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◆絶滅寸前の人間は、魔族の友達に会いに行く  作者: 駄文職人


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5/15

人間種の村

明けましておめでとうございます。

本年も駄文職人をよろしくお願いします。

 ラスラに手を引かれてヴィーネは低くなった神獣の背にまたがった。麒麟の体は温かく、魔力が緩やかに脈打っているのがわかる。

 小柄なラスラの方が前に乗り、ヴィーネはラスラの腰に手を回す形になった。


「太ももしっかりしめろよ、鞍がないから尻に来るぞ」


 森神様の脚が動いた。まるで風に抱かれるような軽やかさで、木々の間を滑るように駆け抜けていく。


 風に乗る移動は快適だった。これから人間種の村に行くのだという不安が吹き飛ぶようであった。当然だが、神獣相手に襲撃しようという魔物などいる訳がない。確かにこれ以上ない送迎馬車である。


 やがて森の木々が途切れ、小さな集落が姿を現した。 素朴な木造の家々と段々畑が、柔らかな陽に包まれている。


 村の入り口で森神様が足を止めると、ラスラがひょいと飛び降りた。


「サンキュー、森神様。帰りもお願いな!」

『分かった分かった』


 ラスラが悪びれもなくお願いする横で、ヴィーネは丁寧に一礼した。


「ありがとうございました!」


 鼻を鳴らした神獣は風と共に姿を消す。

 そのまま村に入るのかと思えば、ラスラが川沿いへと足を向けた。


「ちょっと待ってて。今朝仕掛けといた罠、見てくる」


 村に引き込んだ水の澄んだ小川だった。ラスラがしげみを掻き分け、重そうな水瓶を持ち上げる。


「手伝うわ」

「いや、いいよ。スライムだから」


 ギョッとヴィーネは手を引っ込めた。


 よっこいしょと地面に下ろした水瓶の中には、みっちりとスライムが詰まって水に浸っていた。大小合わせて十は超えるだろうか。


 スライムは強酸を吐く魔物だ。水の中に入れているのは酸が飛ばないようにか。


「腐った肉を入れて返しのついた蓋しておくと勝手に中に入るんだ。最近ちょっと増えてるっぽいから、どれぐらい増えてるか調べてたんだけど……」

「いや多くない!?」

「多いなぁ。半日で一杯になるとは思わなかった。じいちゃんに報告しなきゃ」


 ラスラの目から見てもこの量は異常らしい。


 しっかりと木蓋をした水瓶を両手で抱え、ラスラは村で一番大きな家へヴィーネを連れて行った。


 ノックもせずに中に入り、扉のそばに水瓶を置く。そして暖炉の前でうたた寝していた老年の男に「じいちゃん、来たぞ!」と耳元で大声で呼び立てた。


「ちょっと、ラスラ!」

「仕方ないだろ、耳が遠いからこうしないと気付かないんだよ」


 言葉通りにのっそりと顔を上げた長老は「おぉ? ラスラかの」と言うのみでラスラの無作法には触れなかった。


「じいちゃん、ほら客だぞ」

「客……?」

「もー! 昨日話しただろ! しょーだんだよしょーだん!」


 長老の眠そうに緩んだ目がじっとヴィーネを見つめる。


 しわの奥に理知的な光が灯るのがかすかに見えた。ヴィーネは緊張した面持ちで胸に片手を当て、「お初お目にかかります」と魔族式のお辞儀をした。


「シュバリエ家の名を王より賜りましたアルチュールの孫娘、ヴィーネと申します。古と戒めの血族を治める御方にお会いできて光栄です」


 長老は少し驚いたように瞠目したが、すぐに目尻のしわをくしゃくしゃにしてお辞儀を返す。


「これはこれは、ご丁寧にありがとうございます魔族のお嬢さん。なにぶん田舎暮らしが長いもので、礼儀を知りませぬ。儂のことはただの長老とお呼びください。村の皆もそう呼びますのでな。ラスラ、ジェイクを呼んでおいで。倉庫番がいた方がよかろう」

