聖夜にショコラは甘すぎて
『聖夜にショコラは甘すぎて』
我が結川家は、パパとママそして二人の妹と長女の私との五人家族だ。
「いっちゅーちゃんのお誕生会はどうしよっか? パパはお休みを取ってくれたし、花梨ちゃんとまほろちゃんも大丈夫よね?」
本人は肝っ玉母ちゃんだと言い張り、たまに怪しげな関西弁を使う母だが、彼女はどこからどう見てもフワフワで甘々な天然女性で、三人姉妹の母とは思えない。
「やったー! パパとママとお姉ちゃんたちとパーティーだ」
「じゃあ、私が歌って踊って盛り上げるね。あっ、チキンが食べたいなら捕まえに行くよ。クリスマスも近いしね」
無邪気に喜ぶ三姉妹の末っ子いっちゅーは、間違いなく母親似。アイドルの真似が様になる次女の花梨も、時々ずれた発言をし出すので確実に母に似ている。
ここまで説明して、一体私が何を言いたいかというと、つまり私の家族はめちゃくちゃ可愛い。大事なことなので何度も言うがラブリー、キュート、とにかくめちゃくちゃ可愛いのだ。
「ママがたくさんご馳走を用意しちゃうからね!」
「わーい。ママの手料理! あっ、あとみんなでチョコレートケーキ食べたいなぁ」
末っ子の希望に、みんなはどこのケーキが最も美味しいかの検討に入る。もちろん私も知りうる限りの情報を頭から引っ張り出して考えていた。
「どうしよっか? パパがお休みなら、車で買いに行けるよね。ねっ、いいでしょう。ドライブ、ドライブ!」
土曜日が休みの花梨は、父の腕にぶらさがりおねだりしている。そうすれば、すぐさま母といっちゅーも加わって家族団子が出来上がった。
「ドライブー、ドライブー」
「わかった、わかった」
目尻を下げてデレデレした父の顔は、私にしか見えていない。父は、はたから見ればいわゆるイケメン、ちょい悪オヤジと言われる見た目をしている。けれど、その実体は私と同じく可愛い家族を愛でる者だ。
「まほろお姉ちゃんも行くでしょ」
「もち――いや、私はその日は休日出勤だから」
可愛らしい妹の誘いを断るはずがない。そう口にしかけた私だが、ふと良い考えを思い付いてしまった。
「えっ~、まほろお姉ちゃんは相変わらずクールなんだもんな~」
「本当、そうだよ。今だって、くっついていないしっ」
可愛い家族が戯れている様子を見ていたいからとは言えず、いつも曖昧な表情を浮かべる私は家族から見るとクールでミステリアスという風になるらしい。ちなみに嫌われているわけではないし、カメラ係にもなれるため私はこの立ち位置を気に入っている。
「ドライブに行かないかわりに、いっちゅーが喜ぶプレゼント用意しておくから」
「約束だよ~」
「もちろん」
私はいっちゅーの期待に満ち溢れた笑顔を心のアルバムに収めてから、二人の人物にメールを送った。
To お父さん
Sub 誕生日のこと
いっちゅーの誕生日、ドライブだけを楽しんで来て!
ケーキは私がサプライズで用意しておくから。
みんなが驚く顔、見たいでしょ?
可愛いよ。
To 相馬くん
Sub お願い
クリスマスのことで話したいことがあるから、明日ちょっといいかな?
