ハズレスキル『髪質変化』で追放された上、髪の神様に「ハゲにすんぞ」と脅される
異世界に召喚される、なんて出来事あったらさ。
やっぱりさ、なんていうか……こう……期待しちゃうじゃん?
すっげぇチート能力得たりとかさ。可愛い女の子にモテちゃったりとかさ?
しかも、この世界。剣と魔法の世界で、スキルなんてものもある。
異世界から来た人たちは特にすごいスキルを得ることがあるとかなんとかで、周囲が期待してたわけだ。俺も期待してたわけだ。
で、鑑定された結果――髪質変化。
ん?
ってなるよな? 俺もなったし、周囲もなった。
でだ……放逐された。
俺を召喚した偉そうな神官たちは、もっと強くて役立つスキルを持った他の召喚者たちだけを連れて行き、俺は建物から放り出した。
ほんの選別代わりなのか、たった一枚のコインだけ渡して。
ひどくね?
勝手に召喚しておいて、そのスキルが……たしかに俺も「なんでこんなスキルなんだよ」というものであったとしてもだ。あまりにも不条理ってもんだろう?
しかも、呆然としていたらそのコインすら、目の前の奴らに取られそうになっている。
ちくしょうなんで、こんな目に。
「うだうだうるせーんだよ」
なんて思っていたら、頭の上から声が聞こえた。
ならずものたちも唖然としている。
「か、髪が喋ったっ?」
なんてことを叫ぶので、何いってんだコイツら、と思った。思ったんだが、
「俺様に喧嘩売ろうなんざ、100年はえーってんだ。人間風情が」
また頭の上から声がしたかと思えば、どこからともなく伸びた糸束――なんか俺の髪に似てる気がする――が、ならず者たちを縛り上げ、俺のコインとともに、奴らの有り金を奪った。
「ちっ。しけてやがる。じゃあ、有り髪全部いただくぜ」
と、また声がしてその糸束――やっぱりこれ、糸じゃなくて髪じゃないか?――が、男たちの頭を覆って……髪を食べた。
むしゃむしゃと。
あっという間に、男たちはきれいなはげ頭になった。
「か、髪が……俺の髪がっ!」
「ぺっぺっ! まっず。お前ら、ろくに手入れしてねーだけでなく、不養生してんだろ。早死するぞ?」
「かあちゃーん。俺の、髪があああ」
阿鼻叫喚になっているのを、呆然と眺めていたら、糸束が視界から消えた。
そしてやっぱり頭上から声がするので、恐る恐る触れてみると、頭の上には髪しかない。
「おいおい、勝手に触れるなよ。
俺はカミサマだぜ?
せめて触れるなら手を綺麗にして椿油もってこい。櫛は木製な。静電気たてんなよ?」
俺は呆然とした。
どうやら俺のスキル、髪質変化とは……髪に神質を与えることだったらしい?
「え? 何そのスキル」
「は? 文句言うならお前の頭から去ってハゲにすんぞ」
「すんません! いてください」
うるさいカミサマと、そんなカミサマに去られると禿になってしまう恐怖と戦う。
そんな俺の物語。
「……いや、誰が読むんだよそんな話」
……昔のわけのわからないネタ帳から発掘したのを書きました……なんだこれ(笑)