「あいよ」


 待っている間に長老はヴィーネに居間のテーブルを勧めた。外からの来客がほとんどないためか、応接室などというものはないらしい。


 思いがけず二人きりにされて、ヴィーネは緊張に背筋を伸ばす。


「あ、あの」

「楽にしてくだされ。質素な村ゆえあまり大したおもてなしはできませんが」


 魔族の目を避けて隠れ住む人間種だから警戒心も相当であろうというヴィーネの予想に反して、長老の表情は柔和そのものだった。


 つい一世紀前まで互いを憎み合って戦争していたはずの相手は、憎悪の一切を捨て去って生活していたと誰が信じるだろう。尖った耳、黄金の瞳、魔族と一目見て分かるはずの自分を見てもニコニコ笑っている。


 魔族の学校の教科書には人間種について「忌むべき種族」「脆弱な旧人類」と敵意を込めて記述されているというのに。


「ラスラが貴女に大変お世話になったようで」

「とんでもない!」


 むしろ逆だ。自分がラスラに助けられたのだ。

 だが長老はゆるりと首を振った。


「この村にはあの子と同年代の子どもがおりませんでな。大人ばかりを見て育ったからか、ラスラは無茶ばかりするが昔から聞き分けは良い方でした。ふた親がいないから、甘え方が分からなかったのやもしれませぬ」

「えっ」


 父親は村の外に出たとは聞いていたが、母親の話は一言も聞いたことはない。


 母親が死んで、さらに父親が村の外へ出て行ったとするならば……「まだ生きてるなら一発殴りたい」と言い切った彼の心境はいかばかりか。


 長老はとても嬉しそうに顔を綻ばせた。


「しかしながら、先日狩りから帰ってきたと思えばあの子は面白い人に会ったと咳切って報告してくれましてな。貴女と一緒にショーバイをするのだとそれはそれは嬉しそうに話をするのですよ。あの子の笑顔を見て、あぁこれは良い縁を得たのだなと」


 長老はしわくちゃの両手でヴィーネのそれを包んだ。じわりと温もりが伝わる。


「あの子の滅多に言わないわがままです。こたびの件、我々からもどうぞお願いしたい」

「顔を上げてください! お願いに来たのは私の方なのに……。あの、いま我々とおっしゃいましたか?」

「みなに協力してほしいと、ラスラが一軒一軒頼み込んで回っておりました。もとより外との繋がりの希薄であった村です。このままでは衰退してゆく一方、良い機会だろうとみなで話し合いましてなぁ」


 ヴィーネは驚いた。ラスラがそこまで献身的に働きかけてくれているとは思っていなかったのだ。


「自分で言うのもなんですけど……わたしは魔族です。わたしがラスラや貴方がたを騙そうとしているとは思わなかったんですか?」


 彼らが自分を信じる理由など何もない。

 だが長老は笑みを深めた。


「森神様の背に乗って来た方をどうして疑いましょう? 害意ある者であれば森神様はすぐに分かりますゆえ」


 ということは、どうやら自分は知らぬ内に試されていたらしい。


 邪な考えの持ち主なら森神様がその場で追い返すはずだったのだろう。無事にヴィーネが村に辿り着くことができたので合格、ひとまず信用して良いと判断された訳だ。


「ありがとうございます……貴方がたの信頼に報いることができるよう尽力します」


 勘違いしてはいけない、とヴィーネは内心戒める。

 長老たちの信頼はラスラが長い時間をかけて築き上げてきたもの、そして森神様からのお許しの上にあるものだ。


 自分が作ったものはまだ何もない。


 これからだ。どうすれば彼らの期待に応えられるだろう? ーーどうすれば人間種である彼らにも利になる商売ができる?