手早く送った二通のメールは、どちらもすぐに了解の旨が返ってきた。
***
お母さんが毎朝時間を掛けて手作りしてくれているお弁当を広げて、私はメールで約束した通り隣の席に座る後輩に声を掛けた。
本当は、一口一口家族の顔を思い出しながら噛みしめたいところだが、今回は可愛い妹のためなので仕方がない。
「相馬くん、メールのことなんだけどね」
「結川さんもパーティーに参加しますか? それとも――」
「あっ、違う、違うの。聞きたいのは、ケーキのことなの」
彼が言っているのは、会社の有志で行うクリスマスパーティーのことで、私は家族と過ごすと決めているため不参加を表明している。私が相馬くんの勘違いを慌てて否定したのは、気が利いて柔和で優しい相馬くんを狙っている女性たちに睨まれるのが怖いからだ。
「ケーキですか?」
「そう、ケーキ。相馬くん、クリスマス会でケーキ係に任命されていたでしょう。みんながすごい期待できるって騒いでいたからきっと、詳しいのかと思って。実は私、急にケーキを用意しなくちゃいけなくなってね」
訝しげな顔をする後輩に、私はお願いの内容をぼやかしながら伝える。家族のためというのを伏せたのは、以前に家族のことを熱く語ってしまい馬鹿にされたことがあったからだ。私がマザコン、ファザコン、シスコンと言われるのは構わないが、家族のことをからかわれるのは許せない。それなら、はじめから話さない方がいい。だから、私は会社では意図的にクールなキャラを装っている。
「へぇ、ケーキを用意しなくちゃいけなくなったんですか……。彼氏ですか?」
「えっと、違う、かな~」
家族を愛でるのに忙しい私は、彼氏という存在にはあまり縁がない。付き合ったとしても、家族優先で行動する私はいつも振られてしまうのだ。碌な経験もないのに、彼氏がいると嘘を付くのも憚られ、私は目を泳がせながら一応否定の言葉を口にする。
「そうですか。なら、一緒に作ります? 僕、手作りするんです」
「て、手作り!」
自慢じゃないが、私は料理が苦手だ。母親の美味しい手料理が毎日食べられるのだから、料理のスキルを上げる必要があるだろうか、いやないだろう。
これは、リサーチ相手を間違えてしまったと私はケーキの情報を諦めることにした。
「相馬くん、私はちょっと無理かな」
「えっ、そんな凝ったお弁当作れるなら簡単ですよ。それに、手作りケーキ、貰ったら喜ばれますよ」
「よ、喜ばれる……」
いっちゅーを筆頭に、母や花梨が喜ぶ顔が目に浮かび私の心は大きく揺れる。しかし、問題は作れるかどうかだ。
「本当に、簡単?」
「えぇ、そんな(・・・)お弁当が(・)作れる(・・・)結川さんなら簡単ですよ」
「じゃあ、お願いしてもいい?」
私は、簡単という言葉だけを信じて相馬くんの提案を受け入れた。手作りと言ってケーキを出したら、みんなどんな顔をするだろうか。私はスマホの待ち受けにしている家族写真を眺めて想像する。そうすれば、にやにやは止まらず私はいつもよりも急いでお弁当を平らげ化粧室に閉じこもらなくてはいけなくなった。
「あれ、お姉ちゃん会社に行くんじゃないの? どこ、行くの、どこ行くの?」
いっちゅーの誕生日当日。
肩にリボンのついたオフショルダーのトップスから出る腕と、デニムのショートパンツから伸びる足が眩しい花梨は目ざとく私がスーツではないことを咎めた。
「もしかして、まほろちゃんデート?」
赤いチェックのマキシ丈ワンピに白のニットカーディガンを合わせ服装からも柔らかな空気を放っている母がのほほんと尋ねてきて、私は自分の失敗を悟った。
「えっ~、まほろお姉ちゃん、私の誕生日にデートなの~」
