41話 野心家
・紙札静留視点
紐之屑太郎の屋敷は広い。
妾にも個室が与えられるほどに。
ボロの家じゃが。
客間にて。紐之屑太郎の姿は見えぬ。自分の部屋で配信を見ておる。
ここには、妾ことシズル、コウモリ女のリン、そしてこの屋敷、いや地球で最強の女の銀髪侍女ユウネがおる。
「何ですかシズル、改めて話とは」
「ユウネ、紐之屑太郎のことじゃが」
「クータ様と呼びなさい」
「クータ様って呼ぶんだよ〜」
妾はリンと紐之屑太郎の命令を聞くように作られておる。
逆に言えば命令されなければ行動は制限されない。
「クータ様のことよの。お主らは金銭的に援助せんのか?」
「金銭ですか」
「お金、リンはユウネから貰ってる〜」
そう、紐之屑太郎は、せっかく魔法が使えるのに、ユウネ達が居るのに活用せず、大したことのない仕事を続けて生活している。
「一攫千金の手段、例えば未来視で株や馬券を買うなどよな。
合法、非合法問わずいくらでも稼ぐ手段があろうが。
それをあえてしないのは何故じゃ?」
「シズル、金銭援助のことはクータ様に何度も提案しています。
家賃を払うとか、生活費を払うとか、もっと収入の高い職を紹介するとか。全部断られています」
「クータ様はドMなのか?」
「『その一線を超えると、普通の生活に戻れなくなりそうだ』とのことです。何のことか分かりませんが」
典型的な、変化を恐れて行動出来ない人間の思考よの。
くだらぬ。
「妾は、好きにさせてもらうぞよ」
「クータ様の意思に反した行動は、止めますよ」
「せぬ。妾自身の事じゃ。自己顕示欲と、それを叶える力がある。オリジナルを簡単に超えるほどのな」
「はあ」
「引越しさせてもらう。クータ様があのゲームを一人前に遊べるようになった後によな」
こんなボロの家にいつまでも居られない。
妾はやりたいように生きる。
妾は変化も恐れぬ、行動あるのみよ。