 考え込むヴィーネの前に、トンッと湯呑みが置かれた。


 ひっと息を飲む。

 中では緑のお茶が湯気を立てている。


 恐る恐る長老を見ると変わらぬ人の良さそうな顔で笑っていた。


「粗茶ですが」

「……!!」


 背筋に冷たいものが伝う。


(絶対に飲むなよ)


 この流れで飲まないとかできる!? とヴィーネは内心で叫ぶ。


 だがニコニコと長老はこちらを見つめている。ヴィーネは湯呑みに震える手をかけた。


 幸いにもその時扉が軽く叩かれ、開いた先からラスラの顔が覗く。


「ただいまー」

「早かったの」

「そうか? 家にいなかったから村中走り回っちゃった」


 ラスラの後ろからがっしりした体格の青年が現れた。年の頃は二十代後半ほど、日焼けした肌に太い腕、額には汗を滲ませている。


「うちの倉庫番やってるジェイク。倉の中身は全部把握してるから、いっしょに聞いてもらった方が話早いと思ってさ」

「ジェイクだ。あんたが噂の“面白い魔族”か。よろしく頼む」


 ジェイクはぶっきらぼうながらも手を差し出した。内心助かったと安堵して立ち上がって、ヴィーネはその手を握り返す。


「ヴィーネと申します。こちらこそ、よろしくお願いします」


 ラスラが椅子をひっくり返して座る。


「話の続きだけどさ。とりあえず、倉庫に余ってる素材は好きに使っていいってことだよな? ジェイク」

「お前やミランダが訳の分からん魔物ばっかり狩って帰ってくるからどうせ今の暮らしじゃ使い道もない。上手く活かしてくれるなら助かるくらいだ。一応目録も持って来たが……あー」


 ヴィーネを見てジェイクは言い淀む。


 言わんとしていることに気が付き、失礼しますと断ってからヴィーネはジェイクの持っていた木簡に視線を走らせた。


「大丈夫、読めます」


 少々古い書き方だが、魔族の使っている文字とそう変わらない。


「っていうか、これドラゴンの角って読めるんですが」

「おうドラゴンの角だな」


 なんで討伐難度Sの素材がさらっと紛れているのか。


「それ、昔ミランダが狩ったって噂のドラゴン? マジであるんだ」

「ラスラ以外にもヤバい狩人がいるのこの村!?」

「おれの狩りの師匠」


 納得した。


「まず、この森ってドラゴン出るの?」

「ドラゴンはもういないけどワイバーンは今でも出るぞー。ここから北上したとこに谷があってさ、そこに巣を作ってる。子育て時期に餌を求めて襲ってくることがあるぐらいだ」


 ワイバーンは低級竜、いわゆるドラゴンは上級竜にあたる。どちらも脅威には違いない。

 万が一村がワイバーンの標的になった際には、森神様も出てきて村の狩人たち総出で追い払うのだそうだ。森での生活が壮絶すぎて目眩がする。


「そういうことは滅多にないから大丈夫だよ。それより、今はワイバーンよりスライムだろ」


 ラスラは玄関の水瓶を指差した。


「やはり増えておったか」

「いつもなら五日に一匹入るかってところなのに、半日でいっぱいになったよ」


 ジェイクが眉根を寄せた。


「やっぱりこないだの魔鉱石掘りのせいじゃないのか? だから持ち帰り過ぎは良くないって言ったんだ!」

「どういうことです?」


 ヴィーネが尋ねるとジェイクが説明してくれた。


 村の鍛治師は足が悪いらしい。


 農具を作るために使う魔鉱石を度々採掘しに行くのだが、何度も往復するのは骨が折れる。そのため先日、屈強な息子たちと手伝いの子どもたちを連れしばらく採掘しなくて済むように持ち帰れるだけ持ち帰ろうと掘りに出かけて行った。