本日の主役らしく、アンティーク調のレースをたっぷりとあしらったワンピースを着込んだいっちゅーが口を尖らせる様は愛らしすぎて私は思わず膝をついてしまう。少し上を見上げれば、パニエによって膨らんだいっちゅーのスカートが揺れて見えて、人はこれをラッキースケベと呼ぶのかと一人感心してしまった。
「違う、違うよ。私が愛しているのは――」
「まぁ、いいじゃないか。さやに花梨にいっちゅー姫様たちは俺がしっかりエスコートするからさ」
事情を知っている癖に、良い役どころを取ろうとしている父親は憎いがこれもすべてはケーキを喜んでもらうため。少しの誤解は後からご褒美に変わると、私はこの場を立ち去る決意をした。
「ごめん、みんな!」
言い訳をしても、今日の夜にはすべて明らかになるのだから必要ないと私は荷物を抱えて家を飛び出す。こうなったら、ものすごいケーキを作るしかない。
私はこうして、決意も新たに後輩である相馬くんの家へと乗り込んだ。
***
スポンジから焦げた臭い、分離したチョコ、口に入れると生っぽい。これが、私の作ったチョコレートケーキだった。
「これは……ものすごいな」
ある意味決意通りの物を作り上げた訳だが、これを家族に持って行けるわけがない。
「簡単って、言ったのに」
恨みがましく教えてくれた相馬くんを見れば、ため息が返される。
「簡単ですよ。あんなに凝って美味しそうなお弁当が作れた(・・・)なら」
「あ、あれは……」
自分で作っていると言ったことはない。けれど、積極的に母親が作ってくれた物だとも言ったことはない。故にみんなは私が料理上手だと勘違いしたのだろう。私は、今からこの後輩に真実を告げるべきか悩んでしまう。
「…………」
沈黙がしばらく続いた後、先に俺たのは相馬くんだった。
「すみません、意地悪を言いました。クリスマス会を必死で断ってくるから、ちょっと苛めたかったんです。結川さん、不器用なくせに家族へケーキをプレゼントしたいんですよね」
「不器用なくせにって……んっ、それより、どうして家族って!」
失礼な言い方を怒るべきだったのだが、私はそれどころではない。
「僕は隣の席なんで、家族写真を見ながらにやついている結川さんをよく見ますし、お弁当の時もママの玉子焼き最高とか小さな声でいつも感想を言っていますよ。いつもは、お母さんって言っているのに変だなと思っていたんです。あっ、あと、妹さんたちのプリクラを手帳に貼って疲れているとき眺めていますよね。それに――」
「あっー、もういい。言わなくていいから、止めて!」
我慢を重ねて隠してきたものが見透かされていたことを知って、私は大声を出してしまう。これは、大失態だ。よりにもよって、後輩に知られたとなると馬鹿にされるのは必至だろう。週明けから、仕事に行くのが辛くなってしまった。
「はぁ……」
「もしかして、俺が馬鹿にするとか思っています?」
「えっ、しないの?」
荷物をまとめ掛けていた手を止めて、私は少し驚いてしまう。陰ではお局様と呼ばれる年頃にも差しかかった私を笑う材料としては十分だし、これからクリスマス会や忘年会など話をするには絶好の場が待ち構えているのだから、話さないというのを信じるのは無理だろう。
「別に家族愛を笑う必要なんてありませんから。でも」
「でも?」
安心しかけたところに罠があるらしく、意地悪い表情が向けられる。
「ケーキ作りがすっごく下手なのは馬鹿にします。そして、ここに来たからには正しくものすごいケーキを作って帰ってもらいます」
「へっ、ケーキ?」
間抜けな顔で繰り返してしまった私だが、相馬くんが気を遣ってくれたのだと理解した。何より、ケーキは捨てがたい。
「わかった、私だって妹たちの喜ぶ顔のために頑張る」
「その言葉、忘れないでくださいね」
そして私は後悔する。どうして、ケーキを買うという選択肢を選ばなかったのかということを……。
***
「朝だ……」
