37話 霊感あり
インターンの鈴木さんにはお昼休みを長めにとってもらった。
そして夕方。何事もなく終わろうとしていたが。
鈴木さんが問うてくる。
「あの、紐之さんって女性に執着されたりしたことは?」
何だその質問。意図が分からない。
「いや、心当たりは無いが」
「そうですか。実は実家が祈祷師をしていまして、霊感が強い方なんですね私。
紐之さん、2人ほど女性に憑かれてますよ」
「マジか!」
ユウネ、分かる?
俺、憑かれているらしい。
『いえ、おそらく私とリンのことを言っているのでしょう。見えているのでしょうかね?』
「ちなみにどんな感じの女性?」
「ええと、妖怪みたいに長身の銀髪の女性と、金髪の角と羽の生えた女性です。生霊なのか死霊なのかは、はっきりしませんが」
うーん、思っきし見えてるな。
『凄い才能ですね。私達を見ることが出来るとは』
『ねーユウネ、この女、危なくない?』
『確かに野放しにすると危険ですね』
何だか物騒な話をしてないか?
『違いますよ、見えてるだけで霊に対して対抗手段を持っていないので、この女性、そのうち悪霊に殺されます』
『今までも見えてたのに?』
『先祖の霊が守護霊として取り憑いて、悪霊から護っていたみたいですが。護りきれない強大な悪霊に7日後に出会うでしょう』
そうなのか。
魔力があれば身を守れるのか?
『いえ、悪霊を払うには何かしら魔法を使う必要があります』
「あの、すみません。いきなりこんな変な話をして。多分無害な霊だと思うので気にしなくて良いです」
「いや信じるよ」
「本当ですか! 良かったです。いつもこの話をすると皆『何言ってんだコイツ』みたいな目で見てくるので」
まあ普通はそういう反応になるわな。
「紐之さん、良かったら連絡先交換しませんか?」
「あー、いや、やめとこう。要らぬ誤解を生む、ってか俺が強要したみたいに映るから、済まない」
『良かったのですか? 何だか良い雰囲気になりそうでしたのに』
良い雰囲気? 無い無い。
「そうですか、残念です。また明日」
ザシュ! チューチュー。
「ひいいい!?」
『ありゃ、見えてるんだっけ?』
リンが体から触手を生やし、鈴木さんの血を吸った。
何やってんだ。後で説教な。
「あ、あの、やっぱり害がある霊かもしれません。私、呪われたかもです、うう……」
「多分大丈夫だろ」
「そうでしょうか。まあ、はい」
「じゃあな」
こうしてインターンの鈴木さんの1日目が終わった。
さあて、評価シートを記載しなくては。
全部『優』で良いだろうか。不自然だからこことここは『良』にして。よし出来た。自由記載欄には良かったところを盛っておく。
これを上司に提出だ。




