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弟まだまだ出てこないです( ˙-˙ )
申し訳ないです。
寄り道をしたが、ようやくクラークの家に着いた。
「クラークさーん!おはよーございまーす!」
大きな声で挨拶しながら畑を見渡してクラークを探す。
「ああ、ジェシーか。おはよう。今日はどーした?」
「この間、根腐れが心配だって言ってたでしょう?大丈夫かなーって思って。」
クラークはりんごの木の側で土を触っていた。
「どーも土の様子がおかしいんだ。」
ジーンとカルロも違和感に気づいたようだ。
「最近、確かに雨は降り続けていましたが、この地の土はよく水を吸ってくれますよね。昨日から雨は止んで晴れているのに。なぜこんなにぬかるんでいるんてしょうか?」
歩くと足跡が残り、走れば転んでしまいそうだ。
「あれ?
ねー、ウチを出た時もここまで来るときも土はぬかるんでなかったよ?それに、このりんごの木の周りだけで他ははぬかるんでないよ?」
ジャネットが不思議そうに言うと、ジーンが付け足すように言った。
「土がおかしいのは、このりんごの木を囲む様に3メートルくらいだけみたいだな。」
「俺の畑でぬかるんでるのはこいつの周りだけだ。丁度2週間くらい前からこの調子でな。でも原因が分からなくて、困ってたんだが、お前らにも分からないか。」
ぱち。
首をかしげながら木に近付いていたジャネットが、急に立ち止まり自分の右手を見た。その手をグーパーして、更に左手で揉んだりしている。
「ジェシー、手、どーかしたか?」
ジャネットの奇行を見たジーンが聞いてきた。
「んー?なんか、ぴりってした気がしたんだけど。気のせいだったみたい。」
ジーンはなんとなく納得していないようだった。
「ねぇークラークさん、ぬかるみ、なくなればいいんだよね?」
「あ?ああ。なくなってくれたら嬉しいが、原因も分からんし、おい?ジェシー?」
クラークが言い終わる前に、ジャネットはしゃがみこみ両の掌をぬかるんだ土の上にぺたりとつけた。
「おいで」
じじじじじじじ
地面が揺れ、細かな振動が足を伝って全身を震わせる。クラークは立っていることができず、転ぶように地面に座った。
ジーンとカルロが慌ててジャネットに駆け寄り肩に手を置いて揺さぶる。
「ジャネット!!やり過ぎだ!!!戻すんだ!」
バキバキ!!!!
大きな亀裂音がして、ぬかるんでた地面から天に向かって水柱が何本かたった。
それと同時に地面に亀裂が幾つも走る。
そこに生えていたりんごの木からも水分を取っているようで葉が枯れ葉のように変化しだした。
「吸い取りすぎです!!根腐れどころか枯れますよ!!?戻してください!」
「ああああ!こんなに来なくていいよ!戻って!りんごが枯れるぅううう!」
ジャネットは焦って水を入れ地面の中へ押し込んでいった。
ずっどぉおおおおおおん!!!
お腹の底まで響き渡るような音がした。
「ジャネット!焦り過ぎだ!!ゆっくりだ!!!」
「りんごが食べられなくなりますよ!!集中しなさい!」
この言葉でジャネットの目の色が変わった。
「っ!!?」
強引に押し込んでいたもの、労わるように少しずつ染み渡らせる。
すーーーっと
柔らかな水の動く音がして、カラカラで亀裂の入った地面を潤し、木の根を通し葉1枚1枚に丁寧に水を送る。
余分にある水を畑全体に行き渡らせたところで、違和感に気づいた。
(ん?あれ?なんか、ん?なんか、いる?)
「クラークさん、土の中に何か飼ってるーー?」
地面に座ったまま口を開けたままぽかん、としていたクラークだったが、話しかけられて漸く正気に戻った。
「あ、ああ、いや、何も飼ってない。え
、土の中?」
りんごに釣られ、事なきを得たのを見てさすがのジーンもカルロ言葉がないようで地べたに座り込んでいた。あのまま行けばこの畑は全滅していただろう。それを、りんご.....。
会話は聞こえてはいるようだが反応する元気もなさそうだ。
「なんかいるみたい。引っ張ってみる!」
ジャネットは先程の要領で、今度は自分の魔力を媒体に水を発生させ、引っ張ろうとする。
これにはジーンもカルロも思わず顔を上げ飛び起きた。
「ジャ、どーーーーん!!!....は?」
モグラ?
「ジーン、ジャネットじゃないだろ。ジェシーだ。もう間違えんなよ。」
クラークがジーンにからかうように言った。
「あーーー、すまん。ははっ。」