スマホがチカチカ光っているのが見えたが、私はそれを確認する気にはなれなかった。
ボウルで卵白を泡立てる。卵は直前まで冷やしていた方が泡立ちやすい。ついでにボウルには水分、油分は厳禁です。
眠気を堪えていると、何度も聞かされたケーキ作りの工程が聞こえてくる気がした。
「早く、帰らないと……」
「ようやく合格点ですね。できたら、できたですぐに帰るというのはただ利用されただけのようで悔しいですが、送ります」
偉そうな後輩にもすっかり慣れてしまった私は、明るくなってしまった空を見上げてその眩しさに目を細める。空に浮かぶ雲は、フワフワに出来上がったメレンゲのようだ。
「卵黄に薄力粉……さっくり切るように混ぜなくちゃ。絶対に練ってはいけない。型に入れたら高い位置から四~五回落として空気を抜く」
注意事項を呟きながら、車の助手席に座る。うとうとしている間に、エアコンによって車内が温められて私は焼きあがったスポンジケーキの夢を見た。
「結川さん、着きましたよ。起きてください」
「扱いは慎重かつ大胆にして!」
揺さぶられた私は、自分がスポンジケーキだと思い込んでいるため意味のわからない文句を付ける。
「はいはい、起きてくださーい」
今度はゆっくり優しく扱われた気がして、私――いやスポンジケーキは夢で三枚にスライスされた。
あとは温かくて、甘いチョコレートを何回も塗り重ねるだけ。
何回も、何回も重ねられる感覚が続きケーキが出来上がる。
「んっー、んっ? 完成!」
はっと目を覚ますと、目の前には相馬くんがいた。
「あれ、なんかチョコレートを塗られていたような感覚……気のせいか。あっ、家に着いてる! ありがとう」
白い箱に入ったケーキを抱え、私は車を降りる。早く家族にケーキを届けたいが、迷惑を掛けた後輩に礼を忘れてはいけない。
「あっ、お姉ちゃん朝帰り!」
「花梨、変なこと言わないで。相馬くん、本当にありがとう。また、会社でね」
タイミングがいいのか悪いのか、花梨が玄関から顔を覗かせてニヤニヤしている。その様子は可愛いが、騒がれたのは面倒で、可愛さあまって憎さ百倍だ。
「まほろ、メールも電話も出ずに今まで何をしていたんだ!」
珍しく大声を出した父に、私は目を丸くしてしまう。いっちゅーや花梨が外泊すれば、それは心配するだろうが私なら怒られることもないだろうと思っていたからだ。
くどくどと語られるお叱りの言葉を受けながら、私はしおらしく俯く。結果として、相馬くんの家に泊まったのは事実なので言い訳はできないし、これを可愛い妹たちが真似したら困るからだ。
「私の誕生日を忘れて、彼氏と遊んでいたんだから怒られても仕方がないよ」
「へへっ、お姉ちゃん起こられてる~。リア充爆発しろ」
「彼氏と遊んでなんていないよ、誤解だよ!」
可愛い妹二人に責められて、私は大きく手を振り否定する。そうすれば、ケーキの入った箱を持っていることを思い出した。
「あっ、これ!」
「何、何~?」
「おみやげ?」
みんなの意識がケーキに集まり、私はようやく父親の説教から解放された。
「すごーい」
「チョコレートケーキだぁ」
「まぁね、お姉ちゃんが作ったのよ。いっちゅーへの誕生日プレゼント」
キラキラと目を輝かせる家族の顔は、想像以上。私は寝不足もお説教もすべて忘れて、気付けばみんなにケーキを切り分け、食べている様子を写真に収めていた。
「本当に彼氏じゃないんだな」
スマホの待ち受けを変えていると、一緒に撮影を楽しんでいた父親が隣に現れる。妹たちに悪影響を与えないか心配なのはわかるが、少ししつこい。
「うん、違うよ。ケーキを作るの、手伝ってくれたんだよ。もしみんなが望んだら、クリスマスケーキも助けてくれるって言ってた良い子だよ」
なるべく刺激しないように、私は言葉を選んで会話する。この幸せな一時を壊されるなんて、まっぴらごめんだ。
