39話 訪問
翌日。職場に来たが。
「鈴木さんは熱を出して休み、か」
本当に熱を出したのか、そういうことにして休みをとったのか。
まあいいか。
外回りに行くとしよう。
午前中に2件回り、契約を1件獲得した。
さて、昼食の時間だ。どこで何を食べようかな。
トゥルルル。
上司から電話だ。
「はい紐之」
『鈴木さんの見舞いに行ってください』
「なんで俺です? 女性宅に男性が行くのはマナー違反でしょう」
『既に許可を得ているので大丈夫です』
はぁ、仕方ない。
胃に優しそうなものを買っていくか。
◇ ◇ ◇ ◇
神社の近くにある普通の3階建て家。
ぴんぽーん。
……。
反応が無いな。
寝ているのだろうか。
ユウネ、様子を見てきてくれ。
『かしこまりました』
3秒後。
『戻りました』
で、どうだった?
『高熱と悪夢にうなされて、吐いた跡が複数。トイレにも行けず垂れ流し状態の姿でしたね』
「重症じゃねーか!? 助けてこい」
『分かりました』
1秒後。
『ま、こんなものでしょう』
様子見より早いのな。
『やることが決まっていましたので。では家にお邪魔しましょう』
「家族は居ないのか?」
『両親とも、長期の出張に出ているようですね』
……。
ガチャ。
家の中に入る。
「お邪魔しまーす」
『3階の手前から2番目の部屋です』
てくてく。
「おーい、生きてるかー?」
……返事なし。ユウネ、大丈夫なのか?
『応急処置的に点滴を注入して、部屋の掃除をしただけです。熱の原因は、リンの人工臓器が馴染んでないためですね。今日いっぱいでおさまるでしょう』
コンコン。ノックしてみる。
うーん、反応なし。部屋に入るしかない。
ガチャ。
鈴木さんはパジャマ姿でベッドで横になっている。
顔が白い、あと息が荒い。
幸いユウネの掃除後だからか汚れてないし、良い匂いがする。
「ぜぇ、ぜぇ……あれ、紐之さん」
「いいから休んでな。風邪薬を持ってきた、後で飲みな」
風邪薬が効くかは知らないが。
ユウネ、なるべく治してやってくれ。
『これ以上手を出すと不自然ですし、せっかく移植した人工臓器の効果が半減しますので、様子見ですね。風邪薬なら大丈夫ですよ、飲んでも影響無しです』
お湯を洗面器にはって、タオルを頭にかけてやるか。
『あれ効果あるんですかね? 汗をふいてあげるのは良いですが』
そういうのは気持ちの問題だ。
心を込めているのが伝わるから良いんだよ。
それより、今日放っておいて大丈夫なんだろな?
『大丈夫です』
なら俺が長居するのもアレか。
連絡先を書いた紙を机に置いておく。
「じゃあな。何かあったら呼んでくれ」
俺は鈴木さんの家をあとにした。




