最悪の世界に召喚された俺
「よくきた勇者ど…あれ?」
「あれじゃねえよ。」
「けど魔力…あれ?」
「かわいいから許すのは変態だけだぞ。」
「あれ?」
「だから教えろ。ここはどこでアンタは誰だ。」
…俺の名は尋田孝太。まあ軽く言うとヤンキーの高二だ。変わったとこといやぁ髪の色が生まれつき白いくらいだ。学校サボってパチンコしてたらセンコーに見つかってヤバいとおもいランニングしたら変な部屋に移動して、で美女が目の前に現れた…なに言ってるの俺、中二病こじらせたかな~と思ってたらさっきの会話。あれ?じゃねえよ。こっちがあれ?だわ。
その美女は今ジジイと会話中ですわ。なにこの放置プレイ。俺の親父だったら興奮するよ?とまあ冗談どころじゃない。とりあえずその美女に話しかけてみた。
「なー、そこのかわい子さん。」
「かわい…なんだ。あと私はルナ・フレアだ。」
「じゃルナ。ここどこ。」
「ここはあなたの住んでいたところとは違う世界。」
「つまり俺って特別?勇者として魔王たおせー的な。」
こう聞くとルナは少しためらうとこう言った。
「私が手違いで召喚してしまった勇者…ただの一般人。魔力も特別な力も持たない…本当に、ただの人間だ。」
「…は?」
…は?
「ルナさん。落ち着こう。え?一般人召喚したの?」
「…テヘッ☆」
「殺すぞ!誰がそんなんで許すか!そんな世界だったらポリスメンいらんわ!」
「おっかしーな、この本通りにやったんだけどなー。な、爺や。」
「そうだねー。おれっちもさっぱりわかんねーよ。」
「ジジイ軽すぎだろ!見た目と言動合わせろや!あとその本!なんだ『馬鹿でもわかる勇者召喚』って!なめてんのか!そんな本でやんなよ!古文書とか使えよ!」
「まあまあ、落ち着け。アイスあるよ?」
「バカにしてんだろジジイ!」
「…というわけでそなたには魔王を倒しに行って来てもらう。」
「殺す気か!あとどういうわけだ!」
「そうだ!門番と戦わせて勝てたら勇者ってことにしよう!」
「あんた思いつきでしゃべってるだろ!」
まあ、元の世界に帰るには魔王の持ってる『次元のドアノブ』がいるらしいし行かにゃならんのだが…ってこのアイテム名前ダサッ!…門番でけぇんです。五メートルって人間じゃないよね。なんでも改造人間らしい。
「はーい。はじめー。」というジジイの適当な合図で始まった、くそ試験。俺は門番の攻撃をよけるのに必死だ。斧をぶん回しているので、かなり範囲ひれー。
「勇者ー頑張るんだ~私の信用を取り戻せ―」
「うるせーわががまま女王!」
ポケットに変な感触を覚えた俺はそれを手に取る。
「…メリケンサック…」
ないよりましなのでそれをつけて門番殴る。すると…
「うごっ!」
門番が、吹っ飛んだ。
そこまで強く殴ってないが、かなりの勢いで吹っ飛んだ。
全員が目を丸くしてる。そりゃそうだ。あんな巨体吹っ飛ぶと思わねぇもん。が空気を読まずジジイが叫びながら走ってきた。
「女王!真の勇者の召喚に成功…んテメ、門番を…」
「待てや…召喚できるんじゃねーか!何でおれ召喚したんだよ!」
「いやー、供え物んとこよく見たら、チョコレートが抜けてて…」
「なめてんのか!そんなんで釣れる勇者ってどんなだよ!」
「私だ。」
澄んだ声だった。
緋色の瞳、綺麗なポニーテールの黒髪、腰に下げた剣。
美しい少女だった。
「んな…」
「ご苦労だったな、偽勇者くん♪」
「お前みたいなかわいいやつが勇者…?」
「なっ、かかかかかわいいだと?そそそそそんな言葉に惑わされないわよ!」
動揺しすぎだろ…
それからルナや五大老と言われるジジイどもの会議が開かれ、俺と彼女…姫咲なのはの処遇が言い渡された。
『姫咲なのはを勇者とし、尋田孝太はその同行者とする。』
「この性悪女を勇者に…」
「性悪で悪かったね。」
俺は…はたして帰れんのか?