通知が入る。

「茜の言ってた小説か……」

 茜の連絡先から一つのURLが表示され、開いてみるとWEB小説の投稿サイトに繋がり、小説のタイトルが大きな文字で表示されていた。その小説の名は、

『涙まみれのこの異世界転生に救いはないんですか!?』


続く……


TIPS!

佐伯翔太①:チョコレート菓子が好きだが、ナッツ類は苦手である

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