表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なぜか私は恋敵と付き合っています  作者: 多美橋歌穂
第六章
38/102

違和感

「亘理の彼氏のチビ助じゃん、おはよ~」

「どうして三上先輩までいるんですか?」


 悟のその態度は、私に対する素っ気ない態度によく似ていた。

 思えば悟は、裕也君以外の人に対しては、よく冷めた態度を取っている。

 だから特別三上君のことだけが嫌いというわけではないのだろうが、悟の三上君を見る目は私を見る目より冷めていた。

 彼女を見る目が冷めてるってのも問題だと思うんですけどね。


 でもわかるよ悟、三上君って他人の心に土足で踏み入ってくる系男子だもんね。

 からかうのを生きがいにしてるもんね。

 きっと三上君のこのノリで、今まで嫌な思いを沢山させられてきたんだろうな……。


「たまたま通り掛かったんだよ。いいじゃんみんなで行こうぜ~、みんなで行った方が楽しいし。なあ裕也?」

「う、うーん……」


 そんな聞き方をしたら、裕也君だって断り辛いだろう。

 私と悟を気遣って断るべきだろうが、一緒に登校しようと誘ってくる友人を無下にもできない――そんな迷いが、裕也君の瞳から垣間見える。

 つまり私に「どうしようか?」とアイコンタクトを送ってくる。


 私は嫌でーす! 三上君も悟も圭介も置いて、裕也君と二人きりで行きたいでーす!


 流石に本人達の前でそんな本音は言えないので、私は適当にニコニコしておいた。


「いいんじゃない? どうせ同じ学校に行くんだから」


 どうせ三上君がいなくても悟がいるから、裕也君と二人きりという私の野望は叶わないし……。


 私の許可が出たところで、今日は三上君も一緒に学校に行くことになった。

 三上君が嫌いらしい悟から睨まれるかもと思ったが、「まあいいです」と言って、ため息を吐きながらも私の隣につく。


 ……ん? なんで私の隣? いつもなら私達二人で裕也君を挟む並びなのに……。


「……悟、なんか怒ってる?」


 三上君の同行を許した罰として、殴りやすい位置を取られた……とか? そんなことなら泣くよ?


 悟と私は、裕也君と三上君に聞こえないようにひそひそこそこそ話す。

 圭介は私の三メートル後方を歩いていた。なんだこのフォーメーション……。


「別に、怒ってませんよ」

「いや、でも悟、三上君のこと嫌いみたいだし。やっぱり一緒に行くの断った方がよかった?」

「断ったって、三上先輩なら勝手に着いてきますし。空気だと思えばいいんです、空気だと」

「あんなうるさい空気嫌だよ……」


 私がそう言うと、悟は何かを考える素振りを見せた。

 恐らく無意識だろうが、何かを決心するように、重く噛み締めた空気を静かに吸い込む。


「……仕方ないですね」

「え?」


 私の反応などどうでもいいらしい悟は、何の理解もしていない私の腕に引っ付いてきた。


 ただただ嫌な予感と妙な違和感を感じる。

 え、何、このまま私、腕折られちゃうの……?


 なんて思っていたら、違った。

 腕を折られることよりも意味不明なことを、この男は言い出した。


「優里先輩、今度の休みはどこに行きましょうか?」

「……へ?」


 変な物でも食べたのかと疑った。今更私とラブラブアピールをして、悟が得をするとは思えなかったのだ。

 どうせ私達はあと二週間もすれば、適当な理由をでっちあげて別れる。

 私も悟と別れた直後に裕也君に告白はちょっと気まずいので、今のところ告白する気は失せていた。

 勿論裕也君にはこの気持ちを伝えたいけれど、周りを取り巻く状況が悪すぎる。


 それに、裕也君には好きな子がいるのだ。

 あの麗華様を振るほど、強い想いを抱いている女の子(または男の子)が……。括弧の中だけは勘弁して欲しい……。


 だから今更私を恋人として束縛する意味がわからない。

 私の告白は阻止できたのだし、これからするタイミングだってないのだから、最初の頃のように無理矢理恋人の振りをする必要はないのでは?

 私もラブラブアピールとか勘弁して欲しいんですけど……。


「どうしたの悟、突然……」

「この間は水族館に行ったじゃないですかぁ」

「ちょっと!」


 さっきうまく誤魔化せたのに、悟が蒸し返したら意味ないじゃん!


「なんだ、やっぱり二人で水族館デートしてたんじゃん」


 三上君にからかわれることはわかっていただろうに、なぜ私と水族館に行っただなんてことをわざわざ言ってしまったのか。


「そうなんです、半年前にリニューアルした水族館あるじゃないですか? 日曜日、優里先輩と二人きりで遊びに行ったんです。楽しかったですね、優里先輩?」


 そう言って至近距離でじろりと睨まれた私は、「は、はい、楽しかったです……」と答えるのに必死だった。楽しかったんなら、もっと楽しかった顔して?


「裕也先輩聞いて下さいよ、優里先輩ったらアシカの輪投げやりたかったみたいなんです、全くお子様ですよね!」


 ええい! くっつくな鬱陶しい! 輪投げやりたかったのはお前だろうが!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