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ポイント水増し行為 その2

「もっと……ポイントが欲しい……

 でももう頼める知り合いも、端末もない……」


 悩んだ彼は、あることを思いつきました。


「そうだ、ネットカフェに行こう!!

 あそこならパソコンが沢山ある!!」


「いらっしゃいませ、当店は初めてですか?」

「はい、新規でお願いします」

 彼はネットカフェの会員カードを作ると、オープンスペースを指定します。

 お客さんが込み合っていない時間を選んで……。


「よし、はじめるか」

 オープンスペースの場合、パソコンは横に沢山並んでいます。

 台数は、10台あったとします。

 ひとつの端末で、一つのアカウントを取得していけば……どうなるでしょうか。

 席を移動しても、無関心なアルバイト君は彼を注意しないでしょうね。


「よし、これでアカウントが10増えたぞ!!」

 ポイントの増加予測計算は、簡単です。

 単純に、120PTの増加です。

 正確には、120PT+αです。

 一気に叩き込めば、これだけで日間ランキング1-100には確実に食い込みます。


 初期ブーストさえしてしまえば、

 あとは勝手に、PVもブックマークも伸びます。

 試しに、トップの作品のアクセス解析をしてみるといいです。

 一日で、数万~数十万のアクセスがあります。


 自分の小説が人目に付く、たくさんの人に読んでもらえる。

 ――それがどれほど重要かは、苦労しているあなたには、

 いわなくてもわかるでしょう。


 こんなメンドクサイ事をするより、別の方法もあります。

 サイトをハッキングするとかではありません。

 ですが、不正アクセス……『電子計算機損壊等業務妨害罪』にあたりますので、

 ここでは割愛させて頂きます。


 あなたが、たった2PTを獲得するために、

 数日……いや、数ヶ月費やし、或いは犠牲にした時間を。

 彼は、1時間程度でその数十倍、数千倍以上の

 ポイントを得る機会を得たのです。


 あなたが一歩、前に歩くのに、数ヶ月。

 彼は、一瞬で、数千歩。


「そんな不正、運営が許すわけねーだろ!!」

 皆さんがそう思うのは、当然だと思います。

 ですが、そこまで詳細なアクセス解析を小説家になろうの運営が

 行なう……行なってくれると信じているあなたへ……。


 ――答えは、『(NO)』です。


 できません。

 ユーザーの事を考え、やりたくても、現実問題として不可能なのです。

 そして、それはこの『小説家になろう』のサイトだけではありません。

 ほとんどのサイト、ゲーム運営サイトなども同じです。


 通常得られるインターネット情報というものは、

 皆さんが考えているより、とても少ないのです。


 厳密に調べるには、警察を通してISPインターネット・プロバイダへの

 問い合わせが必要です。

 仮にそれを実行したとしても、ISPは受け付けてくれないでしょう。

 あたりまえですが、犯罪ではないので警察も同じです。

 鼻で笑われるだけです。


『小説家になろうのサイトが、クラッカーにサイバー攻撃を受けて、

 サーバー上のデーターが改ざん、あるいは破壊された』


 そんな訳ではないからです。

 行なわれたのは、星の数ほどあるひとつの作品に、

 『クロ』と判断できない行為で『シロ』の評価が行なわれただけ。


 それに短時間ではなく、間隔をあけながらポイントの

 水増しを行なった場合、どうなるでしょうか?

 結論からいうと、判別できない以前に、

 そんな事を調べる『余裕』がありません。

 一日何万、何十万のユーザーがこのサイトに来ると思いますか?


 さらに、どのくらいページを開くと思いますか?

 私がシステム管理者なら、サジを投げます。

 ひとつを叩いても、無限に増殖するのですから。


 システムを根本から見直さない限り、解決策はありません。


 仮に短時間でポイントを水増しした場合ならば、わかりやすいので

 みなさんがよくいう【特定する】事ができるかもしれません。


 詳細なアクセス情報……通信パケットを調べなくても、簡単なやり方として、

 小説についているアクセス解析情報と投稿日時の作品文字数をみれば、

 素人目でも「あらら……水増ししてらっしゃる……」とわかるものもあります。

 2000文字程度で、いきなり日間総合上位などに現れるので、わかりやすいです。


 ですが、その証拠は?


 慣れているずる賢い常習犯は、ばれないように、疑われないように

 ちょこちょこポイントを水増しします。


「よし、頑張ってランキング上位にいくぞ!!」

 この時点で0PTから正攻法で登っていこうと志す方と、

 不正を働いて居座り続ける方の間に、

 城壁のような高い壁が築き上げられます。


 それでも越えていくという方に、一つ言っておきます。


『丸裸のあなたの想像以上に、この城砦の壁は強固で、

 さらに自己修復機能を持った難攻不落の要塞です』


 あなたは、小説の中の都合のいいチート主人公ではありません。

 あくまで、むきだしの生身の体と心を持った、一人の人間です。


「お前は駄目な奴、才能なんか欠片もない、とっととやめちまえ」

 チート要塞からはあなたに沢山の攻撃が飛んできます。

 あなたの肉体を傷つける為ではなく、心を内部から破壊するためです。


「くそっ……次こそは……次こそは必ず!!」

 あなたは壁を破壊する為に、傷つかない為に

 心と作品を――武装していきます。

 誰かに見てもらう為のものではなく、

 もはや敵をねじ伏せるだけの、兵器として。


「どうして評価されないんだ……俺の作品はだめなのかな……」

 あなたは、いずれ力尽きます。

 数十時間、数千時間、計り知れない時間をかけて戦い続けても、

 その頂を目指した故に、あなたは力尽きるのです。


「俺は……才能がないんだ……」

 壁からの攻撃……あなたを苦しめたその攻撃は、

 すべて、あなた自身の心が生み出した幻影、

 自己否定の声なのです。


 そしてランキングという頂を目指していたあなたは


 自分が愛した作品を捨て、


 心を――筆を折る事になるのです。



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― 新着の感想 ―
[一言] 思うんですが、不正ポイントを減らそうと思ったら 1.小説の投稿や閲覧、感想欄や作者様へのメッセージは無料のまま、『ポイントをつける』という行為を有料にする。(1Pにつき100円とか…) …
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