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第四話 二日【後編】

よろしくお願いします。

コンコン

「ニルヴァ公爵家侍従長クレア・エルドラドです。」


「あぁ、聞いておる。入って来たまえ。」

ガチャ


中に入るとそこはきれいに清掃された城内と違い廃館間際の図書館の様だった。

本はうず高く積まれてるし、ずいぶんと埃っぽい部屋だな。

それににしても返事が妙に高い声だったな…


「それが噂の魔王かえ?」


あれ?声が聞こえるのに姿が見えない…?


「どこ見とるんじゃ。下じゃ、下。」


奥の本の山の影から顔を覗かせていたのは十歳前後に見える幼い少女だった。


「わしが魔術院の院長、アレイスター・パルケマイヤじゃ。パルでよいぞ。」

ちっさ…必死で積み上げた本の上に立ってるけどその足下はおぼつかない。

てかホントに院長なのか?


「どうも…」


「疑うのにも無理はないな。わしもこの姿でこんなに生きるとは思ってもみんかったからのぅ…そうじゃ、お主を召喚したラスヴァイン・ストラ・ニルヴァお嬢様も80を超えていたがそうは見えなかったじゃろ?」

そういやそうだな…

てか80超えてたのかあの美人!?


「魔力が高いと魔力線を始めて開いた年から成長が遅くなるのじゃ。わしは早い時期に開けられ、魔力も多かったためこの見た目で250年近くも生きておる。お主もこれからわかる魔力次第で成長が遅くなるかもしれんの。」

見えねぇ…

246年でこの見た目ってどんだけ遅いんだ、もしくはどんだけ小さい時に魔力線って奴を開いたんだ?



「まぁ、よい。後で詳しく教えるわ。それにしても久しぶりじゃな、クレア。お主が学生じゃったのは何年前「殺しますよ」

わかったわかった、ところで結婚相手は「死にたいんですか?」

そう殺気を振りまくな。初等部の頃は『いんちょさん、遊ぼ!遊ぼ!』って「やめて下さい!」

あの頃は本当に可愛かったのにのぅ…」

クレアさんが氷の視線でパルさんを見ている…

怖え…


「全く…だから院長は…本当ならムーランティ団長に頼もうと思ってたのに…」

心底悔しそうに落胆するクレアさんが段々かわいそうになってきた。



「まぁ、クレアで遊ぶのもこのくらいにしておくかの。噂の小僧、はよ準備せえ。まずは魔力線の開放からじゃ。痛いから覚悟しとけ?」



「え?ちょっ!」

ガシッ


右手をパルさんに両手ではさみこまれる。

手のひらと甲の両側からなんか尖ったものが押し付けられてる感覚だ。


意識を集中すると俺の肌を押してる訳じゃないのがわかる。

俺の皮膚と一体化していた膜を内側に引き剥がすかのような感覚。


そしてその膜が段々と反発力を増してきて、ピンと張り詰めた後…


パンっ!


「うぬっ!なんじゃこれは!?」


俺の中から何かが出て行く…

だがすぐに収まる。



「あの…どうかしたんですか?」



「どうかしたかどころではないわ!お主いったい何者じゃ!!なんじゃこの魔力量!私より多いではないか!」


そんなに俺の魔力量って多いのか…


「えっ?てか、魔力線は?」


「あっ、あぁ…お前の魔力線は…?

どれどれ…嘘じゃろ!?今度は逆に小さ過ぎて驚くわっ!」

なんかこっちはあり得ないほど悪いらしいな。


「もう、驚き過ぎて声が出ませんね…」



「…とりあえず魔力の適正を調べてから話すのじゃ。ほら手を出せい。」



ーーーーーーーーー



「此奴はいったいなんなのじゃ…」

「私も理解が追いつきません…」



「えっと…詳しい説明を…」

検査を終えてから随分と長い間、呆然としてつぶやきを漏らすのを観察してから聞いてみる。



「結果から話せばお前ほどおかしい奴はおらん。魔力量はわし以上、魔力線は針の先程度、適正は全属性じゃ。

例えるなら…そうじゃのう。

ものすごい大きなタンクを持ち蛇口もたくさんあるが、その蛇口がとても狭いみたいなことじゃ。」

ほう…で、どうゆうこと?


「まぁ、魔術は無理じゃな。時間がかかり過ぎて実際には使えん。」


がっくし。

俺の夢が…火の玉が…


「そう落ち込むで無い。身体を強化する身体強化なら使えるわ。

と言うかむしろ時間はかかるが身体強化の伸びしろは果てしないぞ…」



でもなぁ…手から炎とか、水とか出したかったなぁ…



「とりあえず今日はこれで我慢せぇ…明日はもっとしっかり教えるわ。朝から演習場を押さえて置くから準備してこい!」



「あ、あぁ…」



「返事ははいじゃろ!」



「はい!」



「じゃあ今日はこの辺で部屋に戻りましょうか。エルナード様、戻りますよ。」




こうして俺の激動の日々が始まったのだった。

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