麗華様と裕也君
「……あ」
「……」
校門前で、麗華様とばったり出会す。
麗華様が裕也君に振られて二日目。
麗華様は昨日の部活も休み、裕也君を遠目に見てはいるものの、決して話し掛けようとしなかった。
自分を振った相手と会うのが気まずいのだろう。
だが私は少し意外だった。
あの麗華様が一度振られただけで諦めるとは思わなかったのだ。
私自身麗華様と親しいわけではなく、空の上の存在のように感じていたので、麗華様が好意を寄せる人間に振られた時どんな反応をするのか、わからなかった。
「……龍宮先輩、おはようございます……」
「……ん」
が、この様子を見ると、相当のダメージを負っているようだ。裕也君からの挨拶にさえ、素っ気ない返事。
麗華様のことだから、「は? 私のどこがいけないわけ? 私以上の女がいるっての? 連れてきなさいよ、そいつ」くらい言うと思っていた。偏見な気もするが。
麗華様は悟と違って、裕也君の前でもそういった刺のある態度をとることがあるのだ。
それくらい言うのかと思っていたけど……。
「……」
「……用ないなら行くから」
あの大好きな裕也君とさえ、目を合わせない。
以前までだったら、ここで麗華様と悟による裕也君争奪戦が行われていただろう。
だが、麗華様からは以前までの自信に満ち溢れた貫禄が、すっかり剥がれ落ちてしまっている。
麗華様も立派な乙女だったということだ。
私も裕也君には好きな人がいることを再び思い出して、若干ブルーになる。
「裕也先輩、龍宮先輩と喧嘩でもしたんですか?」
悟は白々しく首を傾げる。
こいつ事情知ってるくせに! 裕也君の傷口を抉るんじゃない!
「あはは……ちょっとね」
「……ちょっとですか」
「……うん」
ほーら裕也君落ち込んじゃった! 何考えてんだこいつは。
弱々しい笑顔で笑う裕也君からは、やはり元気が感じられない。
周りに心配を掛けないように、無理矢理笑っているようだ。
裕也君のそんな顔、見てて辛いよ。
裕也君にはいつも太陽でいて欲しいのに……。
裕也君の代わりとでも言うように、朝日が気張って空を照らしていた。