 そして、文字通り山のような魔鉱石を持ち帰って来たのだ。


 魔素をたっぷり含んだ魔鉱石を民家のそばに置く訳にはいかず、離れの倉庫を突貫で片付けてその中に押し込む羽目になったのだとジェイクはぼやく。


 そして、その数日後から村周辺でスライムが増え始めた。


「倉庫から魔素が漏れ出ておるのやもしれんの」

「裏手に沢が通ってたから、そこから集まってきたんだろうな」


 長老が白い顎ひげをなでながら言い、ラスラも同意する。


 スライムは水辺を好む魔物だ。沢に流れ出た魔素に誘われて村までやって来たのだろう。


 顔を歪めてジェイクはガリガリと頭を掻く。


「魔鉱石を処分するのも手間だし、どうしたもんか」

「あの……提案なんですけど」


 ヴィーネが挙手すると、視線が集まった。


「その魔鉱石、うちで預からせていただけませんか?」

「うちってぇのは、もしかして魔族の町か?」

「はい。魔物を集めないように魔力隠蔽を施した貸し保管庫があるんです。魔石や普段は使わない強力な魔導具を置いておくために使用するんですが、そこでなら魔鉱石を安全にお預かりできると思います。使用する分だけをお渡しするようにすれば、必要以上に村で保管する必要はないですし」

「スライムを集めることもない、か」


 ふむ、と長老は考え込む。


「いいじゃん! どうせおれもヴィーネも行き来するんだし」

「ちょっといいか。妙案だが、それじゃそっちの保管庫に置いてある魔鉱石の数はどう管理する? 目録はつけるが実際の数と差が出たらどうする」

「なんだよ、ヴィーネがちょろまかすと思ってんのか?」

「いえ、当然の懸念だと思います」


 ちゃんと管理していても、記録のつけ忘れや数え間違いにより誤差が出ることはある。父の店もそれでよく問題になっていた。

 人の目で管理するからには、どれほど正確公正に努めていてもミスは出る。


「定期的にこちらの物の数とそちらの目録の数を確認して、照合をとるようにしてはどうでしょう? それでも誤差が出ればこちらで同等品を補填します」


 いわゆる棚卸しだ。こまめに数をチェックしておけば誤差の原因も究明しやすい。


 魔鉱石をそのまま補填できればいいのだが、さすがに同じ質の魔鉱石を魔族側で用意できない。どうしても別素材のものになってしまうだろうが、保証金でも支払えない以上そればかりは了承してもらわねばならない。