「クリスマスケーキは注文だ! 俺が買ってくる」
「あっ、私が褒められたから妬いてるんでしょ。クリスマスだって、私が頑張ってもいいんだよー」
教えるのを頑張るのは相馬くんだけどと心の中で舌を出せば、父は見透かしたように私の案を却下してきた。
「ダメだ。人様に習っていて、また遅刻したら困るだろう。みんな、悲しむぞ。それに、俺は二段重ねのケーキを買ってこよう。喜ぶぞー」
「二段重ね! ケーキ入刀してもいいね」
金に物を言わせた父親の提案は魅力的で、私はすぐに飛び付いた。
「あっ、二人で楽しそうにしてずるい。お母さんも入れてー。ほら、花梨もいっちゅーも来なさい」
「「は~い」」
ぎゅうぎゅうと重なる家族は、はたから見れば馬鹿みたいにも見えるかもしれないが、我が結川家はこれが普通で、そしてみんな幸せなのだ。
こうして、私たちは笑顔でいっちゅーの誕生日を終えた。
***
十二月二十四日
「はい、これ。クリスマスプレゼント」
私は毎年悩みに悩んで購入するクリスマスプレゼントをそれぞれに手渡した。ボーナスを家族のために使う、それこそが私の楽しみだ。
お母さんにはナイトスチーマーとクッション型のマッサージ機、いつまでも若く可愛らしいままでいて欲しいという願いを込めてみた。
花梨にはそれだけでも可愛いのに、花梨が持つと超絶ラブリーなクリスマスコフレを数種類。
そして、いっちゅーには誕生日プレゼントも兼ねてネズミの国の一泊二日宿泊付きチケットを用意した。チケットはペア、友達や彼氏と行ってもいいが……。
「ありがとう、お姉ちゃん! 一緒に行ってくれるよね?」
おっーほっほっほっ、やっぱりね、私の一人勝ち。マイエンジェルは、私に上目遣いでお願いという最高のプレゼントをくれました!
「もちろん、私でいいの?」
「うん!」
幸せを噛み締めていると、その様子を楽しそうに見つめている人がいた。
「あっ、お父さんには可愛い妻と娘と過ごす時間プライスレスってことで」
手抜きと言う人もいるだろうが、一にとっては本当に最高のプレゼントのため毎年苦情はこない。
プレゼントを前にキャッキャッとはしゃぐ家族を見て、私と父は目を細める。
「あぁ、幸せだなぁ」
「うん、幸せ」
そうして、それをつまみに私たちはワインボトルを次々開けた。途中、母と妹たちも飲み始め、ほろ酔いの姿がまた良かったことは言うまでもない。
「私も幸せよ」
「私も、私も」
「もちろん、私も~」
誰もが幸せを口にする結川家。改めて言おう私は、こんな素晴らしい家族に囲まれてとっても幸せだ。
Mary Christmas
…………end?
***
結川家のリビングでみんなが酔い潰れて眠る中、クリスマスのイルミネーションのようにスマホのディスプレイが鮮やかに光る。
「もしもし。ケーキどうしますか? 僕、美味しい物を作ったんです。甘い、ショコラのケーキですよ」
「Mary Christmas ケーキ青年。この前のケーキはとても美味しかったよ。君のおかげで、娘の手作りケーキを食べることができた」
「は、はぁ……」
母と娘を起こさないように配慮された声で、ひっそりと電話が続けられる。
「ショコラは甘いよな」
「まぁ、そうですが……。あ、あの、あなたは?」
「なら、今回はせっかくのお誘いだが丁重にお断りさせて頂くよ。うちの娘にショコラのような甘い聖夜はまだ早すぎるからね――プチッ」
軽いタッチで電話は切られ、ご丁寧に着信履歴も消されていく。
「我が家の妻と三人の娘は可愛くて、可愛くて……守るのが大変だよ。甘い家族とのひと時は、まだしばらく俺だけの特権でいいな。何がショコラだ、百年早い!」
買ってきたケーキをパクリと食べて、一家の長は愛しい家族をみつめて笑みを浮かべた。
Mary Christmas!