53話 忍者スパイ
「それから、銀髪時々黒髪の女子、津賀碁翡翠さんだが」
「髪型天気予報かよ」
「驚くなよ? 俺の見立てでは、彼女は有名Vtuberだ」
「は?」
「明らかに訓練された発声、ダンスしていたと思われる筋肉の付き方。地下アイドルの可能性も考えたが矛盾する箇所が数個ほど」
ぐいっ。
俺は誰かに襟首を掴まれた。
「紐之さぁ〜ん?」
ぐっ!?
黒髪巨乳ギャルの上井さん!
「やはりスパイだなテメー!」
「この人借りま〜す」
「はいよ〜」
「くそ! 誰も信じてくれない! 俺だけが真実を知っているのに!」
「酔っ払うのはいいが、後輩に迷惑かけるなよー」
俺は上井さんにトイレ近くに連れ出された。
◇ ◇ ◇ ◇
「で、何か用か? スパイの上井さん」
「いつから気づいたの?」
「いや、そんな目をして、そんなもの隠し持って、これでスパイでなくて何者だよ」
ナイフ、怪しい機械、レンチ、自白剤など薬多数。
こんなもん、普通の社会人は持ち歩かないっての。
「仕方ないなぁ」
キピン。
魔法を弾いた。
【魅了術】?
色仕掛けの魔法か。
「あれ? 効かない」
俺は全自動ガードの魔法を纏っている。
『スパイというより、忍者ですね。
最近稼いでいる、クータ様の属している会社の情報を抜き取る目的のようです』
スパイじゃねーか、同じだろ。
しかし、彼女からはリンやユウネが見えてない。
いや、見える方がおかしいんだがな。
鈴木さんと、あの髪の毛のややこしい新人が見えるので、見えていることが珍しく思えなかったが。一般人には、見えないのが普通なのだ。
「じゃあ、ちょっと薬で廃人になってもらおうかな〜。アルコールに脳がやられたことにしようか〜」
「調子に乗らないでください、このアバズレが」
ユウネがキレて姿を現し、恐ろしく速い手刀で上井さんを気絶させた。
どうするんだ、これ。
『ちょうど同僚さんが持ち帰りしたがっていたので、彼に預けましょう』
ユウネは再び透明化した。
よし、同僚よ。持ち帰りするのだ。




