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2話 ゴーレム作成

黒猫のアインは粘土の塊の上に飛びのり、塊を前足で、てしてし叩いている。


俺は説明書を読む。

説明書には、こう書かれていた。


『手順1.好きな形にしましょう。ドラゴンでも恐竜でもメイドさんでも、何でもいいぞ!


手順2.形を作ったら色を塗りましょう。軽く表面だけ塗ればオーケー、完成後に自動で色の調整をしてくれるので色塗りド下手くそでも安心!


手順3.粘土をゴーレムにする際、ルールを5つ付与できるぞ! 神聖魔法が使える、とか。人を3人ほど毎日食べるとか。あなただけのルールを付与しよう! 付与の文章は、この説明書の裏に5つ記載可能。


手順4.粘土を形づくり、色を塗り、付与の文章の用意ができたら、いよいよゴーレム化だ! 方法は簡単! 「ゴーレム作成!」と唱えるだけ!


手順5.以上! あ、返品は受け付けてませーん。あと、ゴーレムのせいでそっちの世界がめちゃくちゃになってもしーらないっ』



ふむ。なるほど。


ちなみに50cm×50cm×50cmの体積は、125000立方cm。これが全て水であれば125000グラム、つまり125キロ。


……机、壊れない?

まあ、少しずつ床に移せばいいか。


粘土の塊を一部崩し床に置き、足の形をつくる。

同様に足をもう1本作る。

腕を1本。腕をもう1本。

そして頭を作る。残りは胴体。


もうおわかりだろう。

俺が作るのは、メイドだ。

粘土が100キロ以上あるので、かなり長身になったし、胸とお尻をモリモリにしたが。


押入れから絵の具を取り出し、チャチャっと塗り終える。絵の具が床に垂れる、新聞紙を敷くべきだった。


さて、あとはルール付与だな。

絶対に必要なルールとしては、

1.俺に絶対服従。

2.俺を絶対に守る。


……あとは、どうでもいいかな。

適当に。

3.魔法が使える。

4.超能力が使える。

5.俺以外に正体バレしない。


以上5つを説明書の裏に記載。

そして、唱えてみる。


「ゴーレム作成!」


ゴゴゴゴゴ……


粘土の人形が光り、肌の血色が鮮やかになる。

髪の毛の銀髪は、輝きを放つ。


「……」


ムクリ。人形が起き上がる。


「ご命令を。マスター」

「…き」

「き?」

「キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!」

「?」


素晴らしい!

これが魔法の粘土によって作られたゴーレム!

本物の人間と区別がつかねぇや!


「ごほん、まずは俺の服を適当に着てくれ」


すっぽんぽんでは話がしづらいからな。


「了解しました、マスター」


ふよふよ。

俺の服が宙に浮かんでる。

超能力だ。


「では、ワイシャツをお借りします」

「いやサイズ合わないだろ」


多分こいつ200センチくらい身長あるし、バストも大きすぎるから……


スパーン!

盛大にボタンが弾け飛んだ。


「……」

「あー、何だ、まあ、他にも服があるから」

「マスターの服を破損した罪はこの命をもって償います」

「待て待て、勝手に死ぬな」


どこからともなく包丁を取り出し、自分の首に当てている。


「マスターの命令ならば、この私、生き恥をさらしつつ生き続けます」

「あー、もう。どうするかな、シモムロにアメリカンサイズの安い服があったような。ちょっと買ってくる」

「いけませんマスター。マスターを絶対にお守りするので、私の半径50mから離れないでください」

「いや、服がないと動けないだろ」

「こうします。【透明化】」


ふむ、体と、一応着ているワイシャツも透明化した。魔法か、すげー。


「なぁーん」


しかし黒猫アインには、位置がバレている。

てしてしとゴーレムをしばいている。

匂いか? 匂いで場所が分かるのか?


「今日は夜遅いし服屋は開いてない。明日行こう」

「かしこまりました、マスター」


マスターって呼ばれ方、何だか喫茶店のオーナーみたいだな。

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