「待てよ、まさか数が合わなかったら無条件にそっちで負担するってことか?」

「もちろん。村の皆様の財産の管理を承る以上、保管に不備があればこちらの責任ですから」

「それじゃあフェアじゃねぇ。俺らが嘘を言う可能性だってあるだろうがよ」

「確認の時に村の者をもう一人立ち会わせたら良かろう。村の目録はジェイクが、保管庫のものはラスラが確認したらええ。それなら不正はできん」


 長老が提案するも、ジェイクは苦い顔のままだ。


「それでもうちの村の方が利が大き過ぎるだろう。嬢ちゃんが損するぞ」


 なぜこの村の人たちは自分より他人の利益を尊重するのだろう。


 町の商人なら良い条件を引き出せたと大喜びで契約書に署名するところだ。こちらとしても村に信頼してもらうためにはこれぐらいして当然と思って提案をしている。


「じゃあ、魔鉱石を運ぶのをこっちでやったらいいんじゃね?」


 ヴィーネの前の湯呑みにようやく気が付いたラスラが、喋りながらそれを玄関前の水瓶へと持って行った。


「どうせヴィーネ一人じゃ持ち歩けないし、あんまり大荷物だと森神様がヘソ曲げるだろ。どっちにしろ何人か運び出すのに手を貸してもらわなきゃ」

「森仙人たちに協力を仰ぐ気か」

「村と魔族の町を何往復もするのは面倒だもん。いくつかに分けたら森仙人たちなら運べるだろ」


 木蓋を開け、スライムの上に湯呑みの中のお茶をすっかり注いでしまう。

 なぜか水瓶の中からブシュウウウウッと音がして、煙が上がった。


「そんな感じで、どう?」

「ごめん。衝撃的な光景のせいで全然話が耳に入ってこない」


 明らかにお茶をかけた以上の何かが起きていた。

 空の湯呑みを手にラスラが首を傾げる。


「スライムの討伐方法ってお茶をかけるだろ?」

「そんな討伐方法初めて聞いたけど!?」


 お茶でスライムが死ぬのか。そして、スライムが死ねるような劇物をお茶と称して振る舞われたのか。


「もー、じいちゃん。前にも言っただろ? 魔族にお茶出したらダメなんだって」


 口を尖らせてラスラが文句を言うと、「おぉ、そうだったの。つい」と長老が呑気に笑う。


 嫌な予感がした。


「ねえ、そのお茶……種類は?」


 ラスラは台所へ行き、煎じる前の茶葉を持って来て見せてくれた。

 これと無造作に差し出された一目見た瞬間、リリアは目を剥くこととなる。


「『魔臓殺し』じゃない!? これでお茶作ってるの!?」


 なるほど、スライムが死ぬはずである。


 茶葉自体はさほど珍しくはなく、少し森に入れば雑草として自生している類の植物だ。魔素を分解する酵素が含まれており、口にすれば魔臓の機能不全を起こし最悪死に至る。

 魔族や魔物にとっては猛毒そのものだ。


「戦直後の時期に、村にやってきた魔族の旅人さんにお茶を出したら泡吹いて死にかけたことがあってさ」

「よく死ななかったわね、その旅人」

「多分運が良かったんだろうな。それ以来、人間種の間ではお茶を魔族の人に出すのは禁止なんだよ。でも、うちの村って客が少ないからさぁ」

「あぁ……」


 だから茶を飲むなと警告したのだ。

 忘れて出す人がいたらいけないから。


「元気の秘訣だって村の連中はみんな飲んでるよ。体調崩した時も、これ飲んだら一発で治る時あるし」

「それ、魔素酔いじゃない? 森でも魔素が増えることはあるでしょ」


 魔族でも、魔素が体内に蓄積されていくと眩暈や吐き気などを起こすことがある。「魔素酔い」という症状だが、魔族ならば自力で不要な魔素を吐き出すことができるのでしばらく休めば治る。だが、魔臓を持たない人間種はそうはいかないだろう。


 ラスラは腑に落ちた様子であった。


「あー、確かに春先が多いかも。繁殖期で魔物が増えるからそのせいかな? 来年調べてみる」

「今さらっと人体実験するって言った?」


 魔物ばかりの森の中でどう暮らしているのかと思っていたが、お茶に含まれた「魔臓殺し」が体内の魔素の除去をしているのだろう。まさしく元気の秘訣である。


「話は戻すけど、魔鉱石の保管はヴィーネの方で、必要分はうちで引き取りに行くってことでいい?」

「もちろん。ただ、その代わりと言ってはなんだけど保管分の一部を……」

「何割かはそちらで扱っていただいて構いませんぞ」


 言葉を引き継いで長老が許可を出す。


「儂らは対価となるものをヴィーネ殿に払っておらんでな。魔鉱石のいくらかはそちらの世で活用してくだされ」

「鍛治師のじいさんがあの大量の魔鉱石を使い切れるとは思えねぇ。どうせほとんどが倉庫に眠ることになるんだ、いいんじゃないのか」

「あ、ありがとうございます!」


 ヴィーネは頭を下げる。


 オリハルコンすら採掘する人間種の魔鉱石である。少量でも十分利益が出るはずだ。

 仕入れ原価は管理料のみ。運搬費すら浮くのであればむしろ美味しい買い物である。


「ちなみに、今の在庫はどのぐらいあるんです?」


 これ、とジェイクに目録を差し示されてその量の多さにヴィーネは「はあっ!?」と礼儀を忘れて叫んだ。

次回1月2日22:00に更新します。

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