35話 魔力増強ドリンク
明けましておめでとうございます。
翌日。今日はお休みだ。
全員で食卓を囲む。
朝食はイチゴと生クリームのサンドイッチだ。
美味い。コーヒーも合う。
静瑠は、さっそくイメチェンして黒髪ポニーテールにしている。服はリンから譲ってもらっているようだ。元の素体が天使なので、これはこれで可愛い。
「……」
しかし、静瑠は喋らないから何を考えているのか分かんねー。俺を恨んでいるのだろうか?
「シズル、喋りなよ〜」
静瑠は無表情に両手を上げる。
「クータばんざーい。ばんざーい」
「投げやりすぎる!?」
「クータ様、やはりこのクローン、捨てるべきでは?」
いや、駄目だろう。
生むだけ生んで捨てるとか、毒親ってもんじゃねーぞ。
「よし。一緒に魔力操作の訓練をしよう」
「何故ですか!?」
だって、なぁ。
ユウネやリンと違って、一応人間なのだし。
何かしら特別な能力を付けておいた方が将来のためになる。ならば魔力操作の訓練が良いのではと思うのだ。
あとは、素体が天使なので、将来天使に魔力操作の訓練をさせることが出来るかどうかの目安にもなる。
「はぁ、まあ分かりました。
ではまず異世界の食べ物を食べさせるところからですね。魔力増強ドリンクです。ほれ、飲め」
ユウネは、正体不明のドロドロの飲み物を静瑠に渡す。
「ユウネは静瑠が嫌いか?」
「存在がムカつきます。私も無条件に愛されたいです!」
ごくごく。
静瑠は無表情に飲む。が、表情を崩した。
めちゃマズそうな顔だ。
「ユウネ、同じのを俺にも1つ」
「え」
「クローンとはいえ天使に酷いものを飲ませた。
俺も飲まねば不公平だろう」
「何ですかそれ。渡すわけがないでしょう」
「はーい、リン特製異世界ドリンク! ユウネの作ったやつと同じ材料だよ!」
ごくごく。俺も飲む。
苦みと辛みと渋みが強い。
「マズイ!」
「あはははは!」
「クータ様に何てものを飲ませてるんですか!」
「なら、ユウネが飲ませたら良かったじゃん?
バレないように多少味付けを変えてさ?」
「……ハッ!? その手がありましたか、今度からそうします」
「密談は俺に聞こえないところでやってくれ」
やばーい、体が震えてきたっていうかー?
寒くて震えがとまんなーい。
ちょーしんどいんだけどー?
あれー? 俺こんな喋り方だっけかー?
人格崩壊してねー?
キャハハハ。
バタッ。
「く、クータ様ああああ!!!?」
「ユウネのドリンク、女性向けの奴だったよねー。この調合内容だと、普通の男性には猛毒だよね。
クータの体には私のエキスが混ざってるから死にはしないけれど」
「何ですと!? あなた猛毒をクータ様に飲ませたのですか!?」
「あれ? ユウネも知らなかった?」
「知ってたら止めてました! おのれリン、やはり貴様はクータ様の敵だ、殺す、殺す!!」
うーん。
我、凍え死にそうである。
ヘルプミー。
「なーん」
アイン、寄り添ってくれるのか。
ありがとう。あったかい。




