21話 腕輪、サナギになる?
数週間後のある日。
「ユウネ、大変だ!」
「何でしょうか」
「リンが……血を吸わなくなった!」
「はぁ……」
リンというのは、俺の腕輪の名前だ。
呪物とか腕輪とか呼んでいたが、人格があるみたいなので、一昨日名前を付けてあげたのだ。
腕輪なのでリング、じゃ、まんまなので、リン。
女の子っぽい声だったし。
おじいちゃんの初恋相手と同じ名前? まあ仕方ない。
「一昨日からだ……血を吸わなくなった……喋らなくもなった」
「はぁ」
「名前を付けたからだ……俺は何てことを……」
「そうでしょうかね?」
他に原因は思いつかない。
一応スキルは使えるので、リンのスキル補助の効果は残っているようだが。
リンの負担になってしまうので、現在はスキルをできるだけ使わないようにしている。
「リンの補助なしで、魔力操作のみでスキルを使うには?」
「修行が必要です、数百年単位の。普通であればですが」
「だが、リンが補助してくれていたおかげか、何となく魔力操作は前より上手く出来そうな気がする」
「自転車の補助輪をつけていたような感じでしたからね。あと3年もすれば、リンの補助なしで今の手持ちのスキルは使えるでしょう」
「3年、か。リンはそれまでに治るかな」
「そもそも血を取りすぎですよリンは。それで急にだんまり。食料をとるだけ取って寝るとか熊の冬眠ですか」
「あるいはたくさん食べたイモムシがサナギになっているような……つまり蝶に進化する!?」
「そんな馬鹿なことないですよ」
うーん。
まぁ、仕方ない。
魔力操作頑張ろう。
◇ ◇ ◇ ◇
ふわふわ。
白い雲の上のような場所。
ここは……?
「わしじゃよ」
「おじいちゃん!」
「まー」
「そして死んだツヴァイ!(猫)」
川のようなところをはさんで、向こうにおじいちゃんとツヴァイ(白猫)が居た。
おじいちゃんは、おいでおいでしている。
「おじいちゃん、見てくれ。魔力操作」
俺は手元に、魔力の塊を作り、
「そしてファイヤボール!」
魔力を炎に変換して、おじいちゃん目掛けて投げつける。
チュドーン!
おじいちゃんは両腕でガードする。
「な、何でじゃー!!?」
「うるせぇ! 悪霊め! おじいちゃんに化けて何を企んでるのか知らないがくらえファイヤボール2発め!」
「ひええ!!」
「まー」
おじいちゃんとツヴァイに化けた悪霊はふっと消えた。
そして俺は目が覚める。
……ふむ、夢か。




