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なぜか私は恋敵と付き合っています  作者: 多美橋歌穂
第六章
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麗華様と裕也君

「……あ」

「……」


 校門前で、麗華様とばったり出会す。


 麗華様が裕也君に振られて二日目。

 麗華様は昨日の部活も休み、裕也君を遠目に見てはいるものの、決して話し掛けようとしなかった。

 自分を振った相手と会うのが気まずいのだろう。


 だが私は少し意外だった。

 あの麗華様が一度振られただけで諦めるとは思わなかったのだ。

 私自身麗華様と親しいわけではなく、空の上の存在のように感じていたので、麗華様が好意を寄せる人間に振られた時どんな反応をするのか、わからなかった。


「……龍宮先輩、おはようございます……」

「……ん」


 が、この様子を見ると、相当のダメージを負っているようだ。裕也君からの挨拶にさえ、素っ気ない返事。


 麗華様のことだから、「は? 私のどこがいけないわけ? 私以上の女がいるっての? 連れてきなさいよ、そいつ」くらい言うと思っていた。偏見な気もするが。


 麗華様は悟と違って、裕也君の前でもそういった刺のある態度をとることがあるのだ。

 それくらい言うのかと思っていたけど……。


「……」

「……用ないなら行くから」


 あの大好きな裕也君とさえ、目を合わせない。

 以前までだったら、ここで麗華様と悟による裕也君争奪戦が行われていただろう。


 だが、麗華様からは以前までの自信に満ち溢れた貫禄が、すっかり剥がれ落ちてしまっている。

 麗華様も立派な乙女だったということだ。


 私も裕也君には好きな人がいることを再び思い出して、若干ブルーになる。


「裕也先輩、龍宮先輩と喧嘩でもしたんですか?」


 悟は白々しく首を傾げる。

 こいつ事情知ってるくせに! 裕也君の傷口を抉るんじゃない!


「あはは……ちょっとね」

「……ちょっとですか」

「……うん」


 ほーら裕也君落ち込んじゃった! 何考えてんだこいつは。


 弱々しい笑顔で笑う裕也君からは、やはり元気が感じられない。

 周りに心配を掛けないように、無理矢理笑っているようだ。


 裕也君のそんな顔、見てて辛いよ。

 裕也君にはいつも太陽でいて欲しいのに……。


 裕也君の代わりとでも言うように、朝日が気張って空を照らしていた。


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